
記事公開:2025.8.25
ワンちゃんの爪切りは、健康を守るために欠かせない重要なケアです。ワンちゃんは爪が伸びすぎると歩行に支障をきたすだけでなく、ケガや病気のリスクも高まってしまいます。
この記事では、犬の爪切りの理想的な頻度や、爪が伸びているサインのほか、正しい切り方や安全に爪切りをするための準備、手順、コツについて詳しく解説します。ワンちゃんのご家庭でのケアの参考にしてください。
ワンちゃんの爪切りは、愛犬の健康と快適な生活を守る上欠かせないケアです。爪が伸びすぎると、肉球に食い込んで炎症を起こしたり、カーペットに引っかかって爪が割れたり抜けたりする可能性があります。さらに、歩きづらさや体のバランスの崩れから、関節や筋肉への余計な負担にもつながりかねません。
一般的に、ワンちゃんの爪は1ヵ月に数ミリ程度伸びるとされており、月に1~2回の頻度で爪切りを行うのが理想です。
ただし、活発に散歩しているワンちゃんは、アスファルトなど硬い地面で自然に爪が削れるため、爪切りの回数は少なくて済む場合もあります。一方で、室内中心の生活をしている犬は爪が摩耗しにくく、こまめなケアが必要でしょう。
また、狼爪(ろうそう)と呼ばれる内側の爪は地面に接しにくいため、歩行で削れず、伸びやすい傾向にあります。定期的に爪の長さをチェックし、必要に応じたケアが大切です。愛犬の足元をよく観察しながら、最適なタイミングでケアしてあげてください。
ワンちゃんの爪切りは、頻度だけでなく「いつ切るか」もとても重要です。愛犬の足元の健康を守るために、ワンちゃんが示すサインを見逃さず、日常的に爪の状態をチェックする習慣をつけましょう。
爪切りのタイミングとなるサインは、下記のとおりです。
フローリングや硬い床の上を歩いたときに、「カチャカチャ」「コツコツ」と爪が床をこするような音が聞こえるのは、爪が長くなっている証拠です。静かな環境で、ワンちゃんが歩いたときに音がするかをチェックしてください。
ワンちゃんが立っている状態で、爪の先端が地面にふれているようであれば、爪切りのサインです。本来、爪は地面につかない長さが理想的です。
歩き方がぎこちなかったり、部屋の絨毯に爪が引っかかったりする場合も、ワンちゃんの爪が伸びすぎているサインです。そのままでは爪が折れたり、根元から抜けたりといったトラブルにつながりかねません。また、伸びた爪が肉球に食い込んでしまうケースもあり、痛みが伴います。
ワンちゃんの爪切りを安全に行うためには、事前の準備がとても大切です。人間用の爪切りではうまく切れなかったり、爪を割ってしまったりするリスクがあるため、必ずワンちゃん専用の道具を用意しましょう。爪切りに必要な基本アイテムは下記のとおりです。
■ワンちゃんの爪切りに必要なもの
犬用の爪切りにはギロチンタイプ、ニッパータイプ、電動やすりタイプなどがあります。ワンちゃんのサイズや爪の硬さ、オーナーさんの扱いやすさに応じて選びましょう。
爪切りの種類によってはワンちゃんが嫌がったり、痛がることもあるので注意して見てあげてください。
ヤスリは、爪を削ったり、爪を切った後の断面をなめらかに整えたりするために使います。手動の金属製・紙製やすりのほか、電動タイプも市販されています。
万が一、深爪をして出血したときのために、パウダータイプやジェルタイプの止血剤を準備しておくと安心です。
おやつは爪切りの後にご褒美として与えれば、ワンちゃんにとってポジティブな経験になります。お気に入りのおやつを用意しておきましょう。
タオルは、ワンちゃんの体を保定するときや、出血時の応急処置にも使えます。
これらの道具を事前にそろえておくと、焦らずスムーズに爪切りを進められます。ワンちゃんがリラックスできるよう、静かな環境を整えてから始めましょう。
ワンちゃんの爪切りは、正しい手順で行えば、安全かつスムーズに進められます。焦らずに、ワンちゃんの様子を見ながら、段階を踏んで爪切りをしましょう。基本的な手順は、次のとおりです。
爪切りはワンちゃんがリラックスできる静かな環境で行いましょう。床や低めのテーブルの上など、安定した場所にワンちゃんを乗せ、すべり止めマットを敷いておくと安心です。
オーナーさんはワンちゃんの体を優しく包み込むように保定します。ワンちゃんの背中側に回って、脇でしっかりと胴体を支えると安定します。二人で行う場合は、一人がおやつや声かけで気を引き、もう一人が爪を切るとスムーズです。
爪の周囲の毛をかき分け、肉球を軽く押して爪を出します。次に、血管の位置を確認しましょう。切る爪を決めたら、しっかりと握って動かないようにします。白い爪の場合、血管はピンク色に透けて見えます。黒い爪の場合は、爪の内側が白っぽく見えるところが血管の目安ですが、見分けが難しいことが多いため、慣れるまでは動物病院などでのケアがおすすめです。
爪切りは先端から45度の角度で、少しずつ慎重に切ります。一気に深く切らず、断面を確認しながら数回に分けてカットすると安心です。
■ワンちゃんの爪の構造と切る場所
ワンちゃんの爪には血管と神経が通っており、深爪をすると出血や痛みを引き起こすおそれがあります。もし出血してしまった場合は慌てず、タオルで押さえ、止血剤を使用しましょう。それでも止血できない場合は、動物病院を受診してください。
爪を切ったあとは、角が鋭くなっていないか確認します。必要に応じて紙やすりや電動やすりで角を丸く整えてあげると、ワンちゃんが床に爪を引っかける心配も減ります。
爪を1本切るごとにおやつを与えるなどして、ポジティブな経験として爪切りを記憶させましょう。「よくできたね」「いい子だね」と優しい声がけも大切です。
もしワンちゃんが嫌がって暴れるようであれば、無理せず一度やめて、時間をおいて少しずつ慣れさせていきましょう。
ワンちゃんの中には、爪切りを嫌がる子も少なくありません。無理に進めると、怖がってさらに苦手意識を強めてしまうこともあります。ワンちゃんとオーナーさんの双方のための、ストレスの少ない爪切りのコツをご紹介します。
日常的にワンちゃんの足先や肉球にやさしくふれる習慣をつけておくと、爪切りへの抵抗感が和らぎます。足先にふれられることに慣れていると、保定やカットの際にも落ち着いていられるようになります。
特に黒い爪のワンちゃんは血管が見えにくいため、ワンちゃんの爪の形や状態を普段からよく観察すると良いでしょう。
ワンちゃんが爪切り用の道具を怖がらないように、日頃から目に見える場所に置いておくのも効果的です。匂いを嗅がせたり、爪に軽く当てたりする練習を繰り返せば、警戒心をやわらげられます。
子犬のうちから慣れさせておくのが理想ですが、大人のワンちゃんでも根気よく接すれば徐々に慣れます。
ワンちゃんはオーナーさんの反応にとても敏感です。爪が1本でも切れたら、「すごいね」「えらいね」と明るく声をかけ、笑顔でたくさん褒めてあげましょう。
また、とっておきのご褒美を用意すると、ワンちゃんにとって「爪切り=良いこと」とポジティブな印象を植えつけられます。
無理に一気に切ろうとせず、1日に1本ずつ切るなど、ワンちゃんのペースに合わせるのもひとつの方法です。毎日少しずつ慣れていけば、爪切りが苦手なワンちゃんでも徐々に受け入れられるようになります。
1本切るたびに大げさなくらいに褒め、ご褒美を与えて成功体験を積み重ねましょう。
ワンちゃんが極端に嫌がる、オーナーさんも自信がないという場合には、無理をせず動物病院やトリミングサロンに依頼するのがおすすめです。
プロはワンちゃんの扱いに慣れており、安全に、かつ短時間で爪切りを済ませてくれます。特に通い慣れた施設であれば、ワンちゃんも落ち着いて施術を受けられるでしょう。ワンちゃんとオーナーさんの信頼関係を崩さないためにも、難しいケアはプロにお任せするのが安心です。
監修者のご紹介
松田 唯さん
埼玉県生まれ。北里大学獣医畜産学部卒業後、千葉県内と東京都内の動物病院で勤務。 2019年7月、ガイア動物病院(東京都杉並区)を開設、院長となる。大学時代は医療の専門用語が苦手だったこともあり、治療法や薬についてわかりやすく説明し、治療法のメリット・デメリットを理解してオーナーさんが選択できる診療を心掛けるようにしている。
ガイア動物病院
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「キミおもい」のワンちゃんシリーズについては、下記のページをご覧ください。
キミおもい Dog– ワンちゃん-
ワンちゃんの爪切りは、月に1~2回を目安に、愛犬の様子に合わせて行うことが大切です。個体差があるため、生活環境や行動パターンをよく観察しながら、適切なタイミングでケアしましょう。
オーナーさんが正しい知識と方法を身につければ、ワンちゃんに負担をかけない爪切りができ、大切な愛犬の健康を守ることができます。一気に切ろうとせず、少しずつ慣らすことが成功のカギです。どうしても難しい場合は、動物病院やプロのトリマーに依頼してください。
ワンちゃんの健康管理の一環として、定期的な爪切りは欠かせません。爪が伸びすぎると、歩きづらさや関節への負担、爪が折れたり、抜けたりするリスクが高まるからです。また、狼爪は摩耗しにくいため特に注意が必要です。
一般的には月に1〜2回が目安です。ただし、ワンちゃんの生活スタイルや爪の伸び方には個体差があります。アスファルトの上をよく歩くワンちゃんは自然に爪が削れることもあるため、定期的にチェックして適切なタイミングでケアしましょう。
爪切りを嫌がるワンちゃんには、「1本ずつ切る」「日常的に足先を触って慣れさせる」「ご褒美を活用する」など、少しずつ慣れさせていく方法がおすすめです。どうしても難しい場合は、動物病院やトリミングサロンに依頼するのも安心です。ワンちゃんの負担を最小限にしながら、続けられる方法を見つけましょう。
画像提供/PIXTA














