記事公開:2024.2.26
春が近づいて暖かくなると、愛犬とお散歩をしているときなどに、花粉症の症状に悩まされるオーナーさんもいるのではないでしょうか。花粉症はアレルギー疾患のひとつですが、人間だけでなくワンちゃんも、ある種の花粉が元でアレルギー症状を引き起こされることが知られています。
この記事では、ワンちゃんの花粉症の特徴や症状が見られたときの対処法のほか、花粉症対策のポイントについてご紹介します。
花粉症とは、スギやヒノキなどの植物の花粉をアレルゲンとするアレルギー疾患のひとつです。自分にとって異物である花粉が体内に入ったとき、それを排除しようとする免疫反応が過剰に起きてしまうことで発症します。
人間と同様に、ワンちゃんには「食物アレルギー」や「ノミ・ダニアレルギー」など、さまざまなアレルギー疾患がありますが、そのうちのひとつとして、花粉が原因となって起きるアレルギー疾患、いわゆる「花粉症」があるのです。
アレルギー症状を引き起こす主な花粉が飛散する時期は地域によって異なりますが、スギが2~4月頃、ヒノキが3~5月頃、イネ科の植物が5~10月頃、ブタクサが8~11月頃です。
このうち、ブタクサの花粉は、特にワンちゃんのアレルギー症状を引き起こしやすいアレルゲンとされています。人間の花粉症はスギやヒノキがアレルゲンとなるケースが多いため、春先が発症のピークになりますが、ワンちゃんの場合は春に限らず、夏から秋にかけても注意が必要です。
ワンちゃんの花粉症には、どのような症状があるのでしょうか。人間の花粉症との違いと、ワンちゃんの花粉症が疑われる症状について解説します。
人間の花粉症の場合は、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなど、主に目や鼻にアレルギーの症状が現れます。これは、アレルギーを引き起こす物質を生産する免疫細胞が、人の鼻や目の粘膜に多く分布しているからです。
それに対してワンちゃんの場合は、アレルギーを引き起こす物質を生産する免疫細胞が、皮膚に多く分布しているといわれており、皮膚に症状が現れることが多くなります。
くしゃみや鼻水などの症例も一部で報告されていますが、人間のようにくしゃみが延々と続いたり、大量の鼻水が出たりということはあまりありません。
植物の花粉が多く飛散する春から秋にかけて、ワンちゃんに次のような症状が現れたら、花粉が原因でアレルギー反応を起こしているのかもしれません。
特に、毎年同じ時期に症状が見られるなど、季節性がある場合は要注意です。いつもと違う様子がないか、日頃から注意深く観察することをおすすめします。
・皮膚に発疹や赤みが見られる
皮膚に発疹や赤みが見られる場合は、花粉によるアレルギー症状の可能性があります。症状が現れやすい場所は、指先や指のあいだ、耳、目や口のまわり、おなか、脇などです。発疹や赤み以外にも、フケがたくさん出たり、皮膚にベタつきが見られたりすることもあります。
・体をかいたり、床や壁などにこすりつけたりする
花粉が原因でかゆみを引き起こし、しきりに体をかいたり、床や壁などに体をこすりつけたりする場合があります。指先など同じ場所をなめ続ける場合も要注意です。
・顔、目のまわりをかく
体と同様に、花粉が原因で顔にかゆみが出る場合があります。人間の花粉症の場合は、目の粘膜に症状が現れることが多いですが、ワンちゃんの場合は粘膜ではなく目のまわりの皮膚をかゆがるケースが多いようです。
・くしゃみや咳が出る、鼻水が多い
くしゃみや咳、鼻水といった、人間の花粉症と似た症状もまれにあります。ワンちゃんの場合、花粉が原因でそのような症状が起きた場合は、一時的な反応であることが多いようです。
ワンちゃんの皮膚に赤みや発疹、かゆみなど気になる症状がある場合は、悪化する前にできるだけ早く動物病院を受診することが大切です。
動物病院では、ワンちゃんの症状とオーナーさんへの聞き取りから、それがアレルギー症状かどうかを総合的に見極めます。必要に応じてアレルゲンを突き止めるための検査を行うこともあるでしょう。
花粉によるアレルギー疾患と判断された場合、根本的治療法としては、アレルギー体質を変える減感作療法というものがあります。ただし、費用や手間がかかる上、治療ができる施設も多くないため提案されることは多くないようです。そのため、基本的には症状を抑えるための対症療法が行われます。減感作療法を希望する場合は、かかりつけの獣医師さんに相談してみてください。
対症療法の例としては、炎症を沈める塗り薬やかゆみ止めの内服薬の処方などです。かゆみが強い場合には、免疫反応を抑えるステロイドなどが使用されることも。ワンちゃんがかいたりなめたりすることでこれ以上炎症が広がらないよう、しばらくのあいだ、エリザベスカラーや服を着用させて様子を見る場合もあります。
ワンちゃんの花粉症対策は人間と同様に、アレルギーの原因となる花粉を避けることが基本です。つまり、花粉にできるだけ接触しないことや、屋外から家の中に花粉を持ち込まないことを心掛ける必要があります。
ワンちゃんに花粉症が疑われる場合に、オーナーさんが対策できることをいくつかご紹介しましょう。
1日の中で花粉が多く飛散するのは、お昼の12時前後や、夕方の6時前後。「雨が降った翌日の晴天」「風が強い日」「最高気温が高い日」「湿度が低い日」なども、花粉がたくさん飛びやすいといわれています。これらの時間帯や気象条件の日は、できるだけお散歩や外出を控えるほうがいいでしょう。
■花粉数の時間変動
※2011年3月14日のデータです。
※環境省「花粉症環境保健 マニュアル 2022」をもとに作成。
ワンちゃんのアレルギーの原因となるブタクサやイネ科の植物は、公園や土手、空き地などの草むらに多く生えています。お散歩しているときに草むらに入りたがるワンちゃんは多いものですが、できるだけそうした場所には立ち入らせないようにしましょう。
豊かな被毛を持つワンちゃんは、体の表面に静電気を帯びやすいため、常に花粉を引き寄せやすい状態になっています。そのため、お散歩のときは服を着せて、体に花粉が付着しないようにすることも有効です。
帰宅したら、家の外でワンちゃんの服を脱がせて花粉を払い落とし、服はそのまま洗濯機などへ直行させるのがベスト。できるだけ家の中に花粉を持ち込まないようにしましょう。
散歩から帰ったら、ワンちゃん用のお手入れシートなどで全身をふいたり、グルーミングスプレーをかけてブラッシングしたりして、ワンちゃんの体に付着した花粉をきちんと落としましょう。
ワンちゃんの体から花粉を落とすことは、オーナーさん自身の花粉症対策にもつながります。
花粉が多く飛ぶ季節は、ワンちゃんのシャンプーの頻度を増やし、普段よりこまめにスキンケアをすることも効果的です。シャンプーは、物理的に花粉を落とすことができますが、特に保湿効果や抗炎症効果、皮膚の修復効果のある薬用シャンプーを使用することでより花粉症対策が期待できます。
ただし、シャンプーのしすぎは皮膚炎やストレスの原因にもなるので注意しましょう。次のシャンプーまでの期間が長い場合は、ワンちゃん用のお手入れシートで体をふいてあげるのもおすすめです。
ワンちゃんだけでなくオーナーさん自身も、散歩や外出先から帰宅したときは、家の中に花粉を持ち込まないようにすることが大切です。
帰宅時には頭や体から花粉を落として家に入る、しっかりうがいや手洗いをする、シャワーを浴びて着替えてからワンちゃんと触れ合うといった対策をおすすめします。
ワンちゃん・オーナーさん両方の花粉症対策として、部屋をこまめにお掃除することも有効です。掃除機でホコリを吸い取るだけでなく、時々は床を水拭きして、家に侵入した花粉をしっかり取り除くようにしましょう。また、花粉除去機能がついた空気清浄機を活用することも効果的です。
なお、自宅でできる花粉症対策は、手間がかかるものの強い効果を感じられないケースもあります。そのため、あまり神経質になりすぎないことがポイント。「ワンちゃんのかゆみが多少抑えられるといいな」「治療薬を減らせることができたらいいな」くらいの気持ちで行うと良いでしょう。
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花粉症対策は、ワンちゃんとオーナーさんの両方の健康を守るためにも大切なことです。普段からおうちでできる対策をして、なるべく花粉を遠ざけるようにしましょう。
もし、ワンちゃんに気になる症状が見られた場合には、早めに動物病院に相談することをおすすめします。
人間の花粉症と症状の特徴は異なりますが、ワンちゃんも花粉が原因で起きるアレルギー疾患があります。花粉の中でも特にワンちゃんのアレルギーの原因になるといわれているのは、夏から秋にかけて花粉が飛散するブタクサです。
ワンちゃんの花粉症の症状は、主に皮膚のトラブルとして現れます。例えば、皮膚に発疹や赤みが出る、フケやベタつきが見られる、体をかゆがったり床や壁などにこすりつけたりする、指先をなめ続けるといったものです。まれに人間と同じように、くしゃみや咳、鼻水が増えることもあります。
ワンちゃんの花粉症対策は、アレルギーの原因となる花粉をなるべく避けることが基本。例えば、花粉が多く飛ぶ時間帯や天候のときはできるだけ散歩を控える、散歩の際は服を着せて体に花粉がつかないようにする、家に入る前に体から花粉を落とす、シャンプーの頻度を増やす、部屋をこまめにお掃除するといったことが効果的です。
画像提供/PIXTA
監修者のご紹介
松田 唯さん
埼玉県生まれ。北里大学獣医畜産学部卒業後、千葉県内と東京都内の動物病院で勤務。
2019年7月、ガイア動物病院(東京都杉並区)を開設、院長となる。大学時代は医療の専門用語が苦手だったこともあり、治療法や薬についてわかりやすく説明し、治療法のメリット・デメリットを理解してオーナーさんが選択できる診療を心掛けるようにしている。
ガイア動物病院