
記事公開:2026.3.2
ワンちゃんがくしゃみをする姿は、一見かわいらしく見えるかもしれません。しかし、そのくしゃみが単なる一過性のものなのか、病気のサインなのか判断に迷うオーナーさんも多いのではないでしょうか。
この記事では、ワンちゃんのくしゃみのメカニズムや正常・異常の見分け方、動物病院を受診すべき目安、自宅でできる予防・対処法を詳しく解説します。愛犬の健康を守るための情報をしっかり押さえて、不安を軽減しましょう。
監修者のご紹介
松田 唯さん
埼玉県生まれ。北里大学獣医畜産学部卒業後、千葉県内と東京都内の動物病院で勤務。
2019年7月、ガイア動物病院(東京都杉並区)を開設、院長となる。大学時代は医療の専門用語が苦手だったこともあり、治療法や薬についてわかりやすく説明し、治療法のメリット・デメリットを理解してオーナーさんが選択できる診療を心掛けるようにしている。
ガイア動物病院
ワンちゃんのくしゃみには、単なる生理的な反応から、深刻な病気まで多岐にわたります。オーナーさんとしては、「何が原因のくしゃみなのか」を見極めることが非常に重要です。
ワンちゃんがくしゃみをする代表的な原因について、詳しく解説します。
■ワンちゃんがくしゃみをする主な原因
ウイルスや細菌、真菌などの感染によって鼻や喉に炎症が起こり、くしゃみが出ることがあります。代表的な疾患は、ウイルス性鼻炎、真菌性鼻炎、ケンネルコフ(犬伝染性気管気管支炎)などです。
これらの感染症では、くしゃみに加えて咳、発熱、元気消失、食欲不振、粘性のある鼻水などが見られます。放置すると症状が悪化するおそれがあるため、早めに受診してください。
歯や歯茎の病気が原因で、くしゃみが起こることもあります。特に上顎の奥歯は鼻腔と近いため、歯周病や歯の根本の感染症である根尖病巣が進行すると、鼻腔に炎症が波及してくしゃみや鼻水を引き起こします。
くしゃみのほか、口臭が強くなったり、食べ物を食べにくそうにしていたり、膿のような鼻水が出たりする場合は、動物病院に相談してください。
ワンちゃんのくしゃみは、タバコの煙、強い香水などの強い香りや、空気中の刺激物によって引き起こされます。こうした生理的なくしゃみは、一時的で短時間におさまり、ほかの症状を伴わないのが特徴です。
急激な温度変化や乾燥した空気、散歩中に舞い上がった砂ボコリなども刺激となりやすく、特に寒暖差の激しい季節には注意が必要です。
ワンちゃんにも人間と同様にアレルギーがあります。アレルゲンになるのは花粉、ハウスダスト、ダニ、カビ、洗剤のほか、柔軟剤に含まれる化学物質、香料などが代表的です。
アレルギー性のくしゃみは継続的に起こる傾向があり、多くの場合、透明でさらさらとした鼻水を伴います。皮膚のかゆみや目の充血など、ほかのアレルギー症状を伴う場合もあるため、早めに受診してください。
ワンちゃんの花粉症については、こちらのページをご覧ください。
犬にも花粉症がある?気になる症状や対策のポイントを解説
シニア期のワンちゃんに多い原因の1つが、鼻腔内の腫瘍やポリープです。腫瘍は悪性も少なくなく、進行すると鼻血、くしゃみ、顔の腫れ、鼻の変形、呼吸困難などの症状を引き起こします。
特に片側だけの鼻血や膿のような鼻水が続く場合は腫瘍の可能性があるため、早期発見・早期治療が非常に重要です。くしゃみ以外の変化に注意してください。
くしゃみを何度も連発したり、片側だけの鼻腔から鼻水が出たりする場合は、何らかの異物が鼻腔に入っているのかもしれません。例えば散歩中に、草の種や小さな虫などが鼻に入ってくしゃみが起きることがあります。他の原因に比べてかなり強くしつこい症状が見られるので、すぐに気付くことができることが多いでしょう。
放っておくと鼻腔に傷や炎症が起きるほか、細菌感染を引き起こすため、症状が続くようなら動物病院で診察を受けてください。
カーミングシグナルとは、ワンちゃんが自分の緊張をやわらげたり、相手に敵意がないことを伝えたりするための行動です。くしゃみもその1つで、特に遊んでいる最中や初対面のワンちゃんと接するときなどに見られ、疾患などではありません。
くしゃみのほか、あくび、目を細める、まばたき、頭を振る、口を半開きにするなどの行動もカーミングシグナルです。くしゃみと併せて観察すれば、愛犬の気持ちを読み取る手掛かりになるでしょう。
ワンちゃんの逆くしゃみとは、首を前後に伸ばしたりしながら「フガフガ」「ブーブー」と鼻から急激に息を吸い込むような動きを見せる行動です。特に子犬やチワワ、パグ、フレンチブルドッグなどの短頭種に多く見られます。多くの場合は一時的な生理現象で、数秒~1分ほどで自然に治まりますが、頻繁に起きるようなら動物病院で相談してください。
前述したとおり、ワンちゃんのくしゃみの原因が疾患であるケースもあります。どのような疾患でも、早期発見・早期治療が重要です。
ここでは、受診の目安となるくしゃみの症状や、実際に動物病院でどのような診断・治療が行われるのかを解説します。
ワンちゃんがくしゃみをしている場合、次のような症状ならできるだけ早く動物病院を受診してください。
<ワンちゃんのくしゃみの受診チェックリスト>
・くしゃみが2日以上続いている
・黄色や緑色の粘り気のある鼻水が出ている
・鼻血や血が混じった鼻水が出る
・咳や呼吸が荒い
・ふれたときに熱っぽい、体が熱いと感じる
・食欲がない、元気がない
・顔をかゆがる、こすりつける仕草が頻繁に見られる
・口臭や歯の異常がある
これらの症状がある場合は、感染症、アレルギー、歯科疾患、腫瘍、異物混入など、何らかの病気が関与しているかもしれません。特に複数の症状が同時に見られる場合は、早めに受診してください。
ワンちゃんのくしゃみ症状について動物病院で行われる検査と治療の例は、下記のとおりです。
<ワンちゃんのくしゃみ症状で行われる検査>
・レントゲン検査:鼻腔や歯の状態、異物や腫瘍の有無を確認
・血液検査:感染症や炎症反応の有無の確認
・内視鏡検査:鼻腔内を直接観察し、異物やポリープを確認
・CT検査:腫瘍や骨の異常などをより詳細にチェック
<ワンちゃんのくしゃみ症状で行われる治療>
・感染症の場合:抗生物質の投与やネブライザー(吸入治療)
・アレルギーの場合:アレルゲンの除去や抗アレルギー薬の処方
・異物の場合:麻酔下での除去処置
・歯科疾患の場合:抜歯やスケーリングなどの処置
・腫瘍の場合:外科手術、抗がん剤治療、放射線治療など
ワンちゃんの些細な症状を観察し、気になる変化があれば早めの受診を心掛けましょう。
ワンちゃんのくしゃみには、日常生活の中で予防できるものも多く存在します。特に生理的なくしゃみやアレルギー性のくしゃみに関しては、オーナーさんの工夫次第で症状を軽減できます。
ここでは、家庭でできる具体的な予防・対処法について紹介します。
ワンちゃんにとって快適で清潔な室内環境は、くしゃみの予防において基本です。次のような対策を行えば、空気中の刺激物の影響を最小限に抑えられます。
<くしゃみ軽減に適した環境改善>
・ハウスダストなどの刺激を減らすため、こまめに掃除をする
・加湿器を使って湿度を40~60%に保つ
・香水や消臭スプレーなどの強い香りを避ける
・タバコの煙をワンちゃんの生活空間に持ち込まない
日常的なケアを習慣づけると、くしゃみの原因となるトラブルを軽減できます。
<くしゃみ軽減に適した日常ケア>
・ブラッシングで抜け毛やほこりの付着を防ぐ
・歯磨きで口腔内の健康を保ち、歯周病を予防する
・耳掃除や目やにのケアも併せて行う
・定期的な健康診断を受ける
特にシニア期のワンちゃんは免疫力が低下しやすいため、ケアの頻度と質を意識的に高めることが重要です。
感染症によるくしゃみを予防するためには、ワクチンの定期接種が有効です。特にケンネルコフやウイルス性鼻炎などの呼吸器系感染症は、ワクチンで予防できる病気の1つです。
ワクチン接種について動物病院で相談し、年1回の予防接種を習慣づけましょう。また、ドッグランやペットホテルなど、不特定多数のワンちゃんと接触する機会があるワンちゃんには、特に予防が大切です。
ワンちゃんの健康を守る上で、食事管理は基本です。くしゃみの軽減という観点からも、免疫力を高める栄養バランスのとれたフード選びが重要になります。
<くしゃみ軽減に適したワンちゃんの食事>
・添加物の少ないナチュラルフードを選ぶ
・食物アレルギーがある場合はアレルゲンを含まない食材を選ぶ
・腸内環境を整えるために、プロバイオティクスや発酵食品を取り入れる
毎日の食事がワンちゃんの体をつくります。体の内側から健康をサポートし、くしゃみの軽減につなげてください。
ワンちゃんのくしゃみを軽減するためには、住環境を清潔に整えることが大切です。「キミおもい」のワンちゃんシリーズは、吸収・消臭力のあるペットシーツのほか、ワンちゃんの肌にやさしいウエットシートなど、愛犬との暮らしがより快適になるアイテムがそろっています。ワンちゃんにとってストレスのない、すこやかな空間づくりにお役立てください。
「キミおもい」のワンちゃんシリーズについては、下記のページをご覧ください。
キミおもい Dog– ワンちゃん-
ワンちゃんのくしゃみには、生理的なものから病気によるものまでさまざまな原因があります。日常的に見られる一過性のくしゃみなら心配はありませんが、連続するくしゃみや鼻水、鼻血などを伴う場合は、何らかの疾患が隠れているかもしれません。特にアレルギーや感染症、腫瘍などは早期の診断と治療が重要です。
普段の生活の中でくしゃみを軽減できる対策をし、愛犬が快適に過ごせるよう、暮らしの質を高めていきましょう。
ワンちゃんのくしゃみの原因には大きく分けて、生理的なものと病的なものがあります。ほこりや花粉、強い香りなどの刺激による一時的なくしゃみは生理的なもので心配ありません。一方、アレルギーや感染症、鼻腔内の異物、歯科疾患、腫瘍などが原因の場合は、継続的なくしゃみや鼻水、発熱などのほかの症状を伴うことが多く、注意が必要です。
くしゃみが単発で、ほかに異常がなく、元気や食欲があり、鼻水が出ていない場合は、一時的な刺激による生理的なくしゃみの可能性が高いでしょう。ただし、くしゃみが連発で続いたり、どんどん増えたり、鼻水や鼻血が出たりし、症状が変化する場合は早めに動物病院を受診しましょう。
ワンちゃんのアレルギーは完治が難しい場合もあり、基本的にはうまく付き合っていくことになります。原因となる花粉、ハウスダスト、香料などのアレルゲンを特定し、住環境から排除すると、くしゃみの軽減、予防につながります。必要に応じて、抗アレルギー薬やサプリメントでの対処も効果的です。
画像提供/PIXTA












