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高齢者のトイレが間に合わない理由は?排泄トラブルの原因と対策

記事公開:2024.9.26

年を重ねることで、これまでコントロールできていたことができなくなることがあります。排泄トラブルもそのひとつ。高齢者において、トイレが間に合わずにモレてしまうというお悩みはよくあります。では、なぜ高齢になるとトイレが間に合わなくなってしまうのでしょうか。
この記事では、高齢者に多い排泄トラブルの種類とその原因、トイレの失敗対策について紹介します。

高齢者に多い排泄トラブル

排泄トラブルとは、尿や便がうまく出せなかったり、モレてしまったりといった、排泄に関する障害です。中でも尿失禁と便失禁は、高齢者に多い排泄トラブルといえます。

失禁とは、自分の意志とは関係なく、排泄物がモレてしまうこと。尿失禁や便失禁は、精神的な苦痛や自尊心の低下をもたらし、高齢者の日常生活や社会活動に深刻な影響を与えかねません。

尿失禁の種類

意図せずに尿がモレてしまう尿失禁は、高齢者の排泄トラブルとして比較的よくみられる症状です。
厚生労働省の「高齢者尿失禁ガイドライン」では、60歳以上の高齢者の50%以上に尿失禁があるとされています。代表的な尿失禁の種類は、下記のとおりです。

腹圧性尿失禁

腹圧性尿失禁は、咳やくしゃみ、笑ったときなど、おなかに力が入ったときに尿がモレてしまうタイプの尿失禁です。

切迫性尿失禁

切迫性尿失禁は、強い尿意が突然起こり、トイレに間に合わずに尿がモレてしまうタイプの尿失禁です。

混合型尿失禁

混合型尿失禁は、腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁の両方の症状が見られるタイプの尿失禁です。

溢流性(いつりゅうせい)尿失禁

溢流性尿失禁は、膀胱に尿が溜まりすぎてしまい、徐々にあふれ出すタイプの尿失禁です。

機能性尿失禁

機能性尿失禁は、排尿機能自体には問題がないものの、運動機能や認知機能の低下によってトイレに間に合わずに起こるタイプの尿失禁です。

尿失禁の主な原因

尿失禁にはさまざまな種類がありますが、これらは尿失禁の原因などによって分類されています。高齢者の尿失禁を引き起こす主な原因としては、「蓄尿障害」と「排出障害」のほか、「排尿機能に関わる器官の障害以外の要因」の3つがあります。それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

蓄尿障害

蓄尿障害とは、膀胱に尿を溜めておく機能が低下する障害です。尿を溜めておくことができなくなり、我慢できずにモレてしまいます。
膀胱が過敏になって、ほんの少ししか尿が溜まっていなくても急に強い尿意を感じる(尿意切迫感)過活動膀胱のほか、膀胱の弾力性低下や委縮、排泄コントロールに関わる骨盤底筋のゆるみなどによって引き起こされます。

排出障害

排出障害とは、尿を出し切ることができずに、膀胱の中に尿が残ってしまう状態です。膀胱内に尿が残ったまま次々と尿が溜まっていき、あふれるようにモレてしまいます。
排出障害は、加齢や神経障害、手術の影響などで膀胱が収縮できなくなる膀胱収縮障害と、前立腺肥大症や尿道狭窄などにより、尿が尿道をうまく通過できずに残ってしまう尿道通過障害があります。

排尿機能に関わる器官の障害以外の要因

これまでご紹介した、膀胱から尿道までの排尿に関わる器官(下部尿路系)の障害以外の理由でも、尿失禁は起こります。
例えば、歩行障害によりトイレまでたどり着けないケースや、認知症でトイレの場所がわからなくなったり、尿意を認識できなかったりすることも、尿失禁の原因となるのです。

便失禁の種類

意図せずに便がモレてしまう便失禁。一般社団法人日本大腸肛門病学会の「便失禁診療ガイドライン2024年版」によると、65歳以上の便失禁の有症率は男性で8.7%、女性で6.6%とされています。
主な便失禁の種類としては、「漏出性便失禁」「切迫性便失禁」「混合性便失禁」の3つがあります。

漏出性便失禁

漏出性便失禁は、便意がないのに、気づかないうちにモレてしまうタイプの便失禁です。肛門の筋肉の収縮力低下や、肛門の筋肉の動きをコントロールする神経の機能低下、加齢などで直腸感覚が低下して便意を感じないことなどで起こります。

切迫性便失禁

切迫性便失禁は、便意を感じるけれど、トイレまで我慢できずにモレてしまうタイプの便失禁です。肛門の筋肉の収縮力低下や過敏性腸症候群、下痢などで起こります。

混合性便失禁

混合性便失禁は、漏出性便失禁と切迫性便失禁の両方の特徴を持つ便失禁です。複数の要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。

便失禁の主な原因

便失禁が起こる原因はさまざまで、場合により複数の原因が重なって症状を引き起こすこともあります。ここでは、便失禁の主な原因とされるものについて見ていきましょう。

病気・ケガ

便失禁の原因となる病気はさまざまです。過敏性腸症候群や炎症性腸疾患、直腸が肛門の外に飛び出てしまう直腸脱、直腸内の腫瘍など、消化管の疾患により便失禁が引き起こされるケースがあります。
また、糖尿病や脳梗塞、脊髄損傷などによる神経系の障害が、便失禁につながることもあります。

内服薬、浣腸、座薬

下剤や浣腸、座薬といった医薬品の使用が便失禁の原因となることがあります。特に、便秘症状を改善するため下剤を過剰に服用すると、腸の正常な機能が乱れてしまい、便失禁のリスクが高まります。

妊娠・出産

女性の場合、妊娠・出産により便失禁が起こることがあります。妊娠中や分娩時に、骨盤底筋や神経が傷ついてしまい、排便をコントロールすることが困難になって便失禁が起こります。

手術

痔の手術や直腸がんの手術などにより、肛門の筋肉や排泄をコントロールする神経が傷ついてしまい、便失禁が起こることがあります。

加齢

加齢により、筋力や神経機能が低下することも便失禁の原因となります。肛門括約筋の筋力低下によって我慢できずに便失禁してしまうケースや、直腸の知覚低下により便意を感じず、溜まった便があふれるように便失禁をするケースなどがあります。

認知症

認知症も、便失禁の重要な原因のひとつです。認知機能の低下により便意を感じなかったり、介護する方に便意をうまく伝えられなかったり、トイレの場所を忘れてしまったりすることがあります。
また、トイレではない場所で排泄してしまうこともあります。

高齢者のトイレの失敗対策

高齢者が尿失禁や便失禁を起こしてしまうのは、身体的、環境的、心理的な要因が関係しています。高齢者のトイレの失敗を防ぐには、そうした原因に対応することが重要です。ここでは、具体的な対策についてご紹介します。

日常生活を工夫する

トイレの失敗を防ぐには、まず日常生活を見直してみましょう。栄養バランスの良い食事をとり、適度な運動をして、心身ともに健康な生活を送るのが基本です。
そのほか、体を冷やさないように注意して、ストレスを溜めないことも大切。また、夜間に尿意で目が覚めないように、寝る前は利尿作用のある飲み物を控えます。ただし、トイレに行きたくならないようにと、水分摂取自体を控えるのは禁物です。

なお、トイレに着いても、脱衣に時間がかかって失禁してしまうことがあります。ボタンやファスナーのない、着脱しやすい服を選んでください。

排尿日誌をつける

排尿日誌とは、排尿した時刻や量、尿モレの有無のほか、食事・水分の量と摂取時刻などを記録するもの。排尿日誌をつけることで排泄リズムが把握でき、早めにトイレに誘導することができます。

トイレの周辺環境を整える

高齢者が使用しやすいように、トイレの周辺環境を整えることも重要です。夜間でもトイレに行きやすいよう、廊下には明るい照明を設置し、トイレまでの経路やトイレ内には手すりを設置します。トイレのドアは開き戸よりも引き戸のほうが、安定した姿勢で開け閉めできるでしょう。
経路の途中に段差がある場合は、つまずくことのないようにスロープをつけてください。

また、認知症でトイレの場所がわからない場合は、廊下にトイレの場所を示す表示をつけます。そのほか、夜間はポータブルトイレや紙おむつを利用するなど、状況に応じて柔軟に対応してください。

骨盤底筋や膀胱を鍛える

排泄に関わる骨盤底筋や膀胱を鍛えることも、トイレの失敗対策として効果があります。骨盤底筋トレーニングの基本的な方法は、肛門をギュッと締める感覚で5~10秒間キープして、その後リラックスするというもの。これを1セットとし、1日5セット以上行うのが効果的です。

また、頻繁にトイレに行きたくなる場合は、膀胱訓練を行うのがおすすめです。まずは、トイレに行きたくなったときに1回だけ我慢してみましょう。様子を見ながら、5分、10分と少しずつ我慢する時間を長くしていくことで、膀胱に溜められる尿の量を徐々に増やしていきます。

骨盤底筋トレーニングのやり方については、下記のページをご覧ください。
骨盤底筋トレーニングで不意の尿モレ対策!毎日続けて不安を解消

吸水ケア用品を使用する

トイレの失敗が不安なときは、吸水ケア用品を使用するのがおすすめです。外出時のトイレが不安なときは下着につけられる尿とりパッドや超うす型の紙パンツ、夜間のトイレが間に合わないときは一晩中吸水可能な夜用おむつというように、使用シーンや吸水量、つけ心地などで使い分けることで、トイレの不安を解消できます。


監修者のご紹介

井上 雅先生
日本泌尿器科学会専門医、日本排尿機能学会専門医、日本女性骨盤底医学会専門医、漢方専門医、日本性機能学会専門医。高知医科大学医学部医学科卒業、岡山大学大学院医歯学総合研究科卒業。岡山大学附属病院泌尿器科や岡山中央病院泌尿器科、岡山労災病院婦人科勤務を経て、2013年にみやびウロギネクリニックを開院。泌尿器科と婦人科の両面からの診療を行っている。

みやびウロギネクリニック


【商品紹介】高齢者のトイレの不安を解消する「アテント」シリーズ

一度トイレが間に合わない経験をすると、「また失敗するんじゃないか」と心配になり、外出ができなくなってしまう高齢者の方もいます。そんな方におすすめなのが、「アテント」の下着のように身につけられる商品です。急な尿モレの不安を解消し、毎日を楽しくアクティブに過ごすことができます。

アテント ふだんの下着に使えるパッド

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「アテント ふだんの下着に使えるパッド」は、いつも使用している下着※1に使える尿とりパッドです。しっかり固定できる5点ズレ止めテープ、モレを防ぐ超立体ギャザー、45cmのロングサイズという「3つの機能」で超安心。1枚で約2回分※2の尿を吸収します。全面通気性シートでさらっと快適。消臭機能付きで安心です。

※1 体に密着する下着(パンツ)との使用をおすすめします。
※2 1回の排尿量150mlとして。大王製紙測定方法による。

「アテント ふだんの下着に使えるパッド」については、下記のページをご覧ください。
アテント ふだんの下着に使えるパッド

アテント 超うすパンツ 下着爽快

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「アテント 超うすパンツ 下着爽快」は、こだわりの<めだたずフィット設計>で驚きのはき心地を実現した、約2回吸収の紙パンツです。体にやさしくフィットする<プレミアム伸び・ワザ素材>で、布下着のように胴まわりがもこもこせず、洋服の上から目立たずシルエットすっきり。<ウエストすっきりカット>で、洋服の上からはみ出しにくいのもポイントです。清潔感のある「シンプルホワイト」と、ワコールと共同開発したカラー「エレガントピンクベージュ」の2色から選ぶことができます。全面通気性シート採用、消臭機能付きで安心です。

※ 1回の排尿量150mlとして。大王製紙測定方法による。

「アテント 超うすパンツ 下着爽快」については、下記のページをご覧ください。
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アテント うす型パンツ 下着気分 ボクサータイプ

アテント うす型パンツ 下着気分 ボクサータイプ

「アテント うす型パンツ 下着気分 ボクサータイプ」は、ボクサーパンツ風の形で、脚まわりにしっかりフィットする約2回吸収の紙パンツです。吸収体のゴワつきを解消する<すっきりストレッチライン>採用でアウターにひびきにくく、<ウエストすっきりカット>により、しゃがんだときも洋服の上からはみ出しにくいのが特長。グレーとホワイトのスタイリッシュなカラーとなっています。全面通気性シート採用、消臭機能付きで安心です。

※ 1回の排尿量150mlとして。大王製紙測定方法による。

「アテント うす型パンツ 下着気分 ボクサータイプ」については、下記のページをご覧ください。
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高齢者のトイレが間に合わないときは吸水ケア用品を

高齢者で、トイレが間に合わない経験をしたことのある人は珍しくありません。ですが、排泄トラブルは、高齢者の日常生活や社会活動に深刻な影響を与えることもあります。排泄トラブルでお悩みのときは、日常生活を工夫したり、トイレの周辺環境を整えたりといった、トイレの失敗対策をとりましょう。
また、排泄トラブルの不安や悩みの解消には、吸水ケア用品の活用がおすすめ。外出中のトイレが心配だったり、トイレの失敗が続いたりするときは、ぜひ「アテント」シリーズをお試しください。

よくあるご質問

高齢者の尿失禁の原因は?

尿失禁とは、自分の意志とは関係なく、尿がモレてしまうことをいいます。高齢者の尿失禁を引き起こす原因としては、「蓄尿障害(尿を溜めておくことができない)」「排尿障害(尿を出し切れない)」「下部尿路系障害以外の要因(運動機能の低下や認知症でトイレに行けない)」の主に3つ。なお、厚生労働省の「高齢者尿失禁ガイドライン」では、60歳以上の高齢者の50%以上に尿失禁があるとしています。

高齢者の便失禁の原因は?

便失禁とは、自分の意志とは関係なく、便がモレてしまうことをいいます。便失禁の主な原因としては、消化管の疾患や神経系の障害などの病気・ケガのほか、下剤や浣腸、座薬といった医薬品、妊娠・出産・手術などによる筋肉や神経の傷、加齢、認知症などさまざまです。
また、複数の原因が重なって症状を引き起こすこともあります。日本大腸肛門病学会の「便失禁診療ガイドライン2024年版」によると、65歳以上の便失禁の有症率は男性で8.7%、女性で6.6%とされています

高齢者がトイレに間に合わないときの対策は?

高齢者のトイレの失敗対策としては、下記のようなものが有効です。

・日常生活を工夫する:体を冷やさない、ストレスを溜めない、適度な運動をする、バランスの良い食事をとる、十分な水分摂取、着脱しやすい服を着るなど。
・排尿日誌をつける:排泄リズムを把握して、早めにトイレに誘導する。
・トイレの周辺環境を整える:照明・手すりの設置、ドアや段差の確認、トイレの場所を示す表示など。
・骨盤底筋・膀胱を鍛える:骨盤底筋トレーニングや膀胱訓練を行う。
・吸水ケア用品を使用する:複数の吸水ケア用品を、使用シーンや吸水量、つけ心地などで使い分ける。

画像提供/PIXTA

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