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便漏れ・便失禁の原因と治療について

排便習慣の乱れはさまざまな不快症状を引き起こし、私たちの日常生活に重大な影響をもたらすことがあります。排便異常の1つである「便漏れ」「便失禁」は日常生活に支障をきたすだけでなく、周囲への影響などから大きな精神的ダメージを受けることが想定されます。

そこで今回は、便漏れ(便失禁)の原因と治療方法について詳しくご紹介いたします。

便漏れ(便失禁)とは

便漏れ(便失禁)とは、自分の意思とは無関係に便が肛門から排出されてしまう症状のことです。年齢が上がるごとに発症率は上昇し、『65歳以上の高齢者では約7.5%が便失禁を有している』とのデータもあります。
※「医学検査」2016年65巻4号P373 便失禁患者における肛門機能評価検査

便は強い臭いを伴うことが多いため、思いもよらないタイミングでの便失禁により、さまざまな支障をもたらす可能性が考えられます。また、便漏れによって肛門周囲が不衛生になりやすくなるため、おしりのただれや痛みを引き起こすこともあります。

便漏れ(便失禁)はどのように生じるのでしょうか。
私たちが摂った食べ物や飲み物は、胃や腸で必要な栄養素が吸収され、その残りカスが大腸に送られます。大腸ではその中から水分を吸収し、飲食物の残骸から便を作ります。そして、便が直腸内に押し出されて内圧が上昇すると、脳に刺激が伝えられることで便意を感じる仕組みとなっています。また、便意を感じると、今度は自分の意思で腹圧をかけて便を肛門から排出させる動作を行います。
便漏れ(便失禁)はこれらの仕組みのどこかに異常が生じることによって引き起こされます。

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便漏れ(便失禁)の原因と治療について

便漏れ(便失禁)は、症状の現れ方によって大きく3つのタイプに分けられます。それぞれ症状の特徴や原因、治療方法などが異なります。

漏出性便失禁

漏出性便失禁とは、便意を一切感じないにも関わらず、自分の意思とは関係なく便が漏れるタイプの便漏れです。便漏れの約半数は漏出性便失禁と考えられ、便漏れの原因の中で最多を占めています。

原因としては、神経の障害によって直腸に便が入り込んだ際の刺激がうまく伝達できなくなる病気や、直腸がんなどによる直腸の感覚低下、肛門括約筋のゆるみなどが挙げられます。
治療方法は、原因となる病気の治療が主体となりますが、下剤によって直腸内の便の溜まりすぎを予防する薬物療法や、便意をつかさどる仙骨神経を電気で刺激する仙骨神経刺激療法などが行われることもあります。

切迫性便失禁

切迫性便失禁とは、突然の強い便意を感じるものの、トイレまで我慢することができずに便を漏らしてしまうタイプの便失禁です。
原因には、肛門括約筋の衰え、肛門括約筋の運動を支配する末梢神経の障害、直腸で便を貯める機能の低下などが挙げられます。

特に高齢の方の場合、加齢に伴う肛門括約筋の衰えによって生じることが多く、内臓の疾患が原因ではないため、肛門括約筋を鍛える理学療法以外の治療が難しいこともあります。しかし、高頻度な便失禁によって日常生活に大きな支障をきたしてしまっているようなケースでは、肛門括約筋形成術や人工肛門造設術などの手術が行われることもあります。

混合性便失禁

漏出性便失禁と切迫性便失禁の両方の症状が併発するタイプの便漏れです。便漏れ患者の35%はこのタイプと考えられており、双方の原因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。

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便漏れや便失禁を引き起こす病気とは?

便漏れ(便失禁)は、これまで挙げたタイプのほかにもさまざまな原因で起こり得る症状です。過敏性腸症候群(IBS)などの慢性的な排便異常をきたす病気、直腸脱や直腸がんなどの直腸の器質的な病気、排便コントロールを行う神経にダメージが加わる糖尿病や脊椎の病気などが原因で引き起こされることもあります。

これらの病気が原因で引き起こされる便失禁は、原因となる病気の治療を行うことで症状を劇的に改善できることもあります。しかし、発症から時間が経つと治療が難しくなることもあります。なるべく早めに病院へ行き、治療を開始することが大切です。

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便漏れ(便失禁)は何科に行くべき?

便漏れ(便失禁)には思わぬ病気が背景にある場合もありますので、繰り返す場合には病院を受診して適切な検査・治療を受けることが重要です。

便漏れ(便失禁)で受診すべき科は、肛門科や消化器外科です。しかし、お近くにない場合や普段からかかっている病院がある場合には、まずはかかりつけ医に相談するのも一つの方法です。

記事監修医:
伊藤メディカルクリニック院長 
伊藤 幹彦 先生