
記事公開:2026.10.22
在宅介護は終わりが見えにくく、介護者自身の心身の負担が積み重なりがちです。だからこそ、介護を一時的に外部に任せて休息を確保することは、介護者のためだけでなく、在宅介護を無理なく続けるためにも大切といえます。
レスパイトケアは、介護者がリフレッシュする時間を確保するために、介護を一時的に外部に担ってもらうことです。この記事では、レスパイトケアの意味と介護保険での位置づけ、訪問介護・通所介護(デイサービス)・短期入所生活介護(ショートステイ)などの種類と活用のコツを解説します。また、排泄介助の負担を紙おむつで軽減する工夫も紹介します。

監修者のご紹介
中谷ミホさん
(介護福祉士、ケアマネジャー、社会福祉士、保育士)
レスパイト(respite)は英語で「休息」「息抜き」という意味です。在宅介護においては、家族が一時的に介護から解放され、心身をリフレッシュするための支援をレスパイトケアと呼びます。
家族の代わりに介護サービス事業者などが一時的に介護を担うことで、介護者は数時間、あるいは数日などの休息時間を確保できます。
介護をやめることではなく、在宅介護を続けやすくするための考え方といえるでしょう。
レスパイトケアは、介護者・被介護者の双方に良い影響をもたらします。
介護者にとっては、日中まとまった時間を確保できれば、仕事の調整や、睡眠・休息などのリフレッシュがしやすくなります。疲労とストレスが軽減されるほか、孤独感の緩和にもつながり、在宅介護を続ける気力につながるでしょう。
被介護者にとっても、家族以外の専門スタッフによるケアや施設での交流で気分転換になるほか、介護者に対する「申し訳なさ」を軽減できる場合があります。結果的に、レスパイトケアは双方の関係性にも良い影響を与えることが期待されます。
介護保険制度においては、短期入所生活介護(ショートステイ)や訪問介護、通所介護(デイサービス)などを高齢者介護のレスパイトケアとして利用可能です。
介護保険サービスを利用するには、要介護認定を受け、本人の状態や生活状況に応じて必要なサービスをケアプラン(介護サービス計画書)に組み込む必要があります。介護保険サービスは、支給限度基準額の範囲内であれば、所得に応じて1~3割の自己負担で利用できます。介護保険サービスをレスパイトケアとして活用したい場合は、まず地域包括支援センターや担当のケアマネジャーに相談しましょう。
お住まいの地域の地域包括支援センターは、厚生労働省のサイトで検索できます。
在宅介護では、「休息が必要だとわかっていても取りづらい」と感じる方も少なくありません。そこで、在宅介護の経験があるエリエール会員の皆さまに、休息の状況やレスパイトケアについて伺ってみました。
※コメントは一部抜粋しています。
【調査概要】
調査対象:介護の経験があるクラブエリエール会員の20~90代男女
調査期間:2026年8月3日~8月9日
調査手法:インターネットを利用したアンケート調査
有効回答数:346件
■在宅介護をしているあいだ、休息は取れていましたか?
在宅介護中の休息状況を尋ねたところ、「うまく休息を取れている」と答えた方が19.1%にとどまる一方で、「少しは休息が取れている」という方は60.7%、「まったく休息が取れていない」という方は20.2%にのぼり、思うように休息が取れていない方が多いようです。
■在宅介護中、まったく休息が取れていない理由はなんですか?
まったく休息が取れていないという方にその理由を伺ってみると、「他人に任せられない」が47.1%と最も多く、「預ける先がない、わからない」の45.7%が僅差で続きました。次いで「誰に相談していいのかわからない」が21.4%、「休むことに罪悪感がある」が18.6%となり、頼れる先の不足と心理的な抵抗感の両方が、休息を妨げる要因になっていることがうかがえます。
具体的な理由として、以下のようなものが挙がっていました。
<在宅介護中にまったく休息が取れない理由(自由記述)>
・寝返りを打たせてあげないといけないので、数時間おきに起きなくてはいけないから
・昼夜逆転していた時があったり、いつの間にか外に出ていたり、目を離せなかった。親族の干渉もあった
・介護をする人がいないし、施設に預ける余裕もなかった
・一時的に預けることができても、そのときだけで疲れは取れない。預けたい日に預けられない。断られることが多かった
次に、レスパイトケアを知っているかどうかを伺ったところ、知っている方は18.2%にとどまりました。
続いて、レスパイトケアを知っている方を対象に、レスパイトケアの利用経験について伺った結果を見てみましょう。
■レスパイトケアを知っている方は、レスパイトケアとして介護保険サービスを利用した経験はありますか?
レスパイトケアとして介護保険サービスを利用した経験については、「検討しているが申し込んだことがない」が50.8%と半数を占め、「利用したことがある」の38.1%を大きく上回りました。「利用したいが空きがなく、できなかった」も11.1%存在しており、レスパイトケアを知っていても、利用に結びついていないケースが多いことがうかがえます。
レスパイトケアは、介護保険の既存サービスを通じて利用できます。代表的なサービスの内容と利用条件を以下にまとめました。
■レスパイトケアの代表的なサービス
| サービス | 内容 | 利用条件 | レスパイトケアとしての特徴 |
|---|---|---|---|
| 訪問介護 | 訪問介護員(ホームヘルパー)が自宅を訪問し、入浴・食事・排泄などの身体介護や、調理・洗濯・掃除などの生活援助を行う | 要介護1~5。要支援1・2の方は、地域支援事業の訪問型サービス等を利用 | 本人に必要な介護を訪問介護員が担うことで、家族の介護負担軽減につながる |
| 通所介護 (デイサービス) |
日帰りで施設に通い、入浴・食事・排泄の介助や機能訓練、レクリエーションなどの支援を受ける | 要介護1~5。要支援1・2の方は、地域支援事業の通所型サービスを利用 | 送迎があり、家族が日中まとまった時間を確保しやすく、休息や用事などに充てられる |
| 通所リハビリテーション (デイケア) |
日帰りで施設に通い、リハビリテーションを中心に、必要に応じて食事や入浴などの日常生活上の支援を受ける | 要支援1・2または要介護1~5。医師がリハビリテーションの必要性を認めていること | 送迎があり、家族が日中まとまった時間を確保しやすく、休息や用事などに充てられる |
| 短期入所生活介護 (ショートステイ) |
特別養護老人ホームなどに短期入所し、宿泊しながら介護を受けられる。 医療ケアが必要な場合は、短期入所療養介護(医療型ショートステイ)の利用も検討可能 |
要支援1・2は介護予防短期入所生活介護、要介護1~5は短期入所生活介護を利用できる。介護保険を利用した連続利用は30日まで | 宿泊を伴うため、家族が数日単位で休息時間を確保しやすい |
先ほどのアンケートの結果を見ても、レスパイトケアを知っているのに利用できていないケースは多いようです。レスパイトケアとして介護保険サービスを利用するには、相談のタイミングや計画の立て方が重要といえます。
レスパイトケアとして介護保険サービスを利用したい場合は、早めにケアマネジャーや地域包括支援センターに相談しましょう。利用できるサービスは、要介護度や本人の状態などによって異なります。
休息が必要になってから慌てて探すのではなく、あらかじめ利用できるサービスや施設を確認しておけば、いざというときにスムーズに利用できます。冠婚葬祭や旅行など予定がわかっている場合は、できるだけ早めに相談しておくことが大切です。
「自分だけ休むのは申し訳ない」という思いから、サービスの利用をためらう方もいるかもしれません。
ですが、厚生労働省の調査では、短期入所生活介護(ショートステイ)の利用目的として「介護者や家族の心身の負担軽減のため」が75.1%で最も多く、家族の休息や負担軽減も短期入所生活介護(ショートステイ)の重要な役割のひとつといえます。
通所介護(デイサービス)や短期入所生活介護(ショートステイ)などを活用し、定期的に休息の時間を確保できるようケアプランに組み込んでおくと、疲れが限界に達する前に心身の疲れを軽減することができるでしょう。
さらに、日常の排泄介助の負担を紙おむつで軽減するなど、持続可能な介護体制を検討していくのがおすすめです。
アンケートに寄せられた「うまく休息を取るための工夫」も参考にして、ぜひレスパイトケアを利用してみてください。
<うまく休息を取るための工夫(自由記述)>
・すき間時間に上手に休息をとる
・介護施設などの通所介護(デイサービス)・短期入所生活介護(ショートステイ)を利用し、自分と介護を完全に切り離した時間を作る
・完璧にやらない。ほどよく手を抜く。自分が楽をする日を作る
・一人の時間を持つことは、精神衛生上大切なこと。休息時間確保のために介護サービスを使うことに罪悪感はもたなくていいと思う
・家族や医療関係者など、頼れる方には素直に頼る姿勢が大切。頼っている間は少しでも休息がとれる。自分一人で抱え込むと、休息がとれずに、介護している側が倒れてしまい、共倒れになる可能性もあると思う
監修者のご紹介
中谷ミホさん
介護福祉士、ケアマネジャー、社会福祉士、保育士。福祉系短大を卒業後、介護職員・相談員・ケアマネジャーとして介護現場で20年活躍。現在は介護業界での経験を活かし、介護に関わる記事を多く執筆。介護・福祉関連書籍の執筆・監修も手掛けており、『介護職六法』(中央法規出版)などの著書がある。
中谷ミホnote

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レスパイトケアは、在宅介護を続けるために、介護者自身の休息を確保する支援です。介護保険サービスを利用しながら、休息に罪悪感を持ちすぎず、ケアマネジャーと相談して計画的にサービスを組み込むことが大切です。
また、排泄介助の負担は「アテント」シリーズのような紙おむつで軽減することもできます。日常の工夫とレスパイトケアを組み合わせ、無理のない介護体制を検討していきましょう。まずは、ケアマネジャーや地域包括支援センターへ相談してみてください。
レスパイトケアの効果として、介護者の疲労とストレスの軽減、孤独感の緩和、在宅介護の継続可能性の向上などが挙げられます。被介護者にとっても、専門スタッフによるケアや施設での交流で気分転換になるほか、介護者への申し訳なさを軽減できる場合があり、介護者・被介護者の双方にとって良い影響を与えるでしょう。
レスパイトケアとして介護保険サービスを利用するには、要介護認定を受けている必要があります。
また、利用できるサービスや条件は、認定区分や本人の状態によって異なることにも注意が必要です。ケアプランに基づいて利用するのが原則で、短期入所生活介護(ショートステイ)は要支援1以上の方が対象となるなど、サービスごとに利用条件があります。
利用できるサービスや空き状況については、ケアマネジャーや施設に確認しましょう。
相談先は、地域包括支援センター、市区町村の介護保険担当窓口、担当のケアマネジャーです。要介護認定の申請やケアプランの作成・見直しを通じて、利用可能なサービスを確認できます。緊急時の短期入所生活介護(ショートステイ)利用も、早めの相談が鍵となります。
画像提供/PIXTA









