
記事公開:2026.4.23
マイペースなイメージがあるネコちゃんですが、実はとてもデリケートです。性格や体質にもよりますが、ストレスや環境の変化、加齢などが原因で便秘になることは珍しくありません。
「うちの子、そういえば数日うんちが出ていないかも」「何度もトイレに行くのに出ていないみたい」と不安を感じているオーナーさんも多いのではないでしょうか。単純な便秘であれば心配はありませんが、場合によっては何らかの病気が隠れているかもしれません。
この記事では、ネコちゃんが便秘になる原因や、すぐに病院へ行くべき危険なサイン、家庭でできる予防法について詳しく解説します。ネコちゃんの健康を守り、毎日スッキリ過ごしてもらうための参考にしてください。
監修者のご紹介
松田 唯さん
埼玉県生まれ。北里大学獣医畜産学部卒業後、千葉県内と東京都内の動物病院で勤務。
2019年7月、ガイア動物病院(東京都杉並区)を開設、院長となる。大学時代は医療の専門用語が苦手だったこともあり、治療法や薬についてわかりやすく説明し、治療法のメリット・デメリットを理解してオーナーさんが選択できる診療を心掛けるようにしている。
ガイア動物病院
ネコちゃんが「何日以上排便しなかったら便秘」という明確な定義はありません。出ない日が続いても、その子なりのペースで健康的なうんちが出ていれば問題ないこともあります。
ここで注意したいのが、「食べていないから便が出ないのか」、それとも「便はあるのに出ない」のかを区別することです。体調不良などで食欲がなく、腸の中に便自体が作られていない場合は、便秘とは別の全身疾患などの問題が隠れている可能性があります。
一方、食欲はしっかりあるのに何日もうんちが出ない、あるいはいきんでも出ないという場合は、腸管内に便が詰まっている「便秘」の状態といえます。また、3日以上排便がない、何度もトイレに行くのに出ない、うんちが出てもカチカチで小さいといった状態は便秘が疑われるでしょう。下腹部を触ったときにゴロゴロとした便の感触がある場合も注意が必要です。
たとえ1日おきに排便があったとしても、出たうんちがカチカチに固かったり、異臭を放っていたりする場合は「便秘」と診断されることがあります。大切なのは普段の様子との比較です。日頃から回数や量、硬さを観察すれば、ネコちゃんのちょっとした変化に気づきやすくなります。
■ネコちゃんのうんちの状態の目安
また、下記のような症状は、ネコちゃんが便秘をしているときに見られるサインです。注意して見てあげてください。
<ネコちゃんの便秘が疑われる主な症状>
・トイレ(うんち)をする間隔が普段よりも長い
・頻繁にトイレに行くが、1回のうんちの量が少ない
・普段よりも長く踏ん張っている
・排便姿勢をとるが、うんちが出ない
・下腹部をさわるとゴロゴロとした便の感触がある
ネコちゃんが便秘になる原因は、食事、ストレス、加齢などさまざまです。代表的な6つの原因について、具体的に見ていきましょう。
<ネコちゃんが便秘になる原因>
・水分不足
・ストレス
・毛玉
・加齢
・病気や骨・神経の異常
・薬の副作用
ネコちゃんの先祖は砂漠地帯に住んでいた「リビアヤマネコ」といわれています。その名残で、少ない水分でも生き抜くために尿を濃縮する性質があり、水を飲む量も少なめです。しかし、水分が不足すると便が硬くなり、スムーズに排出できなくなります。特にドライフード中心の生活では水分が不足しやすいため注意が必要です。
とても繊細なネコちゃんは、環境の変化に敏感です。引っ越しや新しい家族の加入、近所の工事音などの精神的なストレスが自律神経を乱し、腸の動きを鈍くさせます。また、トイレが汚れている、猫砂の種類が変わったといった「トイレ環境への不満」から排便を我慢してしまい、それが原因で便秘が悪化するケースも少なくありません。
ネコちゃんが毛づくろいをするときに飲み込んだ毛は、通常は吐き出したり便といっしょに排出されたりします。しかし、換毛期などで大量の毛を飲み込むと腸内で大きな塊となり、便の通り道を塞ぎ、便秘の原因になります。
シニア期に入ると内臓機能が低下し、腸が便を送り出す「ぜん動運動」が弱まり、便秘の原因になります。また、腹筋などの筋力が衰え、踏ん張る力が足りずに便を出し切れなくなることも便秘の一因です。
便秘の裏には身体的な痛みや病気が隠れていることが少なくありません。特に注意したい病気は下記のとおりです。
巨大結腸症とはメガコロンとも呼ばれ、慢性的な便秘により大腸(結腸)が伸びきってしまい、自力で便を押し出す力が失われる病気です。一度発症すると完治が難しく、生涯にわたるケアや手術が必要になることもあります。放置すると、カチカチに固まった便が骨盤を圧迫して激痛を伴ったり、腸閉塞を起こして命に関わったりすることもあります。
治療は主に繊維質の多い療法食や下剤の服用、あるいは定期的な摘便ですが、内科的な治療で改善が見られない重症の場合には、伸びた結腸を切り取る手術が必要です。便秘が疑われるときは早めに受診し、腸が伸びきる前に食い止めれば、ネコちゃんのその後の生活の質(QOL)が向上します。
慢性腎臓病は、シニア期のネコちゃんに多い病気です。腎機能が低下すると尿の量が増え、体が脱水状態になり、大腸で便の水分が過剰に吸収されてカチカチの便になる原因になります。
残念ながら、一度失われた腎臓の機能を元通りに治すことは現在の医療では難しいとされています。しかし、早期に発見して適切な療法食や投薬、皮下点滴などで水分を補う治療を行えば、病気の進行を遅らせ、便秘の苦しみをやわらげることは十分に可能です。
「水を飲む量が急に増えた」「おしっこの量が多い」と感じたら、便秘の悪化を防ぐためにも、早めに動物病院への受診をおすすめします。
便秘の原因がおなかではなく、骨や関節の痛みにあるケースも少なくありません。ネコちゃんが排便時にとる「中腰できばる姿勢」は、足腰にとっては大きな負担です。
骨盤の骨折経験やシニア期のネコちゃんに多い変形性関節症などがあると、踏ん張るポーズをとるだけで鋭い痛みが生じます。ネコちゃんは「排便は、痛いこと」と学習し、排泄を我慢するようになります。我慢した便は腸内でどんどん硬くなり、さらに出すのが痛くなるという悪循環に陥るケースもあるでしょう。
また、事故や加齢による脊髄の損傷、神経の変性などにより、便意を感じる神経や、肛門を締めたり緩めたりする筋肉のコントロールがうまくいかないケースもあります。
治療のために処方されている、体内の水分を排出する利尿剤や、腸内細菌叢を変化させる抗生物質などの副作用で便秘になることがあります。投薬を始めてから様子が変わった場合は、すぐにかかりつけの獣医師に相談しましょう。
便秘は放置すると、前述した「巨大結腸症」を招くだけでなく、腸閉塞や尿毒症を引き起こし、命に関わるケースもあります。以下のサインが見られたら、迷わず受診してください。
<すぐに動物病院の受診をおすすめする主なケース>
・うんちに血が混ざっている
・慢性的に便秘をしている(治っても何度も繰り返す)
・食欲が低下している
・なんとなく元気がない
・嘔吐や下痢など、便秘以外の症状がある
・トイレに行っても何も出ずに叫んでいたり、痛がっていたりする
動物病院では、まずレントゲン検査などを経て便秘の原因を特定し、便秘が認められた場合は次のような処置が行われます。なお、自己判断でのおなかのマッサージや人間用の浣腸薬の使用は、腸を傷つけたり中毒を起こしたりするおそれがあり危険です。ネコちゃんの便秘の治療は、必ず獣医師に相談してください。
■ネコちゃんの便秘対策として動物病院で行う主な治療法
| 治療内容 | ポイント |
|---|---|
| 摘便(てきべん) | ・獣医師が指や器具を使って、直腸に詰まった硬い便を直接かき出す ・ネコちゃんに負担がかかるため、鎮静剤を使用する場合もある |
| 浣腸(かんちょう) | ・薬剤を注入して便をやわらかくし、排泄を促す |
| 点滴 | ・脱水が原因の場合は、点滴によって体内に水分を補給する |
日常のちょっとした工夫で、便秘のリスクを大幅に下げることができます。ここでは、ネコちゃんの便秘を予防する方法を紹介します。
<ネコちゃんの便秘を予防するためにできること>
・トイレ環境を整える
・水の与え方を見直す
・食事の内容を見直す
・ブラッシングする
・適度な運動を促す
・おなかをマッサージする
・シニア期のネコちゃんには特に配慮をする
ネコちゃんは清潔な場所を好みます。排泄物があればすぐに取り除き、定期的に丸洗いしましょう。また、多頭飼育の場合は「ネコちゃんの頭数+1」のトイレを用意するのが理想です。
ネコちゃんのトイレや猫砂については、下記のページをご覧ください。
猫のトイレのしつけのポイントは?うまくいかない場合の対処法も解説
複数の場所に水飲み場を作り、いつでも新鮮な水が飲めるようにします。汲み置きの水が好きな子、流れる水が好きな子など、好みに合わせて給水器を選びましょう。
ドライフードをふやかしたり、ウェットフードを混ぜたりして、食事から摂取できる水分量を増やします。また、腸内環境を整える可溶性食物繊維が含まれた療法食も効果的です。
毛玉による便秘を予防するには、毛づくろいによって大量の毛を飲み込むのを防止するため、こまめなブラッシングが大切です。特に換毛期はこまめにブラッシングをし、飲み込む毛の量を物理的に減らしてあげましょう。
おもちゃで遊んで体を動かすことは、腸の動きを活性化させます。キャットタワーでの上下運動も効果的です。自動で動くおもちゃを設置し、ひとり遊びができるようにするのも良いでしょう。
リラックスしているときに、おなかを「の」の字を書くように優しくなでてあげましょう。ただし、嫌がる場合は無理をさせず、スキンシップの延長で行ってください。
ネコちゃんの抱っこの仕方については、下記のページをご覧ください。
猫は抱っこが嫌い?嫌がられない抱っこの仕方やコツを解説
7歳を過ぎたシニア期のネコちゃんは、関節炎などでトイレの縁をまたぐのが苦痛になることがあります。バリアフリー化するために段差の低いトイレに変更したり、踏ん張りやすい安定した砂を選んだりするのがおすすめです。
繊細なネコちゃんは、自分のトイレのニオイや汚れが気になるとうんちをしなくなったり、回数が減ったりします。ネコちゃんの様子だけでなく、トイレの状態にも気を配り、排便しやすい環境を作りましょう。
「キミおもい」のネコちゃんシリーズは、ネコちゃんの好みや欲しい機能に合わせて選べる猫砂、トイレを清潔に保てるおそうじシートなどをラインナップ。ネコちゃんのトイレをいつも心地よく整えることができます。
「キミおもい」のネコちゃんシリーズについては、下記のページをご覧ください。
キミおもい Cat -ネコちゃん-
排便の様子やうんちの状態を日頃からチェックを心掛けると、ネコちゃんの便秘にいち早く気づけます。
便秘が疑われる場合、「いつものこと」「年を取ったから」といった自己判断は禁物。隠れたケガや病気に気づくきっかけにもなるため、迷わず動物病院で相談しましょう。
ネコちゃんのうんちチェックについては、下記のページをご覧ください。
猫のうんちで健康チェック!色や形など見るべきポイントは?
ネコちゃんの便秘は、強くいきまないとうんちが出ない状態を指します。3日以上排便がない、何度もトイレに行くのに出ない、うんちが出てもカチカチで小さいといった状態は便秘が疑われるでしょう。下腹部を触ったときにゴロゴロとした便の感触がある場合も注意が必要です。ひどくなると嘔吐や食欲不振を伴うこともあります。また、「いつもと違う」というオーナーさんの直感を大切に、日頃から排便の様子を観察してください。
ネコちゃんの便秘が疑われる際、動物病院ではレントゲンなどで検査して原因を特定し、硬くなった便をかき出す「摘便」や、薬剤で便をやわらかくする「浣腸」、脱水を改善する「点滴」などの処置が行われます。便秘の背景には、巨大結腸症や慢性腎臓病、骨折による痛みなどが隠れている場合もあります。オーナーさんによるマッサージや人間用の浣腸薬の使用は危険なため、ネコちゃんの便秘は必ず獣医師に相談してください。
ネコちゃんの便秘を予防するには、新鮮な水を複数箇所に置き、ウェットフードを活用するなどして水分摂取量を増やしましょう。こまめなブラッシングで毛玉の蓄積を防ぎ、おもちゃで遊んで運動を促すことも腸の活性化につながります。また、ネコちゃんは繊細なため、トイレ環境の整備が重要です。シニア期のネコちゃんには、段差の少ないトイレにするといった配慮も有効です。
画像提供/PIXTA







