
記事公開:2026.10.22
親の介護が始まると、「仕事を続けられるのか」「家事や育児と重なって、どこまで一人で抱え込めばよいのか」と不安になる方は少なくありません。40代以降の働き盛り世代では、職場での責任と家族のケアが同時にのしかかり、心身に余裕が持てなくなる場合もあります。
この記事では、仕事と介護を両立するための職場の制度や介護保険サービス、在宅介護の負担を軽くするための紙おむつの取り入れ方などを解説します。

監修者のご紹介
中谷ミホさん
(介護福祉士、ケアマネジャー、社会福祉士、保育士)
仕事と在宅介護の両立をしなければいけなくなったとき、「どのような働き方ができるか」「どのようなサポートが受けられるか」と不安を感じる方は少なくないでしょう。そこで、在宅介護の経験があるクラブエリエール会員の皆さまに、仕事と介護の両立について伺いました。
※コメントは一部抜粋しています。
【調査概要】
調査対象:在宅介護の経験があるクラブエリエール会員の20~90代男女
調査期間:2026年8月3日~8月9日
調査手法:インターネットを利用したアンケート調査
有効回答数:190件
■在宅介護期間中、働き方を変えましたか?
在宅介護期間中に働き方を変えたかどうかを伺うと、「それまでと変わらずに勤務した」が56.3%と過半数を占めました。一方で、「短時間勤務にした」(14.2%)、「休職・離職した」(10.0%)、「勤務日数を減らした」(6.8%)、「在宅勤務を増やした」(5.8%)など、何らかの形で働き方を変えた方も4割超にのぼり、在宅介護が仕事に一定の影響を与えている実態がうかがえます。
具体的には、以下のような声が聞かれました。
<在宅介護中に働き方を変えたかどうか(自由記述)>
・徐々に勤務日数と時間を減らすしかなく、離職してしまった
・出勤曜日を変更した
・通常勤務以外の早番と遅番を、ほかの職員にお願いした。また、会議の出席を免除してもらった
・勤務先に配慮してもらい、介護休暇、年休、在宅勤務などで対応。フレックス勤務にしたのが一番助かった
・昼間の勤務から、夜間や夜勤の勤務に変えた
■仕事と介護の両立で負担を感じた点はありますか?
次に、仕事と介護の両立で負担を感じた点を伺ってみると、「精神的につらい」が77.9%と最も多く挙げられました。また、「体力的に疲れる」(73.7%)、「睡眠時間が取れない」(42.1%)といった身体的な負担だけでなく、「思うように働けない」(35.3%)、「勤務先に迷惑がかかる」(23.7%)といった、仕事への影響を負担に感じている方も少なくないことがわかります。
具体的な負担を伺うと、介護そのものの大変さに加え、さまざまな面で余裕がなくなる様子が見てとれました。
<仕事と介護の両立で負担に感じること(自由記述)>
・収入が減り、生活に余裕がなくなった
・週の半分(仕事のない日)が実家で寝泊まりしての介護になり負担だった
・昇進したい気持ちもあるが、諦めないといけない感じになってしまう
・親の介護は気持ちが入ってしまい、イライラしたりしてしまって精神的にやられた。不眠もあった
・配偶者の親から介護して当たり前と言われた。介護の大変さを理解できない親戚が多くて嫌になる
■仕事と介護の両立のために、どのようなサポートが得られましたか?
仕事と介護の両立のために得られたサポートについて伺ったところ、「公的な介護サービス(訪問介護・看護など)」(65.3%)と「家族・親族の協力」(60.0%)の2つが大きいことがわかりました。一方、「勤務先の制度(介護休業・休暇、時短制度など)」の活用は18.9%にとどまり、「特にサポートは得られなかった」と回答した方も10.0%存在するなど、勤務先の支援制度の周知・活用にはまだ課題があるとみられます。
具体的な意見としては、以下のようなものがありました。
<仕事と介護の両立のために得られたサポート(自由記述)>
・老人ホーム/ケアハウスへの入居
・同僚の協力が一番ありがたかった
・私自身は母のサポート程度の介護だったが、母の立場からすると、私や父などの家族の協力に加えて、デイサービスなども時々利用できていた
介護の担い手は働き盛りの世代が多く、男性に比べると女性の比率が高い傾向にあります。厚生労働省の「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況」でも、同居する主な介護者の63.5%が女性という結果が出ています。
40代〜50代は、管理職や責任の大きい業務を担うことも多い一方で、親が高齢になるため介護を担う可能性が高い世代です。急な通院付き添いや夜間の見守りが続くと、仕事の調整が難しくなることもあるでしょう。
介護のために仕事を辞めることを「介護離職」といい、その後の転職や再就職が困難になるというリスクを伴います。仕事を続けることは、介護期間中の経済的基盤の維持はもちろん、介護終了後の生活設計のためにも重要です。
厚生労働省は介護離職防止を政策課題として掲げており、2025年4月施行の改正育児・介護休業法では、介護に直面した旨を申し出た従業員に対して制度を説明し、意向を確認することが事業主の義務となりました。こうした制度やサービスをしっかり確認し、離職せずにすむ方法を検討しましょう。
仕事と介護の両立を続けるには、職場の制度や介護保険サービスの活用が欠かせません。ここでは、主な制度やサービスについて解説します。
仕事と介護を両立するためにぜひ活用したいのが、育児・介護休業法に基づく介護休業や介護休暇、短時間勤務などの働き方に関する制度です。
<育児・介護休業法に基づく制度>
・介護休業:対象家族1人につき通算93日まで、3回を上限に分割して取得可能
・介護休暇:対象家族が1人なら年5日、2人以上なら年10日取得可能
・介護のための短時間勤務、所定外労働の免除、時間外労働の制限、深夜業の制限
このほか、会社独自の制度を設けていることもあります。介護に直面したら、早めに上司や人事へ状況を伝え、会社の就業規則や支援制度の内容を確認しましょう。
また、介護休業中は、雇用保険から介護休業給付金(賃金の67%相当)を受け取れる場合があります。収入面の不安で介護休業の取得をためらう前に、まずは勤務先に確認するのがおすすめです。
介護保険では、以下のようなサービスを受けられます。これらを組み合わせて、勤務時間中の見守りに活用したり、介護者が急に介護できなくなった場合に備えたりすることも可能です。
<介護保険のサービス>
・居宅サービス:訪問介護(ホームヘルプ)、訪問看護、通所介護(デイサービス)、通所リハビリテーション(デイケア)、短期入所生活介護(ショートステイ)、福祉用具貸与・住宅改修など
・施設サービス:介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)、介護老人保健施設(老健)、介護医療院
・地域密着型サービス:小規模多機能型居宅介護、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護など
介護保険では、要介護1〜5の方を対象とする介護給付と、要支援1〜2の方を対象とする予防給付があり、利用できるサービスが異なります。要介護認定の申請については、早めに地域包括支援センターや市区町村の介護保険担当窓口に相談するとよいでしょう。厚生労働省のサイト「仕事と介護を両立したい」なども参考にしてみてください。
制度を活用していても、排泄介助や夜間対応が続くと睡眠不足や心身の疲れを招き、仕事に影響してしまうかもしれません。こうした負担を軽減するコツは、一人で抱え込まないことと、上手に紙おむつなどを取り入れることです。
仕事と介護の両立で疲弊しないためには、「自分だけで介護をしすぎない」ことが大切です。
介護を一人で抱え込まず、家族間で対応の仕方を共有しておくと、急な残業や体調不良の際にも対応しやすくなります。連絡ノートや家族間の共有アプリなどで体調の変化や介助の内容を記録・共有することで、誰が対応しても同じ判断ができるでしょう。
また、通院の付き添いや行政手続き、費用の管理といった介助以外の役割については「担当」と「副担当」を決めておくと、負担が特定の人に偏りにくくなります。近隣の方や親族、民間の見守りサービスなど、複数のサポートを確保しておくことも有効です。
さらに、介護者自身の休息を確保するレスパイトケアの活用も、燃え尽き防止と仕事継続の両面で役立ちます。レスパイトケアとは、家族の代わりに介護サービス事業者などが一時的に介護を担うことで、家族が一時的に介護から解放され、心身をリフレッシュするための支援のことです。
在宅介護では、排泄介助や夜間対応が、仕事との両立を難しくする要因になりがちです。すべてを介助しようとすると、介護者の休息や睡眠時間がとれず、翌日の仕事に必要な心身の余裕を失いやすくなります。
例えば、トイレ介助の回数を減らすために紙おむつを活用するのもひとつの選択肢です。ただし、被介護者の尊厳や自立の意向を十分に尊重しましょう。例えば、「夜だけ」「外出時だけ」など段階的に試す伝え方が有効です。サンプルなどでサイズや吸収量、はき心地を比較し、違和感の少ない商品を選ぶと継続しやすくなります。
紙おむつを日常的に使用する場合は、交換のタイミングや置き場所を決めておき、誰でも交換対応ができるようにすると介護者一人に負担が集中しにくくなります。
監修者のご紹介
中谷ミホさん
介護福祉士、ケアマネジャー、社会福祉士、保育士。福祉系短大を卒業後、介護職員・相談員・ケアマネジャーとして介護現場で20年活躍。現在は介護業界での経験を活かし、介護に関わる記事を多く執筆。介護・福祉関連書籍の執筆・監修も手掛けており、『介護職六法』(中央法規出版)などの著書がある。
中谷ミホnote

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介護の担い手となるのは働き盛り世代で、男性に比べると女性の比率が高い傾向にあり、仕事との両立で疲弊して介護離職する方もいます。
介護離職は生活設計にも影響するため、職場の制度と介護保険サービスを活用して離職を避けたいものです。また、家族や周囲と役割を分担して負担を軽減することも大切です。
そして、「アテント」シリーズのような紙おむつも活用しながら、無理のない両立を検討していきましょう。介護に直面したら、まずは上司・人事に共有するとともに、地域包括支援センターや市区町村の介護保険担当窓口に相談することをおすすめします。
まずは上司や人事へ介護の状況を伝え、就業規則や介護休業・介護休暇、短時間勤務などの支援制度を確認することから始めます。あわせて、介護保険サービスの活用に向けて地域包括支援センターや市区町村の介護保険担当窓口への相談を進めましょう。
介護休業中は、雇用保険から介護休業給付金(賃金の67%相当)を受け取れる場合があります。収入面の不安だけで介護休業の取得をあきらめる前に、勤務先や公共職業安定所(ハローワーク)へ条件や手続きを確認してみましょう。
紙おむつを使ってもらう際には、本人の尊厳や自立の意向を尊重することが大切です。例えば、「夜だけ」「外出時だけ」など少しずつ試してもらい、嫌がる場合には無理強いしないようにしましょう。サイズや吸収量、はき心地を比較し、違和感の少ない商品を選ぶことも大切です。
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