
記事公開:2025.10.24
「うちの子は、人間でいうと何歳なんだろう?」愛犬と暮らす中で、ふとこんな疑問を抱いたことはありませんか。ワンちゃんは人間に比べると早く成長するため、人間に換算するといつの間にかオーナーさんよりも年上になっていることも、珍しくありません。ワンちゃんは人間よりもはるかに早いスピードで年を重ねるため、その年齢を人間のものさしで理解することは、愛犬の心と体の変化に気づき、最適な健康管理を行う上で重要です。
この記事では、獣医師監修のもと、現在の主流となっているワンちゃんのサイズ別の年齢換算方法を、計算式とわかりやすい早見表で詳しく解説します。また、愛犬に一日でも長く、元気に過ごしてもらうための長寿の秘訣も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
ワンちゃんの年齢を人間の年齢に換算する最大の理由は、愛犬が今どのライフステージにいるのかを客観的に把握し、その時期に最適なケアを実践するためです。ワンちゃんのライフステージは、大きく次の4つに分けられます。
<ワンちゃんの4つのライフステージ>
・子犬期(パピー期):急速に心身が成長する時期
・成犬期(アダルト期):心身ともに成熟し、最も活動的な時期
・シニア期(高齢期):体力や感覚機能が少しずつ衰え始める時期
・老年期(ハイシニア期):シニア期がさらに進み、介護が必要になることもある時期
愛犬の年齢を人間換算で知れば、「そろそろシニア向けのフードに切り替えよう」「健康診断の回数を増やそう」「散歩のコースを見直そう」といった、具体的なアクションを起こすための大切な指標となるのです。
現在、最も広く受け入れられているワンちゃんの年齢換算方法は、ワンちゃんの体のサイズによって計算式を使い分けるものです。これは、小型犬と大型犬では成長と老化のスピードが大きく異なるためです。ここでは、小型犬・中型犬の計算式と年齢早見表をご紹介します。
チワワ、トイ・プードル、柴犬、ウェルシュ・コーギー、ビーグルなど、日本の家庭で多く飼われている犬種がこのカテゴリーに含まれます。1歳は人間換算で15歳、2歳は24歳になり、3歳以上の場合は、次の計算式で換算します。
<小型犬・中型犬の年齢換算計算式>
※3歳以上に適用
計算式:「24+(ワンちゃんの年齢-2)×4」
例)5歳の小型犬なら「24+(5-2)×4=36歳」
一般的に、小型犬・中型犬のパピー期(子犬期)は生後0~12ヵ月を指し、1~7歳前後の成犬期を指すことが多いです。この計算式からわかるように、最初の2年間で一気に大人になり、その後は比較的緩やかに年を重ねていきます。そのため、成犬期が長く、活発に過ごせる期間が長いといえます。
■小型犬・中型犬の年齢早見表
10kg未満の小型犬の平均寿命は13~15歳程度といわれています。犬種によっては20歳を超えるケースも珍しくありません。一般的に8歳頃(人間換算48歳)からがシニア期、11歳以降(人間換算60歳)以上がハイシニア期とされ、健康診断の頻度を上げるなどのケアが推奨されます。
体重10~25kgの中型犬の平均寿命は12~14歳程度です。日本犬である柴犬は、遺伝的にも長寿の傾向があるといわれています。活発な犬種が多いため、シニア期に差し掛かったら関節への負担を考慮した運動量の調整が大切になります。
大型犬は、ゴールデン・レトリーバー、ラブラドール・レトリーバー、ジャーマン・シェパード、バーニーズ・マウンテン・ドッグなどが代表的です。
大型犬は、生後1年で人間のおよそ12歳に相当する年齢まで成長し、その後は1年につき7歳ずつ年を重ねていくと考えられています。
<大型犬の年齢換算計算式>
計算式:「12+(ワンちゃんの年齢-1)×7」
例)5歳の大型犬なら「12+(5-1)×7=40歳」
1歳で人間の12歳相当になり、その後は1年ごとに7歳ずつ年を重ねる。
大型犬は、一般的に生後0~18ヵ月がパピー期、1歳半から6歳が成犬期です。小型犬・中型犬と比べると、最初の1年間の成長スピードは緩やかですが、その後の老化のペースが速いといえます。この急激な体の変化が、大型犬の体に負担をかけやすい一因とも考えられています。
■大型犬の年齢早見表
大型犬の平均寿命は10~12歳程度と、小型・中型犬に比べて短い傾向にあります。これは、急速な成長による細胞分裂の速さが、がんなどの病気のリスクを高めたり、大きな体を支える心臓や関節に負担がかかったりすることなどが理由として考えられています。
6~7歳頃(人間換算47~54歳)にはシニア期に、9~10歳(人間換算68~75歳)以降にはハイシニア期に入るため、早期からオーナーさんによる健康管理が大切です。特に大型犬に多い病気として、関節疾患や胃捻転、心臓病などが挙げられます。
保護犬や、迷い込んできたワンちゃんを家族に迎えた場合、ワンちゃんの正確な誕生日がわからないケースも少なくありません。そのようなときは、ワンちゃんの体を観察すると、おおよその年齢を推定できます。動物病院でも獣医師がプロの目線で推定しますが、ご家庭でチェックできるポイントを知っておくと、愛犬への理解が深まります。
ただし、ワンちゃんの加齢による変化は個体差が大きいため、複合的に確認してください。ワンちゃんの年齢による変化は下記のとおりです。
歯は、年齢を推定する上で最も信頼性の高い指標のひとつです。
■ワンちゃんの加齢による歯の変化
| 年齢 | 状態 |
|---|---|
| 生後8ヵ月頃まで | 乳歯が抜け、白くてきれいな永久歯が生えそろう |
| 1~2歳頃 | 歯はまだ白く、先端も尖っている。奥歯にわずかに歯石がつき始める |
| 3~5歳頃 | 全体的に歯に黄ばみが見られ、歯石の付着が目立ち始める。歯の先端に少し摩耗が見られるようになる |
| 5~10歳頃 | 歯の黄ばみや歯石の沈着がさらに進み、歯肉の赤み(歯肉炎)が見られることも。歯の摩耗も顕著になる |
| 10歳以上 | 歯がすり減って丸くなっていたり、歯周病が進行して歯がぐらついたり、抜けてしまっている |
内面的な変化も、年齢を推し量る重要な手掛かりです。
| 加齢による変化 | 状態 |
|---|---|
| 活動量の変化 | 年齢とともに寝ている時間が増える。散歩に行きたがらなくなったり、短い距離で満足したりする |
| 感覚器の衰え | 聴覚が衰え、名前を呼んでも反応が鈍くなったり、物音に驚かなくなったりする。視力の低下により、物にぶつかったり、暗い場所を怖がったりすることもある |
| 性格の変化 | 頑固になったり、甘えん坊になったり、神経質になったりと、性格に変化が現れる。これは、体の不調や不安感からくる場合もある |
| 認知機能の低下 | 人間の認知症に似た症状が現れることもある。目的もなくウロウロしたり、夜鳴きをしたり、トイレを失敗したり、オーナーさんがわからなくなったりする場合は、加齢による脳機能の低下が疑われる |
愛犬の寿命は犬種や遺伝だけでなく、オーナーさんの日々のケアによって大きく左右されます。ここでは、愛犬の健康寿命を延ばし、幸せなシニアライフを送ってもらうための4つの秘訣をご紹介します。
<ワンちゃんの長生きの秘訣>
1. 定期的に健康診断を受ける
2. 適切な食事量と質に配慮する
3. 毎日の運動で心身の健康を保つ
4. ワンちゃんの年齢に応じた食事とケアを心掛ける
ワンちゃんは年齢にかかわらず、年2回の定期健診がおすすめです。血液・尿検査、X線、心電図などを組み合わせて定期的に基準値を把握しておけば、病気の早期発見や、加齢による体調の変化、生活習慣の影響も見逃さずに済みます。
また、ワクチン接種やフィラリア予防、歯石除去などの予防処置を続けると、病気の発症リスクを減らし、健康寿命を延ばすことができるでしょう。
ワンちゃんの肥満は心臓病や関節疾患、糖尿病などのリスクを高めます。犬種・年齢・活動量に応じた適正カロリーを守り、高品質なたんぱく質とバランスの取れた栄養を与えましょう。添加物や粗悪な原料を避け、新鮮な水を常に用意することも大切です。
犬種や年齢に合わせた運動は、筋肉と関節の健康、肥満予防、ストレス軽減に効果的です。散歩や遊びによる刺激は、認知症予防や問題行動の抑制にもつながります。
天候や季節によって運動の強度や時間を調整し、シニア期のワンちゃんには軽いマッサージや短時間の散歩など体に負担の少ない方法を取り入れましょう。
マッサージについて詳しくは、こちらのページをご覧ください。
愛犬が喜ぶマッサージのポイントは?メリットや部位別の方法も解説
歯磨きや口腔ケアは、歯周病や全身疾患の予防につながります。ブラッシングは被毛と皮膚の健康維持に加え、オーナーさんとの親密なコミュニケーションにもなるでしょう。
シニア期には滑り止めマットや昇降しやすい階段、温度調整できる寝具などを取り入れ、日常生活の質を高める工夫が重要です。
監修者のご紹介
松田 唯さん
埼玉県生まれ。北里大学獣医畜産学部卒業後、千葉県内と東京都内の動物病院で勤務。
2019年7月、ガイア動物病院(東京都杉並区)を開設、院長となる。大学時代は医療の専門用語が苦手だったこともあり、治療法や薬についてわかりやすく説明し、治療法のメリット・デメリットを理解してオーナーさんが選択できる診療を心掛けるようにしている。
ガイア動物病院
ワンちゃんとより良い関係を築くために、「キミおもい」が推奨しているのが「傾聴飼育」という考え方です。これは、ワンちゃんの行動や仕草、鳴き声などを通じて「ワンちゃんの気持ちに耳を傾ける」姿勢を大切にする飼育スタイルをいいます。
「傾聴飼育」は、年齢を重ねるワンちゃんとの暮らしにもつながります。パピー期、成犬期、シニア期、ハイシニア期と、ワンちゃんのライフステージごとに必要なケアや気持ちは変化します。寿命が限られているからこそ、いっしょに過ごせる時間を大切にし、日々の小さな変化に気づいてあげることが、安心できる生活環境づくりにつながります。
「傾聴飼育」の詳しい内容については、下記のページをご覧ください。
キミともっと幸せに 傾聴飼育で、「おもい」が通じ合う暮らしへ
愛犬の健康寿命を延ばすためには、若い頃からワンちゃんが暮らす環境を整えてあげることが大切です。「キミおもい」のワンちゃんシリーズには、吸収・消臭力のあるペットシーツのほか、シーン別に選べるおむつ、ワンちゃんの肌にやさしいウエットシートなど、愛犬との暮らしがより快適になるアイテムがそろっています。
「キミおもい」のワンちゃんシリーズについては、下記のページをご覧ください。
キミおもい Dog– ワンちゃん-
犬の時間は、私たちの想像を超える速さで進んでいきます。愛犬の年齢を人間換算で把握すれば、ワンちゃんのライフステージに寄り添い、今本当に必要としているケアを見つけるために役立ちます。
子犬期には愛情を込めて社会性を育み、成犬期には共にアクティブな時間を楽しみ、そしてシニア期には深い感謝と敬意をもって穏やかな日々を支える。それぞれのステージで最適なサポートをすれば、愛犬との絆はさらに深まり、かけがえのない時間を一日でも長く分かち合うことができるでしょう。愛犬の年齢を把握し、年齢に応じたケアをぜひ始めてください。
犬の年齢換算はサイズによって異なり、小型犬・中型犬(25kg未満)の場合は生後3歳からは「24+(犬の年齢-2)×4」で計算します。これは生後2年で24歳になり、その後1年ごとに4歳ずつ年を重ねるという考え方です。一方、大型犬(25kg以上)の場合は「12+(犬の年齢-1)×7」を用い、生後1年で12歳になり、その後1年ごとに7歳ずつ年を重ねると考えます。
保護犬の年齢は、動物病院でプロの目線で推定してもらうのがおすすめです。獣医師は、歯の摩耗や歯石の付着具合、口周りなどの白髪の量、目の状態、筋肉の付き方や皮膚のハリ、そして活動量や睡眠時間といった行動の変化などを総合的に見て、おおよその年齢を推定します。
愛犬に長生きしてもらうためには、総合的なケアが大切です。ワンちゃんの年齢にかかわらず年2回、定期的な健康診断を受け、病気の早期発見に努めることが重要です。また、ライフステージに合ったフードを選んで肥満を防ぐ、適切な食事管理を心掛けましょう。年齢や犬種に合わせた適度な運動は、心身の健康維持に欠かせません。さらに、歯磨きやブラッシングといった日常的なケアを習慣にして体の変化をこまめにチェックすることも長寿の秘訣です。














