
記事公開:2025.08.26
いつ起こるかわからない災害。もしもの時、大切な家族の一員であるペットの命を守るための準備はできていますか?
この記事では、ワンちゃんとネコちゃんそれぞれに特化した対策を含め、ペットとの同行避難のポイント、自宅での安全確保術、必要な防災グッズリストまで、災害時に慌てないための具体的な備え方をわかりやすく解説します。オーナーさんとしての心構えとして、ぜひ参考にしてください。
災害は突然発生します。地震や台風、洪水など、いつどこで被災しても不思議ではありません。自治体が公表しているハザードマップを確認し、自宅周辺の災害リスクを把握することから始めましょう。
万が一の際にペットと離れ離れにならないよう、普段から避難場所や避難経路を家族で共有し、ペットと避難できる準備が重要です。ペットを連れた避難所への避難(同行避難)については、自治体の指示に必ず従ってください。同行避難については、後ほど詳しく解説します。
また、避難が必要でなくても、災害時にペットと安定した生活を送れるよう、日頃から環境と備えを整えてください。迷子札やマイクロチップの装着は、迷子になってしまった際に役立ちます。日頃から身元確認ができる準備すれば、万が一の際の安心材料となります。
災害が起きると、避難を必要とする場合と、避難は必要なくともペットの暮らしに影響を及ぼす場合があります。いずれの場合も、オーナーさんが知っておきたい課題は次のとおりです。
災害の影響は、避難区域に限りません。地震の揺れや停電、断水、暴風雨などは、ペットにとっても非日常の状況であり、大きなストレスとなる場合があります。突然の環境変化や大きな音にペットがおびえ、情緒不安定になることもあります。
オーナーさんは、このような状況下でもペットが落ち着いて過ごせるよう、日頃から安心できる場所の確保や、ストレス軽減のためのケアを意識する必要があります。
災害発生時は、交通網の寸断や店舗の休業により、ペットフードや猫砂、常用薬などのペット用品が一時的に手に入らなくなるおそれがあります。そのため、日常的に使用する物資を少し多めに備えておき、使った分を買い足していく「ローリングストック」の活用がおすすめです。
特に持病のあるペットの場合、必要な薬が途絶えると命に関わる事態になりかねません。普段から最低でも1週間分、できれば2週間分程度を確保しておきましょう。
災害時はデマや不確かな情報が飛び交い、正しい情報の入手が困難になる場合があります。ペットに関する情報は特に不足しがちなため、自治体の公式発表、動物病院、公的機関のSNSなど、信頼できる情報源を事前に確認しておきましょう。
もしもの災害時にペットを守るために備えておきたいグッズは、次のとおりです。
ペットのオーナーさんとして、最低限必ず準備したいワンちゃん・ネコちゃん共通の防災グッズをご紹介します。
■準備すべきワンちゃん・ネコちゃん共通の防災グッズ
ペット用の水とフードは、最低でも5日分、できれば7日分以上を準備しましょう。フードは普段食べ慣れたものを選び、急な切り替えによる下痢や嘔吐を防ぐ配慮が必要です。ウェットフードがあれば水分補給にもなります。水は人間用とは別に、ペット専用の水を確保してください。
フード用と水用の食器の準備も必要です。非常用に、持ち運びに便利な折りたたみタイプの食器も市販されているため、備えておくのもおすすめです。さらに、お気に入りのおやつを用意しておくと、ペットのストレス軽減にもつながります。
ペットに持病がある場合は薬や療法食も必ず準備しましょう。健康手帳や予防接種の証明書はコピーを取り防水ケースに入れておいてください。かかりつけ医の連絡先も控えておくと安心です。
ワンちゃん向けにはトイレシート、おむつなどを用意します。ネコちゃん向けには猫砂、簡易トイレなどを準備しましょう。市販されているネコちゃん用のポータブルトイレもチェックしてみてください。
ワンちゃん、ネコちゃんに共通して、消臭スプレー、ポリ袋、使い捨て手袋、除菌シートなどがあると安心です。
ハーネスやリードは、ワンちゃん・ネコちゃんの迷子防止のために必要です。普段からある程度慣れさせておくと安心でしょう。
普段は室内で自由に過ごしているワンちゃんやネコちゃんでも、避難所ではそれが難しくなります。ハーネスやリードがあれば、避難所で愛犬・愛猫と離れ離れになることを防げます。
タオル、ブラシ、ウェットティッシュなど、日常的なケア用品を準備しておきましょう。ペット用のおもちゃも入れておくと、ストレス軽減に役立ちます。また、毛布やタオルなど、ペットの匂いがついたものも、持参すると安心につながるでしょう。
キャリーバッグやクレートは、避難時の移動だけでなく、避難所でのペットの安心できるスペース確保に役立ちます。普段から室内に出しておくなどし、慣れさせておくことが重要です。オーナーさんも扱いに慣れておき、移動時にペットの体重を支えられるかを確認し、家族内でもペットの移動を誰が担うかを確認しておきましょう。
多頭飼育の場合、防災グッズの準備量が必然的に増えるため、計画的な備えが欠かせません。特に水やフード、トイレシートなどの排泄物処理用品は頭数分必要となり、かさばるうえに重くなるため、保管場所や持ち出し方法を事前に考えておくことが大切です。
キャリーバッグやクレートも、ペット1匹につき1つずつ用意しましょう。1つのバッグに複数のペットを入れるとストレスやトラブルの原因になりやすいため、避けるのが無難です。
また、避難時に混乱しないよう、家族で「誰がどの子を連れていくか」「荷物はどう運ぶか」など、役割分担や移動の手順について話し合っておくと安心です。日頃から、避難ルートや避難所の確認もしておいてください。
普段はおとなしいワンちゃんも、非常時には興奮してしまうかもしれません。特に知らない人や他のワンちゃんに吠えがちな子は、日頃から非常時を想定し、しつけによる対策をしておきましょう。無駄吠えをなくし、呼び戻しや「待て」などの基本コマンドを習得させておけば避難時や避難所でのストレスを軽減し、周囲への配慮にもつながります。
また、災害時は普段以上に運動不足になりがちです。避難所で散歩ができない場合も考慮し、室内でできる簡単な運動や遊びを普段から取り入れておくと安心です。
ネコちゃんは環境の変化に非常に敏感です。避難時のストレスを最小限に抑えるためにも、キャリーバッグに普段から慣れさせ、中でおやつを与えたり遊んだりし、安心できる場所だと認識させましょう。
災害時はパニックになり、隠れてしまうこともあります。緊急時にすぐに愛猫を捕獲できるよう、普段から隠れやすい場所を把握し、いざという時には名前を呼んだり、好きなおもちゃで誘導したりする練習が大切です。
同行避難と同伴避難は似た言葉ですが、実際には異なるため注意が必要です。
同行避難とは、災害時にオーナーさんがペットといっしょに安全な場所まで避難することを指します。同行避難はあくまで「避難行動を共にする」ものであり、避難所がペットの受け入れをしていないなど、安全な場所内にいっしょにいられることを保証するものではない点に注意が必要です。多くの自治体でペットとの同行避難が推奨されていますが、実際には受け入れ体制に差があります。
同伴避難とは、避難所敷地内でオーナーさんがペットを飼育管理することを意味します。避難所ではペット専用のスペースが設けられていたり、ペットと同じ部屋で過ごせる体制が整っていたりするケースが該当します。
しかし、日本では同伴避難が可能な避難所は限られており、一般的には難しいのが現状です。また、同伴避難が認められていたとしても、ほかの避難者に迷惑をかけないよう、マナー厳守が求められます。普段からキャリーバッグやクレートに慣れさせておき、中で落ち着いて過ごせるようにしておくのがベターです。
自宅の安全が確保されている場合は、そこで避難生活を送ります。災害が起こる前から、ペット目線で家庭内の環境の見直しをおすすめします。ペットがいる家庭の在宅避難のポイントは、下記のとおりです。
停電で空調が止まり、室温や湿度が大きく変化すると、熱中症や寒さによる体調不良のリスクがあります。
断水に備えて、飲み水を事前に確保することが重要です。
災害時を想定し、倒れにくい低い家具を選んだり、固定したりすることが大切です。また、ガラスが割れた際に飛び散らないようにフィルムを貼るほか、避難経路を確保するなどの対策を講じてください。特に、普段ペットが過ごす場所に危険が及ばないかの確認も大切です。
特に災害時はいつもと違う状況にペットが不安を感じやすいため、在宅避難時でも安心できるキャリーバッグやクレートを用意しておきましょう。
災害時は、普段どおりに生活できないことを想定しましょう。排泄物の処理が滞ると衛生問題に発展するため、簡易トイレや猫砂などを備蓄しておいてください。
キャリーバッグやクレートは、地震などで窓やドアが破損した際の脱走防止にも活用できます。首輪や迷子札、マイクロチップで身元がわかるようにすることも、万が一の迷子対策として有効です。
災害時、自宅では過ごせず、避難所にも行けない場合に選ばれるのが「車中避難」です。特にペットと暮らすオーナーさんにとっては、プライベート空間を確保できる避難手段のひとつとなります。
ただし、避難所の駐車場ではアイドリングが禁止されているケースもあり、快適に過ごすためには事前の準備とルールの確認が欠かせません。ここでは、ペットと車中避難をする際に知っておきたいポイントを紹介します。
災害時の車中泊を想定し、ペット用簡易トイレや、水、携帯扇風機、虫よけスプレーなど、ワンちゃんやネコちゃんが車内で快適に過ごすためのアイテムを準備しておきましょう。
加えて、車中避難が長引く場合に備え、前述しているペットの匂いがついたものやおもちゃを準備物に加えておくと安心です。
車の窓を少し開けて換気を確保し、定期的に休憩を取って車外に出るなど、十分な対策が必要です。季節を問わず、車内にはペットを絶対に置き去りにしないでください。
車内でケージに入ったままでは、熱中症のリスクが高くなります。直射日光を避けるため、ケージを置く予定の場所に遮光・遮熱率の高いフィルムを貼ったりカーテンを用意したりすると良いでしょう。扇風機もあるとベストです。また、夜間や就寝時には防犯対策も必要です。目隠し用のカーテンやシェードを活用し、外から車内が見えにくいよう工夫すれば、安心して過ごせます。
また、こまめな水分補給、ウェットフードで熱中症を予防することも大切です。
監修者のご紹介
中川都子さん
防災総合ペット育成協会 代表
東日本大震災をきっかけに、ペットとオーナーさんが安心して避難できる体制を作るために同協会を発足。神奈川県小田原市を中心に活動中。被災地支援を行うほか、ワンちゃんやネコちゃんのオーナーさんを対象に、災害のための備えや、動物を飼っていない人への配慮などをテーマに啓発セミナーを行っている。

ペットと暮らすオーナーさんとして、災害時を想定した備えは必須です。「キミおもい」のワンちゃん・ネコちゃんシリーズは、ペットの暮らしをサポートするために開発されたアイテムがそろっています。ワンちゃん向けのペットシーツやおむつ、ネコちゃん向けの猫砂、トイレシートのほか、ペット向けのウエットティシューは災害時にも役に立ちます。
日頃はもちろん、非常時にもワンちゃん、ネコちゃんのケアにぜひお役立てください。
「キミおもい」のワンちゃん・ネコちゃんシリーズについては、下記のページをご覧ください。
エリエール キミおもい
ペットの防災対策は、日頃からの準備と知識が何よりも重要です。具体的な防災グッズの準備、ワンちゃんやネコちゃんそれぞれの特性に合わせた準備と対策、そして同行避難のルールやマナーの理解が、大切な家族を守るカギとなります。
ご紹介した内容を参考に、ぜひ今日から防災対策を始めてみてください。愛するペットの命を守るために、しっかりと準備を整えておきましょう。
ペットがいる家庭では、まず自治体のハザードマップを確認し、災害リスクの把握が重要です。避難場所や避難経路、ペット用の災害対策グッズを家族で共有し、ペットとの同行避難について事前に自治体に確認しておきましょう。迷子札やマイクロチップの装着も忘れずに行い、万が一の際の身元確認に備えてください。
最低限必要なものは、最低5~7日分の水とフード、薬や療法食、排泄物処理用品、ハーネス、リードのほか、キャリーバッグやクレート、ケア用品です。特に持病のあるペットの場合は、1〜2週間分の薬や療法食の備蓄が重要です。健康手帳や予防接種の証明書のコピーも防水ケースに入れて保管しましょう。
同行避難は避難所までいっしょに行くことを意味し、避難所内でいっしょに過ごせることを保証するものではありません。避難所でペットといっしょに過ごせる場合は、ほかの避難者やペットに迷惑をかけないよう、マナーの厳守が求められます。普段からキャリーバッグやクレートに慣れさせ、基本的なしつけの徹底が大切です。ペットの匂いがついた毛布やタオルを持参すると安心材料になります。
画像提供/PIXTA






















