
記事公開:2026.9.24
愛犬がしゃっくりをしているのを見て、「大丈夫かな?」「人間と同じと思っていいの?」と心配になったオーナーさんもいらっしゃるのではないでしょうか。
ワンちゃんも人間と同じように横隔膜が痙攣することでしゃっくりを起こします。ほとんどの場合は問題ありませんが、長時間続く場合やほかの症状がある場合は、病気のサインである可能性もあります。
この記事では、ワンちゃんのしゃっくりの原因・止め方・予防法を解説するので、参考にしてください。
監修者のご紹介
松田 唯さん
埼玉県生まれ。北里大学獣医畜産学部卒業後、千葉県内と東京都内の動物病院で勤務。
2019年7月、ガイア動物病院(東京都杉並区)を開設、院長となる。大学時代は医療の専門用語が苦手だったこともあり、治療法や薬についてわかりやすく説明し、治療法のメリット・デメリットを理解してオーナーさんが選択できる診療を心掛けるようにしている。
ガイア動物病院
ワンちゃんのしゃっくりは、胸部と腹部の境目にある横隔膜が突然痙攣し、同時に声帯(声門)が閉じることで「ヒック」という音が出る反射運動です。人間とワンちゃんの体のつくりは似ていて、人間と同じ仕組みでしゃっくりを起こします。
しゃっくりが起こる詳細なメカニズムはまだ完全には解明されていませんが、横隔膜や鼻・喉・内臓に分布する神経を通じて脳のしゃっくり中枢が刺激されることで起こると考えられています。多くの場合は数分で自然に止まる一時的な生理現象であり、過度に心配する必要はありません。
ワンちゃんのしゃっくりは横隔膜が突然痙攣することで起こりますが、なぜ横隔膜が刺激されてしまうのでしょうか。ワンちゃんがしゃっくりをする主な原因を紹介します。
■ワンちゃんがしゃっくりをする主な原因
ごはんを急いで勢いよく食べたり、一度にたくさんの量を食べたりすると、食べ物といっしょに大量の空気を胃の中に飲み込んでしまいます。膨らんだ胃がすぐ近くにある横隔膜を直接圧迫・刺激してしまい、しゃっくりが引き起こされやすくなります。
なお、消化器官が未発達な子犬は、大人に比べて胃に空気が溜まりやすいため、食後のしゃっくりが特に起こりやすい傾向があるため注意してあげてください。
体型がぽっちゃりしている肥満傾向にあるワンちゃんも、しゃっくりが起こりやすいとされています。体に脂肪が蓄積すると、胃や腸などの内臓全体が圧迫されて位置がずれやすくなり、その影響で横隔膜へ余計な負荷や刺激がかかってしまうためです。
遊んで気分が高揚したときや、雷・大きな音などに驚いて強いストレスを感じたときなど、精神的な刺激もしゃっくりの引き金になります。激しく遊んだ後に息が荒くなったり、ゼーゼーと乱れた呼吸をしたりすることで横隔膜が刺激されるためです。
また、日常的にストレスを受け続けていると自律神経が乱れ、胃の不調や不規則な呼吸につながり、慢性的にしゃっくりが出やすくなることもあります。
冷たい水や冷蔵庫から出したばかりの冷たいフードを一気に摂取すると、胃の中から体温が急激に下がってしまいます。胃のすぐ上には横隔膜があるため、冷やされたことで周囲の筋肉がキュッと収縮し、痙攣を起こす原因になります。特に寒い季節や、エアコンで部屋が冷えているときは注意してください。
多くのしゃっくりは一時的なもので心配ありませんが、まれに病気が原因で起こっているケースもあります。
具体的には、消化器疾患、呼吸器疾患、心疾患、あるいは脳や神経系の疾患などが挙げられます。しゃっくりだけでなく、「何度も吐く」「食欲がない」「呼吸が苦しそう」「ぐったりして動かない」といったほかの体調変化を伴う場合は、単なるしゃっくりではなく病気が隠れている可能性が高いため注意が必要です。
ワンちゃんがしゃっくりをしているとき、家庭でできる対処法を紹介します。なお、人間のしゃっくりの止め方の1つである「驚かせて止める」方法はワンちゃんに強いストレスを与えることになります。鼻や口を強くふさぐ行為も危険なため絶対に行わないようにしましょう。
ほとんどのしゃっくりは数分以内に自然に止まります。慌てて大きな声を出したり、強く体を刺激したりすると、ワンちゃんを余計に興奮させてしまい逆効果です。オーナーさんは落ち着いて、静かに見守りましょう。
少量の水をゆっくりと飲ませることで、横隔膜の痙攣が和らぐことがあります。一気に大量に飲ませると逆効果になることもあるため、水は少しずつ与えてください。
ワンちゃんのしゃっくりを鎮めるには、背中やおなかの横隔膜周辺を温めるように優しくさするのもおすすめです。ただし、強く押したり、驚かせたりするような行為は避けてください。
お散歩をして軽く体を動かしたり、外の空気を吸わせたりして気分転換すれば、自然にしゃっくりが収まることがあります。おもちゃを使って遊びに誘ってあげるのもよいでしょう。
しゃっくりに伴って別の症状が見られたり、長時間続いていたりする場合は病気のサインかもしれません。愛犬の様子を注意深く観察し、必要に応じて動物病院を受診しましょう。
ワンちゃんがしゃっくりをしている際に、次のような症状が併せて見られる場合は危険な状態の可能性があります。通常のしゃっくりは数分~30分程度で収まります。ほかに症状が見られたり、長時間しゃっくりをしていたりする場合は様子を見ずに、すみやかに動物病院を受診してください。
■すぐに動物病院へ行くべき症状
| 症状 | 考えられる疾患 | 解説 |
|---|---|---|
| 嘔吐・下痢を繰り返している | 胃腸炎、異物誤飲、胃拡張・胃捻転症候群 | 激しい嘔吐や下痢は、激しい胃腸の炎症や食道の刺激を引き起こし、横隔膜を麻痺・圧迫してしゃっくりを誘発することがある |
| 呼吸が苦しそう、ぐったりしている | 肺炎、気管支炎、心臓病 | 心臓疾患により大きくなった心臓が横隔膜や神経を圧迫しているケースが考えられる。舌や粘膜が紫っぽいときはチアノーゼを起こしていて危険 |
| 食欲がない・元気がない状態が続く | 内臓全般の疾患、慢性的な感染症 | 全身の体力が低下している場合、目に見えない内臓のトラブルや炎症が進行しているリスクがある |
| しゃっくりが1時間以上止まらない | 横隔膜や横隔神経の異常、腫瘍 | しゃっくりが1時間以上持続する場合は、横隔膜周辺の神経に持続的な負担や腫瘍などの異常が生じている可能性がある |
| 痙攣や意識の混濁を伴う | 脳腫瘍、脳炎、てんかんなどの神経系疾患、内臓疾患(腎臓病、肝臓病、低血糖など) | しゃっくりに見える動作が、脳の異常によるてんかん発作の一種であったり、内臓疾患が原因で横隔膜のコントロールが利かなくなっていたりする可能性がある |
ワンちゃんのしゃっくりが気になる際、以下のような条件に当てはまる場合はあわてる必要はありません。しばらく経過を観察してみましょう。
<様子を見てよいケース>
・食後や興奮した後など、原因がはっきりしている
・1時間以内に自然に止まる
・食欲・元気ともに普段と変わらない
・食後のしゃっくりで、ほかに異常がない
ワンちゃんのしゃっくりが気になって病院を受診する際は、次のようなポイントをメモしておくと診療がスムーズになります。余裕があれば動画を撮影し、病院で担当医に見てもらうのもおすすめです。
<動物病院を受診する際のメモ>
・しゃっくりが始まった時間帯と継続時間
・食事・運動・気温など、しゃっくりの前後の状況
・ほかに気になる症状
愛犬が頻繁にしゃっくりをしている場合、生活環境を見直すことで予防できるかもしれません。しゃっくりを予防するためにできることは下記のとおりです。
早食いがしゃっくりの一因であると考えられる場合は、早食い防止用として市販されている食器を使用しましょう。食器の独特の形状が、ワンちゃんの食べる速度を自然にスローダウンさせます。また、食事量を1回で与えず、少量ずつ数回に分けて与える方法も有効です。フードの形状や大きさを見直すのも方法の1つで、ふやかしたり、ウェットフードにしたりするのも試してみてください。
ワンちゃんの食後30分〜1時間は激しい運動を控えると、胃腸や横隔膜への負荷を減らせます。特に大型犬は胃捻転のリスクもあるため、食後の安静を心掛けてください。
ワンちゃんに頻繁にしゃっくりを起こさないためには、騒音や急激な環境変化など、ワンちゃんがストレスを感じやすい状況を減らすことも大切です。普段から「おすわり」「待て」などのトレーニングを取り入れれば、緊急時でもワンちゃんも興奮を抑えることができます。また、トイレや寝床は清潔を保ち、いつでも安心して過ごせるクレートや寝床などを整えてあげてください。
ワンちゃんにとって冷たすぎる水やフードは横隔膜を刺激しやすく、しゃっくりにつながりやすいため、常温に近いものを与えるようにしましょう。特に冬場は冷えすぎないよう、配慮してあげてください。
ワンちゃんのしゃっくりは、ストレスが原因になることもあるため、日常の不安や負担をなるべく減らしてあげることが大切です。「キミおもい」のワンちゃんシリーズには、足濡れを防いで清潔を保つ「パワフル消臭シート」や、ドッグランなどのお出かけ先でも快適に過ごせるパンツタイプおむつ「のびのび動けるアクティブウェア」など、愛犬とオーナーさんの健やかな毎日をトータルでサポートするアイテムが揃っています。ぜひ一度お試しください。
「キミおもい」のワンちゃんシリーズについては、下記のページをご覧ください。
キミおもい Dog– ワンちゃん-
ワンちゃんのしゃっくりのほとんどは、早食いや興奮、体の冷えなど一時的な原因によるもので、数分~30分以内に自然と止まることが多く、子犬期には特によく見られます。ただし、1時間以上止まらなかったり、嘔吐や呼吸困難を伴ったりする場合は、病気のサインである可能性もあるため注意が必要です。
日頃からワンちゃんの様子を観察し、しゃっくりが起きた前後の行動や食事の状況を把握すれば、いざというときにも落ち着いて対応できます。小さな変化に気づく習慣が、ワンちゃんの健康を守る第一歩になるでしょう。
画像提供/PIXTA
ワンちゃんのしゃっくりの主な原因は、早食いや食べすぎによる胃の膨張、肥満による内臓の圧迫、冷たい水やフードの摂取による胃や横隔膜の冷え、興奮や強いストレスによる呼吸の乱れなどです。まれに消化器疾患や呼吸器疾患などが原因になっていることもあるため、気になる症状がある場合はすみやかに動物病院で相談してください。
ワンちゃんのしゃっくりは、基本的には安静にして様子を見守ってください。長くて気になる場合は、少量の水をゆっくり飲ませたり、背中やおなかを優しくマッサージしたり、軽い散歩で気分転換をさせたりすると、痙攣が落ち着くことがあります。驚かせて止めようとしたり、鼻や口を強くふさいだりするのは危険なため避けましょう。
ワンちゃんのしゃっくりは、数分~30分以内で止まる場合は心配ありません。しゃっくりが1時間以上止まらない、嘔吐や下痢を繰り返す、呼吸が苦しそう、ぐったりしている、痙攣や意識の混濁を伴うといった場合は、なんらかの病気のサインである可能性があるため、早めに動物病院を受診してください。












