記事公開:2025.1.27
ワンちゃんの耳掃除をしたことがないオーナーさんもいるかもしれません。しかし、ワンちゃんの体質や耳の形状などによっては、耳のトラブルが起きやすく、耳掃除が必要な場合もあります。
この記事では、ワンちゃんの耳掃除が必要な場合や頻度の目安のほか、自宅で耳掃除をする際の手順などについて解説します。
そもそも、ワンちゃんに耳掃除が必要なのか、疑問に思うオーナーさんもいるかもしれません。基本的には無理に耳掃除をする必要はありませんが、犬種や季節などによっては適切な耳掃除が必要な場合もあります。
ワンちゃんの耳には、自浄作用という自然に浄化する力が備わっており、耳の奥で発生した汚れが自然に外へ排出されます。そのため、オーナーさんがワンちゃんの耳の中を頻繁にさわったり、耳掃除をしたりする必要はありません。
日常のケアとしては、自浄作用によって耳の外に出てきた汚れを、やわらかいガーゼやコットン、ペット専用のウエットシートでやさしく拭き取れば十分です。
ワンちゃんの耳には自浄作用がありますが、耳の形状や構造によっては耳掃除が必要な場合もあります。例えば、垂れ耳のワンちゃんの場合、耳の通気性が良くないため耳の中が湿りやすく、汚れやすい傾向があります。
また、皮膚疾患を抱えている子や短頭種のように耳の構造が複雑な子の場合も、耳が汚れやすいため注意が必要です。特に、コッカースパニエルなどの犬種は、耳垢のもとになる耳垢腺(じこうせん)が多く存在する遺伝的特徴があるため、定期的なケアが求められる場合があります。耳のケアを怠ってしまうと、悪臭が発生したり、慢性的な外耳炎を引き起こしたりする可能性もあります。そのため、ワンちゃんを迎える前に犬種の特徴をしっかり理解しておくといいでしょう。
犬種を問わず、湿度の高い時期は耳の中が蒸れて汚れやすくなります。普段耳掃除が不要なワンちゃんでも、湿度の高い時期はこまめに耳の状態をチェックするといいでしょう。
もし、耳が赤くなっていたり、普段と違うニオイがしたりする場合は、動物病院を受診することをおすすめします。
ワンちゃんの耳掃除は、どの程度の頻度で行うと良いのでしょうか。耳の状態をチェックする頻度と、耳掃除をする頻度の目安をご紹介します。
ワンちゃんの耳の状態は、週1回を目安にチェックしましょう。もし耳に汚れがついていたら、やわらかいガーゼやコットン、ペット専用のウエットシートを使って、やさしく拭き取ってください。
また、定期的に耳の状態をチェックすることは、トラブルの早期発見に役立ちます。耳が赤く腫れていたり、異臭がしたりする場合は病気のサインかもしれません。このような異常が見られたら、できるだけ早く動物病院を受診してください。
ワンちゃんの耳掃除の頻度は、月に1~2回が目安です。ただし、耳があまり汚れていない場合は、無理にお掃除をする必要はありません。頻繁に耳掃除をすると、耳の中を傷つけてしまったり、トラブルを引き起こしたりしてしまうおそれがあります。
一方で、定期的な耳掃除が必要なワンちゃんの場合、目安よりも耳掃除の頻度は増えることもあります。そのような場合は、獣医師に相談の上、耳の汚れ具合に応じて適切なケアを行うことが大切です。
また、すでに耳にトラブルを抱えている子の場合、耳掃除は痛みを伴うことが多いため、無理に行うのは避けましょう。無理をすると、ワンちゃんの負担となるほか、「耳をさわられたくない」と感じさせてしまう原因になりかねません。まずは動物病院で適切な治療を受けて状態が良くなってから、自宅でのケアに挑戦するのがおすすめです。
ワンちゃんの耳は、その状態や耳垢をチェックすることで、問題がないかを確認できます。
なお、耳をさわられることを嫌がるワンちゃんもいるので、いきなり耳をさわろうとするのは避けましょう。ワンちゃんの負担とならないよう、スキンシップの一環として、少しずつ耳をさわられることに慣れさせるのがおすすめといえます。
ワンちゃんの耳をチェックする際のポイントは、下記のとおりです。
■ワンちゃんの耳をチェックする際のポイント
また、耳の状態とともに、ワンちゃんの行動も観察することが大切。頻繁に耳をかいていたり、頭を振ったりしている場合には、耳のトラブルが起きているかもしれません。どんなワンちゃんでも、耳をかいたり頭を振ったりはすることはあるので、「頻繁に」というのが重要なポイントです。普段と様子が違うと感じたら、動物病院を受診してください。
ここからは、耳にトラブルが起きていないワンちゃんを対象に、自宅で耳掃除をする手順を紹介します。安全かつ効果的にケアができるよう、適切な手順で行いましょう。
ワンちゃんの耳掃除に必要なアイテムは、ワンちゃん用の耳洗浄液とコットンです。耳洗浄液は、動物病院やペット用品店などで購入できます。
先に挙げたチェックポイントを参考に、ワンちゃんの耳の状態をチェックします。この時点で異常なサインが見られる場合には、自己判断で耳掃除をすることは避けてください。
かえって状態を悪化させてしまう可能性があるため、必ず動物病院を受診しましょう。
コットンにワンちゃん用の耳洗浄液を含ませ、オーナーさんの目に見える範囲の汚れをやさしく拭き取ります。耳のひだは汚れが溜まりやすいため、丁寧に拭き取りましょう。
なお、コットンを耳の奥まで入れる必要はありません。奥までキレイにしようとしてしまうと、耳の中を傷つけたり、炎症を引き起こしたりする可能性があります。
耳掃除が無事に終わったら、ワンちゃんをたっぷりほめてあげましょう。やさしく声をかけたり、おやつをあげたりすることで、ワンちゃんの耳掃除への抵抗感がやわらぎます。
特に、初めて耳掃除をする際は、ワンちゃんが緊張してこわばってしまうこともあるため、オーナーさんが安心感を与えてあげることが大切です。たっぷりほめて終わることで、ワンちゃんにとって耳掃除がポジティブな体験となり、次回以降もスムーズに行いやすくなります。
ワンちゃんの耳掃除は、適切な方法で行うことが大切です。耳掃除をする際には、下記のポイントに注意しましょう。
綿棒や耳かきなど、人間用のアイテムをワンちゃんの耳掃除には使わないでください。綿棒を使うと耳垢を奥に押し込んでしまう可能性があります。
また、人間用のアイテムはワンちゃんにとって刺激が強く、耳を傷つけてしまうことで、外耳炎などのトラブルを引き起こしかねません。
ワンちゃんの耳掃除をする際は、力を入れず、やさしく行うのが基本です。念入りに汚れを取ろうと力強く拭いたりこすったりしてしまうと、耳を傷つけてしまう可能性があります。
ワンちゃんの耳はデリケートな部位です。ワンちゃんに安心感を与えるためにも、焦らずゆったりとした動作を心掛け、やさしく拭き取るようにしましょう。
ワンちゃんの耳掃除は、オーナーさんの見える範囲で行うことが大切です。ワンちゃん用の耳洗浄液には、耳の中に注入するタイプもありますが、獣医師から指示が合った場合にのみ使用することをおすすめします。
自己判断により誤った方法で耳の奥までお掃除してしまうと、かえって汚れが溜まりやすくなったり、耳のトラブルを引き起こしたりしてしまう可能性があります。
耳毛の多さから耳に汚れが溜まりやすいワンちゃんの場合、耳の通気性を良くするために耳毛を抜くケースもあります。ただし、これは自己判断で行うのは避けるべきです。耳毛を抜く行為は、ワンちゃんにとって大きな負担となります。耳毛を処理する必要がある場合は、動物病院やトリミングサロンなどプロに相談しましょう。
ワンちゃんが耳掃除を嫌がる場合でも、工夫次第でスムーズにケアを行うことができます。ワンちゃんにとって耳掃除をポジティブな体験にするためのポイントを紹介します。
ワンちゃんが耳掃除を嫌がる原因のひとつは、耳をさわられること自体に慣れていないからです。日頃からスキンシップを通じて、体のいろいろな部分にさわれることに慣れてもらいましょう。
耳の近くをそっと触れた後におやつをあげるなど、ワンちゃんにとってポジティブな体験を積み重ねていき、徐々に耳掃除のステップへと進めていくのがおすすめです。
耳掃除をワンちゃんが嫌がる場合は、その子が好きなおやつやおもちゃを使って気を引くのも有効です。耳掃除のあいだ、ワンちゃんが夢中になれるようなおやつを与えることで、耳掃除への抵抗感がやわらぎます。
ただし、おもちゃを使う場合は、激しく遊んでしまうものは避けるのがポイントです。遊びに夢中になりすぎるとワンちゃんの体勢をキープすることが難しくなり、耳掃除がスムーズに進まないことがあります。
どうしてもワンちゃんが耳掃除を嫌がる場合は、無理に自宅で行おうとせず、プロに任せるのが安心です。動物病院やトリミングサロンでは、専門的な知識と技術を持つスタッフが、安全に耳掃除をしてくれます。
特に、耳の中が汚れやすい子や、すでに耳のトラブルがある場合は、プロに相談するようにしてください。
監修者のご紹介
松田 唯さん
埼玉県生まれ。北里大学獣医畜産学部卒業後、千葉県内と東京都内の動物病院で勤務。
2019年7月、ガイア動物病院(東京都杉並区)を開設、院長となる。大学時代は医療の専門用語が苦手だったこともあり、治療法や薬についてわかりやすく説明し、治療法のメリット・デメリットを理解してオーナーさんが選択できる診療を心掛けるようにしている。
ガイア動物病院
日常的なワンちゃんの耳のケアには、「キミおもい 肌にやさしいウエットティシュー」を活用するのがおすすめです。水分をたっぷり含んだシルキータッチシートで、やさしく洗い流すようにワンちゃんの肌の汚れを拭き取ることができます。
「キミおもい 肌にやさしいウエットティシュー」については、下記のページをご覧ください。
キミおもい 肌にやさしいウエットティシュー
ワンちゃんの耳掃除は、状況に応じて適切に行うことが大切です。また、異変のサインに早く気づけるよう、定期的に耳の状態をチェックすることをおすすめします。スキンシップの一環として、さりげなくワンちゃんの耳をチェックできるようにしていきましょう。
また、耳のチェックで気になる変化が見られたら、できるだけ早く動物病院を受診してください。
ワンちゃんの耳には自浄作用があるため、耳掃除は必須ではありません。耳に汚れがついていたら、オーナーさんの見える範囲で、やわらかいガーゼやコットン、ペット専用のウエットシートで拭き取るケアで十分です。
ただし、耳が垂れているワンちゃんや耳が汚れやすいワンちゃんの場合、定期的に耳掃除をすることが推奨されます。
ワンちゃんの耳掃除の頻度は、月1~2回が目安です。耳の中が汚れやすい子の場合、目安よりも頻度が増える可能性もあります。また、耳掃除をする前に、ワンちゃんの耳の状態をチェックすることが大切です。耳の色や耳垢の状態などが普段と違う場合には、動物病院を受診してください。
なお、すでに耳にトラブルを抱えている子の場合、耳掃除は痛みを伴うことが多いため、無理に行うのは避けましょう。耳の治療を受けて状態が良くなってから、自宅でのケアに挑戦するのがおすすめです。
ワンちゃんが耳掃除を嫌がる場合、耳をさわれること自体を嫌がっている可能性があります。そのため、まずは耳をさわられることに慣れてもらうようにしましょう。
また、耳掃除の際におやつで気を引いたり、たくさんほめたりするのもおすすめです。ワンちゃんの抵抗感がやわらぎ、耳掃除がポジティブな体験になりやすくなります。
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