
記事公開:2025.12.24
ネコちゃんがオーナーさんの手や顔を舐めてくると、うれしい反面「なぜ?」と疑問に思うことも多いのではないでしょうか。
この記事では、ネコちゃんが舐める行動の理由や背景にある心理を丁寧に解説し、やめさせ方や、心地よいスキンシップの取り方を紹介します。
ネコちゃんとの絆を深め、快適な共生生活を送るために、ぜひ参考にしてください。
ネコちゃんがオーナーさんを舐める行動には、さまざまな理由と心理が隠れています。この行動は、母猫が子猫を舐めて育てるグルーミング行動の名残であり、安心感や愛情表現、時には要求やストレスのサインとしても現れます。
また、猫同士でお互いを舐め合う「アログルーミング」は、群れの中での信頼関係や上下関係を築くための行動でもあります。
ここでは、ネコちゃんの舐め方の違いによって考えられる、舐める理由を詳しく見ていきましょう。
■ネコちゃんが舐めてくる理由と心理
ネコちゃんがオーナーさんをゆっくり優しく舐める場合は、「あなたが大好き」という気持ちの表れと考えられます。これは母猫が子猫の体を舐めて清潔に保とうとするグルーミング行動と同じで信頼の証であり、本能的な愛情表現の一環でしょう。
一瞬だけの軽い舐めは、「ありがとう」や「気持ちよかったよ」といった感謝の気持ちを伝えている可能性があります。特に、なでられた後や食事の後に見られることが多く、満足感や安心感を表していると考えられます。
同じ場所を何度も舐め続けたり、長時間にわたって舐めたりする場合は、「ごはんが欲しいよ」「遊んでほしいな」といった要求のサインかもしれません。
鳴き声を伴う場合は、特に何かを伝えたがっている合図として捉えましょう。無視すると不満やストレスがたまり、さらに過剰な舐め行動につながることもあります。
ネコちゃんは嗅覚が非常に優れており、人間の汗や香水、食べ物の匂いに強く反応します。特に帰宅直後や運動後にオーナーさんを舐めるのは、匂いをチェックして安心感を得ようとしている行動かもしれません。また、自分の匂いで上書きして、安心できる空間を作ろうとしているとも考えられます。
最初は優しく舐めていたのに、途中から軽く噛んでくる場合は、甘えや遊びの延長としてのコミュニケーション行動でしょう。ネコちゃん同士でも舐め合った後にじゃれ合うように噛み合うことがあります。
ただし、強く噛んだり、不機嫌そうな様子が見られたりする場合は、ストレスや不快感のサインの可能性があるため注意が必要です。
ここでは、子猫と成猫、またネコちゃんの性格の違いによる舐める理由の差を見ていきましょう。
<年齢や性格による舐め方の違い>
・子猫が舐めてくる場合
・成猫が舐めてくる場合
・性格による舐め方の違い
子猫が人や布を舐めるのは、母猫に舐められていた経験が影響しています。これは愛情や安心を求める本能的な行動で、特に早期離乳した子猫に多く見られる「吸啜(きゅうてつ)行動」が含まれます。
この行動は母乳を吸う代わりに布や毛布、人の肌を舐めるもので、不安や寂しさが考えられる原因です。オーナーさんに対する愛着が深い証拠ともいえますが、頻度が多すぎる場合はストレスのサインとして注意してあげてください。
成猫になってからも舐める行動が続く場合は、愛情表現やコミュニケーションの一環と考えられます。特に信頼関係が築かれているオーナーさんに対して、安心や親しみを込めて舐めることが多く見られます。
また、環境の変化やストレスを感じたときに、自己安定のために舐める行動が出るケースもあるでしょう。
ネコちゃんの性格によっても、舐める行動には明確な違いが出ます。甘えん坊で人懐っこい性格のネコちゃんは、頻繁にオーナーさんを舐めてくる傾向があるでしょう。これは親愛の気持ちを積極的に伝えたいという思いの表れです。
一方、警戒心が強く慎重な性格のネコちゃんの多くは、一瞬だけのチョイ舐めにとどめたり、舐める行動自体が少なかったりします。こうした控えめな行動でも、信頼関係が少しずつ築かれているサインと捉えてください。
ここでは、ネコちゃんが舐めてくる部位別に、その理由や背景にある感情を詳しく解説します。
<部位別に見るネコちゃんの舐める理由>
・顔を舐める理由
・手や指を舐める理由
・脚や耳を舐める理由
顔を舐めてくるのは、ネコちゃんからの最上級の愛情表現と考えられます。これは、母猫が子猫の口周りを舐めて清潔を保っていた行動の名残でもあり、信頼関係が深まっている証拠といえます。
特に朝方や寝起きに舐められることが多く、「おはよう」「起きてほしいよ」といったコミュニケーションの一種かもしれません。
また、オーナーさんの口元や頬を舐めることで、フェロモンや匂いを確認し、安心感を得ている可能性もあります。
ネコちゃんが手や指を舐めるのは、「ごはんをくれた手」や「なでてくれた手」に対する感謝や愛情の表れとされています。
また、ネコちゃん自身がストレスを感じているとき、人の手を舐めることで自己安定を図っているとも考えられます。これは、自分の前足を舐めて落ち着こうとする行動と同じ心理です。
人間の足や耳は、汗や皮脂、外気の影響を受けて匂いがつきやすい部位です。ネコちゃんはこれらの匂いに敏感に反応し、気になる匂いを取り除こうとして舐めることがあります。
また、自分の匂いを上書きするために舐めることもあり、オーナーさんを自分のものとして認識しようとするマーキング的な行動と捉えることもできます。
ここからは、ネコちゃんがしつこく舐めてくるときの原因と、それに対する具体的な対処法を紹介します。
<しつこく舐めてくる場合の対処法>
・やめさせたいときは行動で伝える
・落ち着ける環境と遊びで安心感を与える
・過剰なセルフグルーミングは動物病院に相談する
ネコちゃんがオーナーさんをしつこく舐めてくるときは「かまってよ」「遊んでほしい」「ごはんちょうだい」といった要求であるケースも多くあります。その場合は、まずその要求を把握し、可能な範囲で応えてあげましょう。
ただし、舐めることで何でも叶うと学習させてしまうのは逆効果です。以下のような方法で舐めないように伝えることがおすすめです。
<舐めないように伝える方法>
・無理に叱らず、低い声で「痛い」と伝える
・そっと手を引いて、物理的な距離を取る
・舐め始めたらおもちゃで気をそらす
舐め行動の背景にストレスがある場合、日常の生活環境を見直すことが非常に重要です。次のような対策を試してみてください。
<ネコちゃんのための環境整備とストレス対策>
・1日1回以上の遊び時間を設けて、運動不足と退屈を解消する
・キャットタワーや爪とぎなど、ネコちゃんの習性に合ったアイテムを配置する
・フェロモン拡散スプレーやリラックス効果のあるグッズを活用する
・静かで落ち着ける安心スペースを用意する
・なで方やスキンシップの頻度を見直し、ネコちゃんのペースに合わせる
特に、多頭飼いや生活音が多い家庭では、ネコちゃんがストレスを抱えやすいため、リラックスできる個別スペースの確保が大切です。
オーナーさんを舐めるのではなく、ネコちゃんがセルフグルーミングで特定の場所を過剰に舐め続けている場合、心や体の不調を訴えている可能性があります。
<舐め続けるネコちゃんに考えられる原因>
・引っ越し、同居動物の増加など環境の変化によるストレス
・オーナーさんとのスキンシップ不足
・ノミ・ダニ・アレルギーなどによる皮膚のかゆみ
・内臓疾患による違和感
過剰なセルフグルーミングが続くと被毛が薄くなったり、皮膚が炎症を起こしたりする「舐性皮膚炎」につながることもあります。しつこい舐め行動が続く場合は、動物病院で健康チェックを受けるのがおすすめです。
ネコちゃんに舐められることはうれしいスキンシップの1つですが、唾液に含まれる成分や、肌の弱い人にとっては注意が必要な面もあります。
ここでは、ネコちゃんに舐められたときにオーナーさんが意識したいケアや対応方法について解説します。
<ネコちゃんに舐められたときのオーナーさん側でできること>
・舐められた後はスキンケアする
・ネコちゃんに安全なスキンケア用品を選ぶ
・スキンシップで信頼関係を深める
ネコちゃんの唾液にはたんぱく質や細菌が含まれており、肌の弱い人やアレルギーを持っている人の場合、かゆみや赤みなどの皮膚トラブルを引き起こすことがあります。舐められた後は、ぬるま湯で優しく洗い流し、必要に応じて保湿クリームなどで肌を整えましょう。
愛猫がよく舐めるタイプの場合、オーナーさんは日頃から使うハンドクリームや化粧品にも注意が必要です。ネコちゃんが舐めたときに有害となるアルコールや香料、防腐剤などの成分が含まれていると、ネコちゃんの健康を害するおそれがあります。
ペットに配慮したスキンケア用品も販売されているので、ネコちゃんが舐めても問題ないアイテムを選ぶようにしましょう。
ネコちゃんが舐めてくるのは、オーナーさんへの信頼や愛情の証と考えられます。舐められたときにはスキンシップを返してあげると、より深い信頼関係が築けるでしょう。
特に、ネコちゃんが自分でグルーミングしづらいあご下や、頬のあたりを優しくなでてあげるのがおすすめです。
監修者のご紹介
松田 唯さん
埼玉県生まれ。北里大学獣医畜産学部卒業後、千葉県内と東京都内の動物病院で勤務。
2019年7月、ガイア動物病院(東京都杉並区)を開設、院長となる。大学時代は医療の専門用語が苦手だったこともあり、治療法や薬についてわかりやすく説明し、治療法のメリット・デメリットを理解してオーナーさんが選択できる診療を心掛けるようにしている。
ガイア動物病院
「キミおもい」は、「キミにやさしい、いっしょにうれしい」というブランドの思いから「傾聴飼育」を推奨しています。傾聴飼育とは、ネコちゃんの習性を学び、発するサインを観察し、その意味を理解しながらいっしょに暮らしていくことです。
例えば、ネコちゃんがオーナーさんを舐めるときは甘えたい気持ちや、遊びたい気持ちを示すと考えられます。そんなときは愛情たっぷりになでてあげたり、遊んであげたりすれば、さらに信頼関係を築くことができるでしょう。
「キミおもい」は、オーナーさんの「おもい」とネコちゃんの「おもい」が通じ合えるよう、お手伝いをしています。
「傾聴飼育」の詳しい内容については、下記のページをご覧ください。
キミともっと幸せに 傾聴飼育で、「おもい」が通じ合う暮らしへ
ネコちゃんがリラックスし、満足しながら暮らすためには清潔な環境が欠かせません。そこでおすすめなのが「キミおもい」のネコちゃんシリーズです。
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「キミおもい」のネコちゃんシリーズについては、下記のページをご覧ください。
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ネコちゃんが舐めてくる行動には、愛情表現だけでなく、要求やストレスのサインなど多様な意味が込められています。その舐め方の強さやタイミング、部位などを観察することで、ネコちゃんの気持ちをより正確に読み取れるようになります。
適切なスキンシップや環境整備を通じて、ネコちゃんとの信頼関係をさらに深め、安心して暮らせる共生環境を整えていきましょう。
ネコちゃんが舐めてくるのは、愛情表現のほかに「かまってほしい」「不安を感じている」といった心理が隠れている場合もあります。舐め方の強さやタイミングで、気持ちの違いを読み取ることが可能です。単なるクセと捉えず、行動の背景を理解してあげてください。
子猫は母猫の名残や安心感を求めて舐めることが多く、布や人を舐める吸啜(きゅうてつ)行動も見られます。成猫になると愛情や信頼の表現として舐める傾向が強くなります。また、性格が甘えん坊なほど舐める頻度は高くなる傾向があるでしょう。
ネコちゃんが舐めてくるのをやめさせたいときは無理に叱らず、そっと離れたり、低い声で「痛い」と伝えたりするのが効果的です。また、ストレスや要求が原因の場合は、遊びや環境整備で緩和を図りましょう。おやつやおもちゃで注意をそらすのも有効な方法の1つです。
画像提供/PIXTA







