
記事公開:2026.8.25
監修者のご紹介
松田 唯さん
埼玉県生まれ。北里大学獣医畜産学部卒業後、千葉県内と東京都内の動物病院で勤務。
2019年7月、ガイア動物病院(東京都杉並区)を開設、院長となる。大学時代は医療の専門用語が苦手だったこともあり、治療法や薬についてわかりやすく説明し、治療法のメリット・デメリットを理解してオーナーさんが選択できる診療を心掛けるようにしている。
ガイア動物病院
大切なソファや壁を、ネコちゃんにバリバリと爪をとがれて傷がつき、困っているオーナーさんは少なくないかもしれません。しかしネコちゃんの爪とぎは、いたずらではなく、生きていく上で欠かせない本能的な行動です。叱ってしまうと、ネコちゃんとの信頼関係が壊れてしまう可能性があります。
この記事では、ネコちゃんが爪とぎをする理由を整理した上で、大切な家具を守る方法と、爪とぎの選び方、誘導するコツを紹介します。ネコちゃんの爪とぎに困っているオーナーさんは参考にしてください。
ネコちゃんの爪とぎは「本能に刻まれた習性」であり、どれだけオーナーさんが叱っても完全にやめさせることはできません。爪とぎには次のような目的があり、ネコちゃんが心身ともに健康的に生きるためになくてはならない行動といえます。
■ネコちゃんが爪とぎをする理由
| 爪とぎをする理由 | 詳細 |
|---|---|
| 爪のケア | 古い爪の層をはがし、常に鋭い状態を保つ |
| マーキング | 縄張りを主張するために肉球の臭腺から自分のニオイをつける。爪痕自体も視覚的なマーキングになる |
| ストレス発散 | イライラや緊張、不安を感じたときの「転位行動」として気持ちをリセットする |
| ストレッチ | 起き抜けに全身を伸ばしながら爪とぎをし、筋肉をほぐす |
| オーナーさんへのアピール | かまってほしいとき、うれしいときなど気持ちを表現する手段 |
こうしたネコちゃんの本能を受け止めながら、お互いがストレスなく暮らせる環境を整えることがオーナーさんにできる正しいアプローチといえます。
ネコちゃんがよく爪とぎをする場所やタイミングを観察すると、愛猫の状態を知る手掛かりになります。行動の背景にある気持ちを理解しましょう。
<ネコちゃんがよく爪とぎをする場所やタイミング>
・起き抜けや遊びの後
・来客後や大きな音がした後
・オーナーさんが見ているところ
・高い位置や目立つ場所
ネコちゃんが起き抜けや遊びの後に爪とぎをするのは、ストレッチや気分転換が目的です。全身を使ってバリバリととぐ動作は筋肉をほぐす自然なウォームアップであり、健康なネコちゃんなら日常的に見られます。
来客後や大きな音がした後に爪をとぐのは、ストレスや緊張をほぐすための転位行動です。急に爪とぎの頻度が増えた場合は、環境にストレス要因がないか見直すサインかもしれません。安心できる隠れ場所をつくるなど、環境の改善を検討してみましょう。
オーナーさんが見ているところで、見せつけるようにする爪とぎは、「かまって」「遊んで」というアピール行動です。帰宅直後や食事の準備中にバリバリととぎ始めるのも、うれしさや期待感が高まったサインといえます。適度に反応してあげると自然と落ち着くことが多いでしょう。
ネコちゃんが高い位置や目立つ場所で爪とぎをする場合は、できるだけ高い位置に爪痕を残し、自分の大きさや強さをアピールするマーキング目的の可能性があります。縄張り意識が高まっているサインでもあり、オーナーさんの目に入りやすい出入口付近や部屋のコーナーが狙われやすい場所です。
市販の爪とぎは、ネコちゃんとの生活に欠かせないアイテムですが、ネコちゃんが気に入らず、使ってくれないケースは少なくありません。ここでは、ネコちゃんに使ってもらうための爪とぎの選び方を紹介します。
<ネコちゃんが使ってくれる爪とぎの選び方>
・爪とぎの素材で選ぶ
・爪とぎの形・タイプで選ぶ
・爪とぎの置き場所と数で選ぶ
市販されている爪とぎは、段ボール・麻・カーペット素材など種類はさまざまです。段ボールはやわらかめで安価なため初めての爪とぎとして最適でしょう。麻や木製は硬めで耐久性があり、しっかりとしたとぎ心地を好むネコちゃんに向いています。ネコちゃんの好みが分からない場合は、まず段ボール製から試してみるのがおすすめです。
爪とぎは、さまざまな形やタイプのものが市販されています。壁や柱で爪とぎをするネコちゃんには縦置き型、床や絨毯でする子には横置き型が向いています。ネコちゃんの体格に合わせ、体をしっかり伸ばせる十分なサイズを選んでください。気に入った爪とぎで寝るネコちゃんもいるので、ベッド型もおすすめです。グラグラ動くものは嫌がるため安定感も必ずチェックしましょう。
爪とぎは、ネコちゃんがよく爪とぎをしている場所のそばに置くのが効果的です。部屋のコーナーや出入口など、目立つ場所に複数設置するのが理想で、縄張りの主張がしやすいようにオーナーさんの目に入る場所に置くと使ってもらいやすくなります。起床直後に使えるよう寝床の近くへの設置もおすすめです。
ネコちゃんに爪とぎを使ってもらうためには、うまく誘導することが必要です。ここでは、爪とぎにスムーズに誘導するコツを紹介します。
<爪とぎにスムーズに誘導するコツ>
・好みに合わせた爪とぎと場所を見極める
・最初にニオイや引っかき傷をつける
・してほしくない場所で爪をとぎそうになったらそっと移動させる
・正しい場所で爪とぎをしたら必ずほめる
新しく爪とぎを導入する際は、まずネコちゃんの行動をよく観察し、段ボール・麻・縦置き・横置き、など愛猫が好む素材やタイプを見極めましょう。爪とぎを置く場所は寝床の近くや、部屋の出入口付近など、ネコちゃんが自然と立ち寄る場所をよく観察して設定することが大切です。
新しい爪とぎには愛猫の前足をやさしく当ててすり付け、ネコちゃん本人のフェロモンを付着させると安心します。「これは自分のものだ」と認識してもらうことで、使い始めるまでのハードルが下がります。マタタビやキャットニップが好きな場合、活用するのも効果的です。
爪とぎをしてほしくない場所でとごうとしたら、抱っこしてそっと移動させましょう。大声で叱ったり無理やり引き離したりするのはNGです。恐怖心からオーナーさんを敵視するようになり、信頼関係が壊れる原因になります。壁や家具に向かいそうになったら静かに抱き上げ、爪とぎのそばへ連れていきましょう。
使ってほしい爪とぎでネコちゃんが爪をといだら、すかさず声かけやおやつでほめましょう。「ここでとぐといいことがある」とネコちゃんが学習すると、指定の場所での爪とぎが少しずつ習慣になっていきます。一貫した対応を根気よく続けることが大切です。
ネコちゃんの爪とぎは習性なので完全にやめさせることはできませんが、「してほしくない場所」を守る対策は可能です。ここでは、壁・家具を守るための爪とぎ対策を紹介します。
■壁・家具を守るための爪とぎ対策
ネコちゃんの爪が長く、するどいままでは壁や家具はボロボロになってしまいます。こまめに爪切りをすれば、壁や家具への被害を軽減できます。成猫は2〜3週間に1回が目安です。嫌がる場合は無理に全部切ろうとせず、1日1〜2本ずつ少しずつ慣らしていきましょう。
ネコちゃんの爪切りの方法は次のページをご覧ください。
猫の爪切りの方法は?道具や手順、嫌がられないためのコツを解説
市販の爪とぎ対策の保護シートを壁や柱に貼り、爪が引っかからないようにすると、物理的に爪をとぐことができなくなります。保護シートには「とがせないタイプ(つるつるとした素材)」と「とがせて壁や柱を守るタイプ(段ボール・麻素材)」などの種類があります。ネコちゃんが背伸びして届く高さや、体長ぐらいまでをカバーするのがポイントです。
どうしてもネコちゃんの爪とぎ対策がうまくいかない場合の最終手段として、ネコちゃんが苦手な柑橘系・酢などのにおいを活用した安全な忌避スプレーが市販されています。爪をといでほしくない場所に吹きかければ、ネコちゃんが近寄らなくなる効果があるでしょう。ただし、使い方によっては体調を崩したり呼吸器に負担をかけたりすることもあるため、十分な注意が必要です。使用する場合は、少量から数日間かけて使用量を増やしていってください。
使いすぎると部屋全体がネコちゃんにとって不快な空間になることがあるため、最終手段として位置づけることをおすすめします。
家具をボロボロにされたくない場合は、ネコちゃんに爪とぎされにくい素材の家具を選ぶことも有効な対策です。ソファは引っかかりにくいレザーやベルベット、マイクロファイバー素材が向いており、ループ状ファブリックや木材は狙われやすい傾向があります。椅子やテーブルは固めの木材やアイアン素材がおすすめで、爪が刺さりにくく手応えがないとネコちゃんは興味を示しにくくなるでしょう。
「キミおもい」は、「キミにやさしい、いっしょにうれしい」というブランドの想いから「傾聴飼育」を推奨しています。傾聴飼育とは、ネコちゃんの習性を学び、発するサインを観察し、その意味を理解しながらいっしょに暮らしていくことです。
ネコちゃんの爪とぎは本能にもとづいた行動なので、完全にやめさせることはできません。ネコちゃんの行動をよく観察し、心地よく爪をとげる環境を整えてあげれば、オーナーさんにとってもネコちゃんにとっても暮らしやすくなるでしょう。
「キミおもい」は、オーナーさんの「おもい」とネコちゃんの「おもい」が通じ合えるよう、お手伝いをしています。
「傾聴飼育」の詳しい内容については、下記のページをご覧ください。
うちの子のおもいに耳をすませる「傾聴飼育」
ネコちゃんが安心して暮らすためには、生活環境を整えてケアをしてあげることが大切です。「キミおもい」のネコちゃんシリーズは、ネコちゃんと暮らす環境づくりをサポートするために開発されたアイテムがそろっています。日々のケアにプラスできるアイテムを選んでみてはいかがでしょうか。
「キミおもい」は、オーナーさんとネコちゃんの双方が快適に過ごせる暮らしを応援しています。ネコちゃんを理解し、信頼関係を築ける環境づくりを始めてみましょう。
「キミおもい」のネコちゃんシリーズについては、下記のページをご覧ください。
キミおもい Cat - ネコちゃん
ネコちゃんの爪とぎは爪のケアやマーキング、ストレス発散、ストレッチ、甘えたいアピールなどの本能的な目的をもつ行動です。やめさせるのではなく、してもいい場所へ誘導することで、ネコちゃんもオーナーさんもストレスなく暮らせます。
ネコちゃんが存分に爪をとげる環境を整えてあげれば、壁や家具も守ることは十分に可能です。ネコちゃんの行動をよく観察し、気持ちに寄り添いながら、心地よい共生生活を楽しんでいきましょう。
ネコちゃんが爪とぎをする理由は、古い爪の層をはがして鋭さを保つ「爪のケア」、肉球の臭腺でニオイをつける「マーキング」、ストレスや緊張をほぐす「ストレス発散」、筋肉をほぐす「ストレッチ」、そしてオーナーさんへの「甘えたいアピール」です。いずれも生きていく上で欠かせない本能的な行動なので、完全にやめさせることはできません。ネコちゃん好みの爪とぎを用意し、うまく誘導することが正しいアプローチです。
ネコちゃんが爪とぎをするときの気持ちは、そのタイミングや場所によって異なります。起き抜けや遊びのあとは「ストレッチ・気分転換」、来客後や不安なときは「ストレス発散」、オーナーさんの前でする場合は「甘えたいアピール」、高い位置でする場合は「縄張りを主張するマーキング」であることが考えられます。ネコちゃんの行動をよく観察すれば、そのときの気持ちを把握できるでしょう。
ネコちゃんが爪をとぎづらいソファの素材は、合成皮革、レザー、ベルベット、マイクロファイバーなどです。これらの素材は爪が引っかかりにくいため、ネコちゃんが興味を示しにくくなります。一方で、織り目が粗いループ状のファブリック、布製のソファは爪が引っかかりやすく、狙われやすいため避けたほうが無難です。
画像提供/PIXTA







