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猫のおしっこの回数に目安はある?頻度や量が変化する原因を解説

記事公開:2024.04.30

ネコちゃんは元々、泌尿器系のトラブルが多い動物だといわれています。1日にするおしっこの回数、量、色などを把握し、日頃からチェックをすることは、ネコちゃんの健康管理をする上でとても重要です。

この記事では、ネコちゃんのおしっこの回数や量、飲む水の量の目安などを解説。さらに、おしっこの様子がいつもと違うときの原因や、対応法についてもお伝えします。

ネコちゃんのおしっこの回数は1日1~3回が目安

健康なネコちゃんの場合、1日のおしっこの回数は、その子の体質や食生活によっても異なりますが、一般的には成猫で1日あたり1~3回程。子猫だともっと多く、4~5回程だといわれています。

ただし、1日あたりの回数はあくまでも目安であり、重要なのは「その子の普段の回数」から変化があるかどうかです。普段のおしっこの回数から大きく増減した場合、ネコちゃんの体のどこかでトラブルが起きているサインかもしれません。日頃から愛猫のトイレの様子を観察して、普段のおしっこの回数を把握しておきましょう。

ネコちゃんのおしっこは回数以外のこともチェックしよう

ネコちゃんのおしっこでチェックしておきたいのは、回数だけではありません。1日あたりのおしっこの量や1日あたりに飲む水の量のほか、おしっこの色やニオイなども、変化があればすぐ気がつくよう、日頃から把握しておきましょう。

おしっこの量

ネコちゃんのおしっこをチェックする場合、量も重要なポイントになります。健康なネコちゃんの場合、1日のおしっこの量は、体重1kgあたり20~30mlが目安。体重5kgのネコちゃんの場合であれば、100~150mlが目安となります。体重1kgあたり50mlを超えると「多尿」と考えられるため、注意が必要です。

システムトイレを利用している場合、ネコちゃんのおしっこの量は、使用前と使用後のペットシーツの重さを比べることでわかります。ノーマルトイレで固まる猫砂を使っている場合は、猫砂のかたまりの大きさをチェックする習慣をつけるのがおすすめです。例えば「50mlの水」で固めた猫砂と、ネコちゃんの1回のおしっこで固まった猫砂の大きさを比較することで、だいたいの尿量が把握できます。排泄物の量をチェックできる機能がついた自動トイレを使って、おしっこの量を把握することもできます。

ただし、複数のネコちゃんが同じトイレを使用している場合は、どの子のおしっこなのかわかりにくいケースもあるため、あくまで目安として考えるとよいでしょう。自動トイレは多頭飼育に対応した機能が付いたものもありますが、おしっこの量の把握が難しい場合、後述するネコちゃんが飲む水の量をチェックするのがおすすめです。

飲む水の量

おしっこの量は、ネコちゃんが飲む水の量とも関係しています。ネコちゃんが1日に飲む平均的な水の量は、体重1kgあたり25~50ml程。体重5kgの場合、125~250mlが目安となります。
ネコちゃんに水を与える際は、計量カップやペットボトルなどで量を把握しておき、翌日までに減った分を量ることで、1日の飲む水の量がわかるでしょう。

おしっこの色やニオイ

健康なネコちゃんのおしっこは薄い黄色で、ツンとした独特のニオイがあります。「おしっこの量が増えて水に近い色になる」「おしっこに血液が混ざってピンクがかっている」「おしっこがにごっている」「普段とニオイが違う」などの場合は、病気の可能性があるので要注意です。

ネコちゃんのおしっこの回数や量が変化する原因は?

ネコちゃんがおしっこをする回数や量がいつもと異なる場合、どのような原因が考えられるのでしょうか。「トイレに行く回数は多いが、おしっこの量は少ない」「トイレに行く回数もおしっこの量も多い」「トイレに行く回数は少ないが、おしっこの量は変化なし」の3パターンについて解説します。

トイレに行く回数は多いが、おしっこの量は少ない

ネコちゃんが普段よりもトイレに行く回数が多いものの、1回のおしっこの量が少ない場合は、頻尿と考えられます。頻尿の原因として挙げられるのは、膀胱炎や尿石症などです。

膀胱炎

膀胱炎は、膀胱に炎症が起きることで、頻尿、血尿、排尿時の痛みなどの症状が現れる病気です。ネコちゃんの膀胱炎は、細菌感染や尿石による物理的な刺激などが原因となって起こります。検査をしても原因がはっきりとしない特発性の膀胱炎もあります。特発性の場合はストレスが要因のひとつともいわれており、治っても再発しやすいのが特徴です。根気強く治療しましょう。

尿石症

尿石症は、尿路結石症とも呼ばれる病気です。尿に含まれるミネラル成分が結晶化し、腎臓、膀胱、尿道などの泌尿器で結石となって、頻尿、血尿、尿に結晶や結石の粒が混じる、排尿ができないなどの症状を引き起こします。ネコちゃんのおしっこは元々pH6くらいの弱酸性ですが、さらに酸性に傾いたり、逆にアルカリ性に傾いたりした状態が続くと結石ができやすくなります。
ネコちゃんの尿石症では特に、尿がアルカリ性に傾いた状態が続くとできやすくなる「ストルバイト結石」が多く見られます。

膀胱内腫瘍

発症頻度は多くありませんが、高齢のネコちゃんの場合、膀胱に腫瘍ができている可能性もあります。腫瘍が大きくなることで尿路内に炎症が起こり、頻尿になったり、血尿が出たりといった症状を引き起こすのです。進行すると食欲も低下します。膀胱の腫瘍による症状は、膀胱炎や尿石症と似たものあるため、初期での診断が難しいケースがあります。そのため、膀胱炎や尿石症の治療を経て、詳しい検査を受け、発見に至ることがあるようです。

トイレに行く回数もおしっこの量も多い

ネコちゃんがトイレに行く回数とともにおしっこの量も多い場合は、多尿の状態です。多尿になると体に必要な水分が出ていくため、喉が乾き、水をたくさん飲む「多飲」の症状も現れます。多尿から考えられる原因は次のとおりです。

糖尿病

糖尿病は、膵臓から分泌されるインスリンの作用不足による病気です。肥満や運動不足が原因のひとつとされ、若いネコちゃんよりも高齢のネコちゃんに多く見られます。
症状としては多飲多尿、食欲不振、体重減少、嘔吐などがあり、進行とともに白内障や腎疾患、肝疾患などの合併症を伴うことが多いので注意が必要です。

子宮蓄膿症

子宮蓄膿症は、避妊手術をしていない女の子に見られるもので、子宮が細菌感染によって炎症を起こし、子宮内部に膿が溜まる病気です。多飲多尿、食欲不振、下痢、嘔吐、陰部からの膿などの症状が現れます。

慢性腎障害

慢性腎障害は、何らかの原因で腎臓の機能が長期間にわたって低下していく病気です。若いネコちゃんでも発症することがありますが、高齢のネコちゃんに多く見られます。初期は目立った症状がなく、進行すると多飲多尿や食欲不振、嘔吐などの症状が現れます。できるだけ早い治療ができるよう、ネコちゃんのおしっこの異変に気づいたら動物病院を受診することが大切です。

トイレに行く回数は少ないが、おしっこの量は変化なし

1日あたりのおしっこの量に変化がないのに、トイレに行く回数が少なくなった場合は、ネコちゃんがトイレを使いたくない理由があるか、関節炎や腰が痛いなどで排尿時のストレスを抱えている可能性があります。

ネコちゃんのトイレに行く回数やおしっこの量が変化した場合の対応

ネコちゃんのおしっこの回数や量、そのほか様子がいつもと違う場合、どのように対応すれば良いかをご紹介します。おうちでできる対応も確認しておきましょう。

気になる症状がある場合は動物病院へ

ネコちゃんのおしっこの変化で気になる症状がある場合は、動物病院を受診しましょう。前述のとおり、ネコちゃんのおしっこの変化で特に注意したいのは、普段よりもトイレへ行く回数が増えたときです。
例えば、腎臓の病気がある場合は色の薄い尿がたくさん出ますし、膀胱炎では少量の排尿を何度も繰り返すことがあります。

加えて、「おしっこをするときに痛そうにしている」「おしっこをしようとしているのにほとんど出ない」などの異常が見られた場合は、病気の可能性があるので、すぐに動物病院で診察を受けることをおすすめします。

ストレスを減らす

ネコちゃんのトイレに行く回数がいつもより少なくなった場合、おしっこの量や色に大きな変化がなく、元気で食欲もあれば、それほど心配する必要はありません。

ただし、繊細なネコちゃんは、お部屋の家具の位置が変わる、電化製品から聞き慣れない音がするなど、小さな環境の変化にストレスを感じ、トイレに行くのを我慢してしまうこともあります。ネコちゃんがトイレを使う回数が減ったときは、身近にストレスを感じさせるモノ・コトがないかを確認してみましょう。

しっかり水を飲めるようにする

ネコちゃんがおしっこをする回数が少なくなった場合、水分の摂取量が足りていない可能性もあります。ネコちゃんがあまり水を飲んでくれないなら、「水飲み場を複数設置する」「常に新鮮な水を用意する」「ドライフードをウェットフードに変更する」などの方法で、水分摂取量を増やす工夫をしてみましょう。

トイレ環境を整える

キレイ好きなネコちゃんは、トイレが清潔でないと、おしっこを我慢してしまうことがあります。トイレはこまめにお掃除をして清潔に保ち、多頭飼いの場合はネコちゃんの頭数以上のトイレを用意することを心掛けましょう。

ネコちゃんのおしっこを日頃からチェックしよう

ネコちゃんのおしっこの回数や量は、健康状態を表す重要なバロメーターです。日頃から排泄のリズムをきちんと把握しておけば、病気の兆候にもいち早く気づくことができます。
ネコちゃんのおしっこチェックを日頃から意識して、変化に気づいたら早めに動物病院を受診するようにしましょう。

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よくあるご質問

ネコちゃんが1日にするおしっこの回数の目安は?

健康なネコちゃんの場合、1日のおしっこの回数は、成猫で1日あたり1~3回程、子猫では4~5回程といわれています。

ただし、1日あたりの回数はあくまでも目安。重要なのは「いつもの回数」から変化があるかどうかです。日頃から愛猫のトイレの様子を観察して、普段のおしっこの回数を把握しておきましょう。

ネコちゃんが1日にするおしっこの量の目安は?

健康なネコちゃんの場合、1日のおしっこの量は、体重1kgあたり20~30ml。例えば体重5kgのネコちゃんであれば、1日100~150mlが目安となります。

ネコちゃんのおしっこの量は、システムトイレなら使用前と使用後のペットシーツの重さを量ればわかります。ノーマルトイレを使っている場合は、ネコちゃんの1回のおしっこで固まった猫砂の大きさで、だいたいの尿量が把握できるでしょう。自動トイレの場合、尿量を測定できる機能がついたものもあります。

おしっこの量を調べるのが難しい場合は、ネコちゃんが飲む水の量を測るのがおすすめです。ネコちゃんが1日に飲む平均的な水の量は、体重1kgあたり25~50mlが目安になります。

ネコちゃんのおしっこの回数や量が変化した場合の対応は?

ネコちゃんがこれまでより頻繁にトイレに行くようになったり、おしっこの量が増えたり減ったりした場合は、病気のサインかもしれません。できるだけ早く動物病院を受診しましょう。

トイレに行く回数が減ったものの、それ以外はいつもどおりという場合は、水分をとる量が足りないか、何らかの原因でトイレに行きたがっていない可能性があります。ネコちゃんのストレスの原因を取り除く、水を十分に飲める環境にする、トイレを常に清潔に保つなどを試してみてください。

画像提供/PIXTA


監修者のご紹介
松田 唯さん
埼玉県生まれ。北里大学獣医畜産学部卒業後、千葉県内と東京都内の動物病院で勤務。
2019年7月、ガイア動物病院(東京都杉並区)を開設、院長となる。大学時代は医療の専門用語が苦手だったこともあり、治療法や薬についてわかりやすく説明し、治療法のメリット・デメリットを理解してオーナーさんが選択できる診療を心掛けるようにしている。
ガイア動物病院 

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