記事公開:2025.6.27
ネコちゃんの甘噛みは、愛情の表現である一方で、オーナーさんにとっては悩みのタネになることもあります。なぜネコちゃんは甘噛みするのでしょうか?その背景には、甘えたい気持ちやストレス、成長期の変化など、さまざまな理由があります。
この記事では、ネコちゃんが甘噛みする理由をわかりやすく解説し、効果的なしつけ方や、ネコちゃんとの信頼関係を深めるためのポイントをご紹介します。ネコちゃんの甘噛みの正しい理解と対策を通じて、ネコちゃんとの生活をより豊かで快適なものにしていきましょう。
ネコちゃんの「甘噛み」とは、本気で噛むのではなく、力を加減してカプッと噛む行動のことを指します。この行動は、オーナーさんとのスキンシップ中や、じゃれて遊んでいる最中によく見られます。手をなでていたら突然カプッと噛まれる、といった経験のあるオーナーさんも多いのではないでしょうか。
本気噛みとの違いは一目瞭然です。ネコちゃんの本気噛みは、皮膚が傷ついたり、血がにじんだりすることもありますが、甘噛みの場合は痛みが少なく、歯は当たる程度の感触です。
この甘噛みは、愛情表現や遊びの延長線上にあることが多く、ネコちゃんの気持ちがリラックスしている証拠ともいえます。しかし、オーナーさんの中には、あまりにも甘噛みが多いと戸惑われる方もいるかもしれません。ここからは、甘噛みの具体的な理由について掘り下げていきます。
ネコちゃんの甘噛みには、さまざまな理由があります。ただの「いたずら」ではなく、気持ちや本能、成長の過程、体調のサインなどが背景にある場合も。ここでは、代表的なの理由を解説します。
<ネコちゃんが甘噛みする理由>
・甘えたい気持ちが表れている
・構ってほしくて気を引こうとしている
・狩猟本能が刺激されている
・歯がムズムズする
・ストレスや不安がある
・病気やケガが原因で痛みがある
・発情期の行動が影響している
ネコちゃんが甘噛みをする最も多い理由のひとつが、「甘えたい」という気持ちの表現です。オーナーさんを母猫のように感じている場合、子猫が母猫にじゃれつくような感覚で、手や指をカプッと噛むことがあります。これは信頼の証でもあり、警戒していないからこその行動です。
ネコちゃんは、自分を見てほしいときに甘噛みを使うことがあります。例えば、オーナーさんがスマホを見ているときや、寝ているときに、注意を引くためにカプッと噛むケースです。これには、「ねぇ、こっち見て!」というメッセージが込められています。
ネコちゃんの中に根強く残っている「狩猟本能」が刺激されたときにも、甘噛みをします。手の動きが小動物のように見えたり、おもちゃに興奮した勢いで手に噛みついてしまったりすることがあります。遊び中のテンションが高まると、つい噛み方が強くなってしまうこともあるので注意が必要です。
生後3〜6ヵ月の子猫は、乳歯が永久歯に生え変わる時期にあたります。この期間は歯茎がムズムズしたり、違和感を覚えたりすることがあり、そのストレスを解消するために甘噛みをするとがあります。ちょうど人間の赤ちゃんがなんでも口に入れてしまうのと似ているといえるでしょう。
ネコちゃんは繊細な動物です。ストレスや不安を感じたときに、甘噛みのような行動でイライラを発散しようとすることがあります。特に、なでられている途中で急に噛んでくる場合、「もうやめて」「もうさわらないで」「しつこいよ」というサインかもしれません。ネコちゃんが耳をピンと張った状態で外に向ける「イカ耳」など、警戒や不機嫌さを表すサインが見られたら、無理にふれないようにしましょう
■ネコちゃんが不機嫌なときに見せるイカ耳の例
もし普段はしないのに突然噛むようになったら、病気やケガの可能性も考えられます。ネコちゃんは、痛みを感じる場所をさわれられたくないとき、反射的に噛んで「やめて!」と伝えようとします。普段と様子が違う場合は、早めに動物病院を受診してください。
未去勢のオス猫が執拗に甘噛みをする場合、発情期の行動が影響している可能性があります。オス猫は発情中のメス猫の動きを止めようとして首元を噛むことがあり、その本能的な行動がオーナーさんに対しても現れているのかもしれません。発情はコントロールできないため、去勢手術をすれば、こうした行動は軽減されるでしょう。
ネコちゃんの甘噛みは、本来、親猫やきょうだいとの関わりの中で力加減を学ぶものです。しかし、一匹で育ったネコちゃんや人と過ごす時間が多いネコちゃんの場合は、噛む力加減をうまくコントロールできないこともあります。
ここでは、ネコちゃんの甘噛みを防ぐために効果的な4つの対処法をご紹介します。
<ネコちゃんの甘噛みを防ぐ対処法>
・遊び方を工夫して甘噛みを減らす
・噛まれた瞬間に騒がない
・噛んでいいおもちゃを与える
・リラックスできる環境をつくる
ネコちゃんのエネルギーがあり余っていると、甘噛みの頻度が増えることがあります。毎日たっぷりと遊ぶ時間を設け、フラストレーションを解消してあげましょう。
ポイントは、人の手で直接遊ばないこと。手を獲物のように感じさせないために、ひも付きおもちゃなどを活用します。
また、ネコちゃんの気分を読み取ることも大切です。のんびりしているときやイライラしているときは無理に遊びに誘わず、遊びたそうにしているときにたくさん遊んであげてください。
家族間で対応が異なると「この人は噛んでもいい」と誤解されることがあるため、家族全員が同じ対応をすることが大切です。
甘噛みされた瞬間に大きな声を出したり叩いたりすると、ネコちゃんとの信頼関係が崩れてしまいます。噛まれたときは、声を出さずに無反応を貫き、静かに手を外すのがベストな対応です。
ネコちゃんのテンションが高まっている場合は、そっとその場を離れて距離を取りましょう。部屋を出るだけでも、ネコちゃんに「噛むと相手がいなくなる」と伝えることができます。
この対応も、家族全員で統一することが大切です。バラバラな対応ではネコちゃんが混乱し、甘噛みがエスカレートする可能性もあります。
歯がムズムズしている時期のネコちゃんや、噛む欲求が強いタイプのネコちゃんには、噛んでもいいおもちゃを用意しましょう。
噛んだり、ケリケリできたりするぬいぐるみタイプのおもちゃは、フラストレーション解消にぴったりです。ネコちゃんの好きな遊びの傾向を把握し、常にいくつかのおもちゃを用意することで、甘噛みを防ぐだけでなく、ストレスの軽減にもつながります。
ネコちゃんがリラックスして過ごせる環境づくりは、甘噛みの防止にも効果的です。トイレが常に清潔か、数が足りているか、ごはんやおやつが不足していないか、日々の生活環境を見直してみましょう。
また、運動不足や居場所がないこともストレスの原因になります。キャットタワーで高い場所に登れるようにしたり、隠れ家を用意したりすると、ネコちゃんの安心をサポートする空間を整えられます。
複数のネコちゃんと暮らしている場合は、ネコちゃん同士の相性も重要です。それぞれのネコちゃんの性格や個性に合わせてストレスの少ない生活環境を整えれば、甘噛みの根本的な対策になります。
監修者のご紹介
松田 唯さん
埼玉県生まれ。北里大学獣医畜産学部卒業後、千葉県内と東京都内の動物病院で勤務。
2019年7月、ガイア動物病院(東京都杉並区)を開設、院長となる。大学時代は医療の専門用語が苦手だったこともあり、治療法や薬についてわかりやすく説明し、治療法のメリット・デメリットを理解してオーナーさんが選択できる診療を心掛けるようにしている。
ガイア動物病院
ネコちゃんとより良い関係を築くために、「キミおもい」が推奨しているのが「傾聴飼育」という考え方です。
「傾聴飼育」は、ネコちゃんにとって安心できる生活環境づくりにもつながります。オーナーさんがネコちゃんの気持ちをくみ取り、尊重することで信頼関係がより強くなり、甘噛みなどの悩みも自然と軽減されていくでしょう。
「傾聴飼育」の詳しい内容については、下記のページをご覧ください。
キミともっと幸せに 傾聴飼育で、「おもい」が通じ合う暮らしへ
ネコちゃんの甘噛みには、ストレスや環境の影響が関係していることもあります。オーナーさんとして、まず見直したいのが「ネコちゃんが安心して過ごせる環境かどうか」という点です。
「キミおもい」のネコちゃんシリーズは、そんな環境づくりをサポートするために開発されたアイテムがそろっています。例えば、トイレ環境が原因でストレスを感じているネコちゃんには、ニオイ対策がされた清潔なトイレ用品や、使いやすい猫砂を選んであげることで、気分の安定につながります。
「キミおもい」は、オーナーさんとネコちゃんの双方が快適に過ごせる暮らしを応援しています。ネコちゃんの気持ちを理解し、甘噛みの対策にも役立つ環境づくりを始めてみましょう。
「キミおもい」のネコちゃんシリーズについては、下記のページをご覧ください。
キミおもい Cat - ネコちゃん -
ネコちゃんの甘噛みには、「甘えたい」「構ってほしい」といったポジティブな感情から、「ストレスを感じている」「体のどこかが痛い」といったサインまで、さまざまな理由が隠されています。
大切なのは、ネコちゃんの気持ちを読み取り、適切に対応すること。たっぷり遊んであげたり、リラックスできる空間を整えてあげたりすることで、ネコちゃんの心も落ち着き、甘噛みの頻度も自然と減っていくでしょう。
甘噛みの背景にあるネコちゃんのメッセージをしっかり受け止め、より豊かな共生を目指してください。
甘噛みがオーナーさんの反応を引き出す手段として定着すると、クセになる可能性があります。噛んだときに大きくリアクションせず、冷静に対応することで、「噛んでも意味がない」と学習させましょう。ネコちゃんはしつけが難しいとされていますが、根気強く伝えればわかってくれます。
甘噛みされたら、まずはオーナーさんが反応しないことがポイントです。甘噛みをされたときは噛まれた手をそっと引き、必要に応じて部屋を出るなどして距離を取りましょう。決して大声を出したり叱ったりせず、ネコちゃんのテンションを下げつつ、噛んでもいいことがないことを覚えさせることが大切です。
いつもより強く噛んできた場合や、頻度が急に増えたときは、ストレスや体調不良のサインかもしれません。生活環境を見直すほか、様子が気になる場合は動物病院を受診してみてください。また、遊びのタイミングを見計らい、噛むおもちゃでエネルギーを発散させるのも効果的です。
画像提供/PIXTA