記事公開:2025.5.22
ワンちゃんのニオイは毎日いっしょにいると慣れてしまいがちですが、「なんだか家の中が犬臭い」「外から帰るとニオイが気になる」と感じることもあるのではないでしょうか。
このようなニオイの原因は、ワンちゃん自身から発せられる体臭や口臭、あるいは部屋の中に染みついたニオイなどが考えられます。特に湿度が高い時期には、室内にニオイがこもりやすくなります。
この記事では、ワンちゃんのニオイの主な原因を2つに分けて解説します。具体的な消臭対策として愛犬のケアと室内環境のそれぞれでできること、さらにニオイ対策におすすめの商品もご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
室内でワンちゃんと暮らしていると、「なんとなく部屋が犬臭い」と感じることがあるかもしれません。神経質になりすぎることはありませんが、ニオイがするということは、細菌が繁殖しているということも考えられるため、衛生面から見てもキレイな状態を維持することは大切です。
このニオイの原因は、大きく2つに分類できます。
ひとつはワンちゃん自身が発する体臭や口臭などのニオイ、もうひとつは部屋の中に染みついたワンちゃんのニオイです。それぞれついて、詳しく見ていきましょう。
家の中に漂うニオイの大きな要因のひとつは、ワンちゃん自身が持つ体臭や口臭です。犬の皮膚には「アポクリン腺」と呼ばれる汗腺が全身に分布していて、ここから出る分泌物と皮膚に常在する菌が混ざり合うことで、特有のニオイが発生します。犬は人間のように全身で汗をかくわけではなく、肉球からのみ発汗しますが、アポクリン腺は全身にあるため、湿度や皮膚の状態によってニオイが強く感じられることもあります。
また、体表面積が大きい大型犬は、小型犬よりもアポクリン腺の数も多いため、体臭をより感じやすいかもしれません。さらに、耳の中が蒸れやすい犬種や、よだれが多い犬種では、耳のニオイや口臭も気になりやすくなります。こうしたワンちゃん自身の体のニオイは、日常のケアによってある程度軽減できるでしょう。
なお、ワンちゃんは、歯周病や外耳炎、脂漏症、胃腸の不調(慢性腸炎やリンパ腫)などの病気が原因で、体臭が強くなったり、おならのニオイが強くなったり回数が多くなったりすることもあります。いつもと違う体臭がしたり、おならが気になったりする場合は、かかりつけの獣医に相談してください。
家の中に漂うニオイのもうひとつの要因は、生活空間に染み付いたニオイです。特に、ワンちゃんが寝そべるカーペットやソファー、毛布、ベッド、そしてお気に入りのおもちゃや洋服などの布製品には、被毛や皮脂、唾液などが付着してニオイの元となります。
湿度の高い梅雨時や夏場には、これらのニオイが空気中にこもりやすくなり、より強く感じることがあります。また、食べ残したフードが時間とともにニオイを発するケースもあり、特にウェットフードや傷みやすいものには注意が必要です。
こうした室内に染みついたニオイは、定期的な清掃や換気、消臭対策を行うことで改善が期待できます。まずはどこにニオイの元があるのかを把握し、ワンちゃん自身のケアと並行して、生活環境の見直しが必要です。
ワンちゃんの体臭や口臭が室内のニオイの原因になっている場合は、愛犬のケアを行うことをおすすめします。ワンちゃんの被毛についたニオイをそのままにしておくと、皮脂や汚れが酸化し、さらに強いニオイを発する原因となることがあります。この状態が続くと、皮膚表面で雑菌が繁殖しやすくなり、ニオイがより一層悪化する可能性もあるため、こまめにケアは行うようにしましょう。
ここでは、ワンちゃん自身のニオイを軽減する具体的な方法をご紹介します。
ワンちゃんの被毛にはほこりや花粉、抜け毛、皮脂などがたまりやすく、これがニオイの原因となります。毎日、少なくとも数日に1回のペースでブラッシングを行いましょう。ブラッシングには汚れを取るだけでなく、皮膚の状態を確認する健康チェックの役割もあります。
ワンちゃん専用のシャンプーを使って、月1~2回を目安に洗ってあげると、体臭を大幅に軽減できます。ただし、頻繁なシャンプーは皮膚を乾燥させ、バリア機能を弱めてしまうかもしれません。乾燥肌や敏感肌のワンちゃんには、保湿成分入りのシャンプーや、獣医師に相談した上で使用する製品を選びましょう。
便利なアイテムとして、ワンちゃん向けのドライシャンプーも市販されています。水で濡らす必要がないのでドライシャンプーは手軽に利用できますが、水で洗い流すシャンプーの方が汚れは落ちやすいので、ニオイが気になる場合にはおすすめです。ご自宅でのシャンプーが難しい場合は、トリミングサロンなど、プロに任せることも検討しましょう。
ワンちゃんにシャンプーをする頻度の目安や手順については、下記のページをご覧ください。
犬にシャンプーをする頻度の目安は?シャンプーの手順や注意点も解説
ペット用のウエットシートやボディシートを使ったふき取りケアも、ニオイケアとして有効です。お散歩後や食事後など、汚れが気になるタイミングでやさしくふいてあげましょう。
特に汚れがたまりやすい、足の裏や指の間、顔のしわ、おしりまわりを、週に数回、こまめにふいてあげるだけでニオイの軽減につながります。ペット用ウエットシートは含まれている成分がワンちゃん向けにも配慮されているので、肌への刺激や負担が少なく、使用後にワンちゃんが体をなめても安心です。ワンちゃんには、ペット用ウエットシートのご使用をおすすめします。
口臭もワンちゃんのニオイの大きな原因のひとつです。ワンちゃんは人間よりも歯垢や歯石がつきやすく、それがニオイの原因になることもあります。歯垢は放置すると硬い歯石になり、歯周病につながります。
少なくとも週に数回の歯磨きを習慣化しましょう。最初は嫌がる子も多いので、無理せず段階的に慣らしていくことがポイントです。歯磨きに慣れていない場合は、口腔ケア効果のあるガムやおもちゃなどを活用しながら、少しずつブラシによるケアに移行することをおすすめします。
耳の中もニオイがこもりやすい場所です。特に垂れ耳の犬種や耳の中に毛が多いワンちゃんは、蒸れやすく、汚れがたまりやすいといえます。週に1回は耳の状態をチェックし、汚れが見られる場合は、ワンちゃん用のウエットシートなどでやさしくふき取りましょう。
異常なニオイや大量の耳垢、耳をかゆがる様子が見られる場合は、外耳炎や感染症などの可能性があるため、すぐに動物病院で診察を受けてください。
ワンちゃんに耳掃除をする頻度の目安や手順については、下記のページをご覧ください。
愛犬の耳掃除は必要?頻度の目安や手順、注意点を解説
犬には「肛門腺」というニオイの強い分泌物をためる器官があり、これも体臭の一因です。通常はうんちといっしょに自然に排出されますが、たまりすぎると破裂したり、感染を起こしたりする可能性もあります。
肛門腺は、月1回程度を目安に、分泌物を絞り出してケアします。自宅でのケアが難しいと感じる場合は、動物病院やトリミングサロンなどのプロに任せるとよいでしょう。
ワンちゃんが室内で過ごす時間が長い場合、家具や床、布製品などにニオイが染みついてしまい、気づかないうちに部屋全体が「犬臭い」状態になっていることもあります。
また、消臭剤や芳香剤はワンちゃんにとっては刺激が強く、ストレスの原因になるかもしれません。ワンちゃんは自分のニオイがあることで安心するため、過度な消臭は避け、「人も犬も快適に過ごせる室内環境づくり」を目指すことが大切です。実践しやすい室内の消臭対策を、下記で詳しくご紹介します。
部屋の空気がこもってしまうと、ニオイもこもりやすくなります。特に湿度が高い梅雨時や、冷暖房を使うことで窓を開ける機会が減る季節には、意識的に換気を行いましょう。
1日に2〜3回、数分間でも窓を開けて外気を取り入れるだけでも、空気の入れ替えには効果的です。空気が循環することで、ワンちゃんの体臭や排泄物などから発生するニオイが室内にとどまりにくくなります。
ベッドや洋服、ぬいぐるみ、おもちゃなど、ワンちゃんが日常的に使うアイテムにもニオイはつきます。これらは定期的に洗濯をして清潔に保ちましょう。特に、ワンちゃんがよく口にくわえるおもちゃは唾液がつきやすく、ニオイの原因になります。
洗濯できないものについては、ペット用の消臭スプレーを使って表面の汚れを軽減するのも有効です。ただし、スプレーもワンちゃんに優しい成分の製品を選ぶようにしてください。
ワンちゃんが食べ終えたあとの器はその都度洗い、フードの食べ残しはすみやかに処分しましょう。食器の置きっぱなしを防ぐだけでも、室内のニオイは大きく変わります。
ソファーカバー、カーペット、毛布などの布製品は、空気中のニオイを吸収しやすく、ワンちゃんの被毛や皮脂が付きやすい場所でもあります。こうしたアイテムは月に1回程度を目安に洗濯をし、清潔に保ちましょう。
洗濯が難しい素材のものについては、ペット用の消臭スプレーをこまめにかけることで、ニオイの軽減が期待できます。ただし、消臭スプレーや芳香剤は、ワンちゃんのアレルギーや気管支炎の原因になることもあります。使用を開始する際は部屋の一部など、狭い範囲から使用するようにしてください。
ワンちゃんのトイレのニオイは、部屋の中でも特に気になりやすいポイントです。排泄後はできるだけ早く片付けることが理想的で、特にうんちは時間が経つと強いニオイを発するため注意が必要です。
トイレの頻度が多いワンちゃんや長時間家を空けることが多い家庭では、消臭効果の高いペットシーツを使うのもおすすめです。
ペットシーツを定期的に交換していても、トイレトレーやその周辺が汚れていると、ニオイが部屋に広がる原因になります。特に、おしっこの飛沫が壁に飛ぶケースもあるため、トイレまわりのチェックは欠かせません。
シーツ交換の際には、ペット用のウエットシートや除菌スプレーでトイレトレーや床をふき取り、常に清潔な状態を保ちましょう。
ワンちゃんがトイレをはみ出す場合の原因や対応については、下記のページをご覧ください。
愛犬がトイレをはみ出す!原因別にはみ出しを防ぐ方法を解説
ニオイ対策として、空気清浄機や脱臭機を取り入れるのも効果的です。特にワンちゃんのトイレが設置されている部屋や、エアコンの風がこもりやすい場所に設置することで、ニオイの拡散を防ぐことができます。
監修者のご紹介
松田 唯さん
埼玉県生まれ。北里大学獣医畜産学部卒業後、千葉県内と東京都内の動物病院で勤務。
2019年7月、ガイア動物病院(東京都杉並区)を開設、院長となる。大学時代は医療の専門用語が苦手だったこともあり、治療法や薬についてわかりやすく説明し、治療法のメリット・デメリットを理解してオーナーさんが選択できる診療を心掛けるようにしている。
ガイア動物病院
ワンちゃんと飼い主さんの快適な暮らしをサポートする「キミおもい」シリーズから、特にニオイ対策に役立つ3つのアイテムをご紹介します。
「キミおもい 全身すっきりシート」はシャンプーの代わりに、ワンちゃんの体についたニオイや汚れを手軽に拭き取れる便利なウエットシートです。大判で厚手なので、一枚で全身の汚れや皮脂をやさしく取り除き、体臭の軽減に役立ちます。
「キミおもい 全身すっきりシート」については、下記のページをご覧ください。
キミおもい 全身すっきりシート
「キミおもい 肌にやさしい ウエットティシュー」は、デリケートな顔まわりやおしりまわりの部分ケアにぴったり。肌にやさしいシルキータッチシートでワンちゃんの皮膚にやさしく、水分をたっぷり含んでいるため、日常的なケアに安心して使用できます。
「キミおもい 肌にやさしい ウエットティシュー」については、下記のページをご覧ください。
キミおもい 肌にやさしい ウエットティシュー
ワンちゃんのトイレ臭が気になる場合には、「キミおもい たっぷり吸収パワフル消臭シート」がおすすめです。優れた吸収力でおしっこを素早く吸い取り、消臭成分によってニオイをしっかり閉じ込めます。
「キミおもい たっぷり吸収パワフル消臭シート」については、下記のページをご覧ください。
キミおもい たっぷり吸収 パワフル消臭シート
「家の中が犬臭い」と感じたら、まずはそのニオイの原因を探ることが大切です。ワンちゃん自身の体臭や口臭、耳のニオイ、肛門腺などから発せられるニオイだけでなく、室内に染みついたニオイも要因のひとつです。
ブラッシングやシャンプーなどのワンちゃんのケアを行うと同時に、室内の消臭対策も欠かせません。ワンちゃんにとっても、飼い主さんにとっても過ごしやすい環境を整えれば、心地よい毎日が送れるでしょう。「部屋がなんとなく臭うかも」と思ったときは、今回ご紹介した対策を参考にし、ニオイの元からアプローチすることをおすすめします。
ワンちゃんが臭くなる原因はいくつかありますが、皮膚から分泌される皮脂や汗、そしてそれに雑菌が繁殖することによる体臭がほとんどです。また、口臭や耳の汚れ、肛門腺の分泌物も強いニオイの原因にります。お散歩時に被毛についたニオイを放置すると、皮脂や汚れが酸化してニオイが強くなることもあるため、毎日のケアが欠かせません。
ニオイを軽減するためには、ブラッシングをこまめに行い、月に1~2回の頻度でシャンプーをすればワンちゃんの体を清潔に保ち、ニオイの発生を抑えることができます。また、顔や足裏など、汚れがたまりやすい部位をワンちゃん用のウエットシートで拭き、歯磨きで口臭もケアしましょう。肛門腺や耳のケアも月に1〜2回ほどのペースであお手入れをすると、ニオイの軽減につながります。
室内にこもるワンちゃんのニオイを軽減するには、まずは換気をしてニオイを外に逃がしましょう。1日に数回の換気をおすすめします。毛布などの布製品も定期的に洗濯すれば、清潔を保つことができます。洗えないものについては、ペット用の消臭スプレーを活用するのもひとつの方法です。
排泄物はできるだけ早く片付け、ペットシーツはこまめに交換することで、ニオイの拡散を防げます。トイレの周辺も、ペット用の除菌シートなどで清掃し、常に清潔な状態を保つことが大切です。
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