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ホーム キミおもい お役立ち情報 犬の生理(ヒート)の仕組みは?周期やケア方法、注意点を詳しく解説
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犬の生理(ヒート)の仕組みは?周期やケア方法、注意点を詳しく解説

記事公開:2025.11.26

ワンちゃんの生理(ヒート)は、人間の生理とは異なる独特の生理現象です。出血が見られる点では似ていますが、その仕組みや意味、周期はまったく異なります。初めて生理を迎えるワンちゃんのオーナーさんは不安も多いのではないでしょうか。

この記事では、ワンちゃんの生理の基本的な仕組みや発情周期、体調・行動の変化のほか、日常のケア方法についてわかりやすく解説します。正しい知識を身につけ、愛犬に寄り添ったケアを実践しましょう。

ワンちゃんの生理の基本的な仕組み

ワンちゃんの生理は「ヒート」とも呼ばれ、妊娠に備えて体が変化する「発情周期」の一部として起こります。ワンちゃんの生理は、人間の生理(月経)とは異なるメカニズムで起きるものであり、正しく理解することが必要です。

ワンちゃんの生理は、発情前期から発情期にかけて始まり、出血を伴うことが一般的です。生理期間中に見られる出血は、子宮内膜の充血によって起こるもので、人間のような子宮内膜の剥離ではありません。出血は粘り気があり、色は赤褐色から始まり、日が経つにつれてピンクや薄い色に変化し、量や色には個体差があります。

避妊手術を検討している場合は、最初の生理が来る生後6ヵ月頃までに行うのが一般的です。避妊手術には、望まない妊娠を防ぐだけでなく、発情期に起こるストレスの軽減、将来的な子宮疾患や乳腺腫瘍のリスクを下げるといった健康面のメリットもあります。オーナーさんの管理の負担を減らすという点でも、有効な手段といえるでしょう。

ワンちゃんの発情周期の4段階

ワンちゃんの生理は、4つの段階からなる発情周期で状態が変化します。これらの段階を理解すれば、出血のタイミングや体調・行動の変化をより正確に把握できるでしょう。

ワンちゃんの発情周期は次のように分類されます。

■ワンちゃんの発情周期

ワンちゃんの発情周期

発情前期(約8日)

発情前期はワンちゃんの外陰部が腫れ、赤褐色の出血が見られ始めます。この時期、男の子のワンちゃんに対して興味を持ち始めますが、まだ交尾は許容しません。約8日間続きます。

発情期(約10日)

発情前期が終わると発情期に入り、出血の量が減って色も薄くなっていきます。男の子のワンちゃんを受け入れるようになり、排卵もこのタイミングで起こるため、交尾すれば妊娠につながる可能性がある期間です。発情期の長さは、だいたい10日ほどとされています。

発情休止期(約2ヵ月)

発情休止期には外陰部の腫れや出血は収まり、ホルモンバランスが妊娠に備えた状態になります。妊娠していない場合でも、まれに偽妊娠と呼ばれる状態になることがあります。これは、黄体ホルモンの影響で、実際には妊娠していないのに、乳腺が張ったり、乳が出たりするほか、巣作り行動をするなどの母性行動が見られるものです。偽妊娠は自然に治まることがほとんどですが、症状が強い場合は獣医師に相談すると安心でしょう。発情休止期は約2ヵ月です。

無発情期(4~8ヵ月)

無発情期は次の発情までの休止期間で、最も落ち着いた状態です。この間は発情兆候が見られません。4~8ヵ月後には次の発情前期が始まります。この周期で、ワンちゃんは年に1~2回、定期的に生理を迎えます。周期の長さや症状の現れ方には個体差があるため、自分の愛犬の周期を把握することが大切です。

小型犬では出血量が少ないためオーナーさんが気づかないことも多いといわれます。血液が垂れてしまう前にワンちゃん自身が舐め取ってしまうということも少なくありません。

ワンちゃんの生理はいつから始まる?

ワンちゃんの初めての生理は、一般的に生後6~10ヵ月頃に始まります。ただし、犬種や体格、個体差によって開始時期は異なり、小型犬は早め、大型犬は遅めになる傾向があります。

まれに生後1年を過ぎてから、または2歳近くになって初めて生理が来るケースもあり、これが異常というわけではありません。飼育環境や体調によっても影響を受けるため、焦らず様子を見ることが大切です。

最初の生理が来た後は、基本的に年に1~2回のペースで発情周期が繰り返されます。周期の長さや症状には個体差があるため、愛犬のペースを把握すると、次回の生理の予測や準備がしやすくなるでしょう。

なお、ワンちゃんには閉経はないといわれていて、生涯、定期的に生理は続きます。ただし、高齢になると発情と発情の間隔が長くなるため、発情出血の時期が予測しにくくなる場合があります。

ワンちゃんの生理中の体調と行動の変化

ワンちゃんの生理中の体調と行動の変化

ワンちゃんの生理中によく見られる体調の変化と行動の変化を、それぞれ詳しく紹介します。

生理中の体調の変化

生理中のワンちゃんに見られる体調の変化は下記のとおりです。

<生理中の体調の変化>

・食欲不振や元気の低下
・いつもより寝ている時間が長くなる
・散歩や遊びに対して消極的になる
・頻尿になる
・水をよく飲むようになる
・乳腺が腫れたり、乳汁が分泌されたりする

こうした体調の変化は数日で落ち着くことが多いですが、症状が長引いたり悪化したりする場合は、獣医師に相談しましょう。生理を起因とする行動が長引く場合は、子宮や卵巣の病気を考える必要があります。生理後の体調不良は子宮蓄膿症などの緊急を要する病気の可能性が高くなってくるため、経過を見ずに早めに病院で相談してください。

なお、ワンちゃんには生理痛はほとんどないとされていますが、体がだるそうに見える場合もあるため、静かに過ごせる環境を整えてあげることが大切です。

生理中の行動の変化と心理的影響

生理中のワンちゃんには、次のような行動の変化や心理的影響が見られます。

<生理中の行動の変化と心理的影響>

・甘えん坊になる
・落ち着きがなくなる
・不安そうに鳴く
・ぬいぐるみを子犬のように扱う
・マウンティング行動(腰を動かして交尾のような仕草)をする

これらの行動は一過性で自然に治まる場合が多いですが、長引くようであれば獣医師に相談しましょう。気分転換として、散歩やおもちゃ遊びなどで気をそらしてあげるのも効果的です。

ワンちゃんの生理中のケア方法と日常の注意点

ワンちゃんの生理中のケア方法と日常の注意点

ここからは、生理期間中に必要なケア方法や、日常生活での注意点を詳しく解説します。

出血対策としておむつやマナーパンツを使う

生理中の出血対策として、ワンちゃん用紙おむつやマナーパンツの使用は非常に有効です。床や家具の汚れを防ぎ、オーナーさんの負担も軽減されます。

ただし、長時間の装着は蒸れやかぶれの原因になるため、適度に取り替え、陰部を清潔に保つことが重要です。陰部周りの毛を短くすると、おむつがフィットしやすく、汚れもつきにくくなります。

居場所にペットシートやタオルを敷く

ワンちゃんによっては、ワンちゃん用紙おむつやマナーパンツを嫌がることがあります。その場合は、無理に装着せず、ワンちゃんの居場所にペットシートやタオルを敷いて対処しましょう。血液や分泌液による汚れを防ぐことができます。

陰部の清潔を保つ

生理中は、出血や排尿で陰部が汚れやすくなります。基本的にはワンちゃん自身が舐めて清潔を保ちますが、出血が多い場合や長毛種の場合はケアが必要です

ぬるま湯で湿らせたコットンや、ワンちゃん用ウエットティッシューを使い、やさしく拭き取ってあげてください。強くこすらず、清潔な状態を保つことが大切です。

また、生理中は免疫が下がる時期でもあるため、シャンプーは避けた方が無難です。どうしても必要な場合は、動物病院で相談してから行いましょう。

食欲不振や体調不良に適切に対処する

生理中は、食欲が落ちたり元気がなくなったりすることがあります。数日で回復しますが、長引く場合は獣医師に相談してください。

対処法としては、フードを温めたり、嗜好性の高いウェットフードを少量混ぜたりすると食いつきが良くなることがあります。ただし、無理に食べさせるのではなく、体調に合わせて様子を見ることが大切です。

水分補給をしっかり促し、静かに過ごせる環境を整えてあげましょう。

散歩や外出時に配慮する

生理中のワンちゃんは、フェロモンの影響で男の子のワンちゃんを強く引き寄せてしまうため、散歩や外出には注意が必要です。生理中はほかのワンちゃんとトラブルになるリスクを避けるため、人通りやワンちゃんの少ない時間帯、場所を選ぶのが理想です。ドッグランやドッグカフェなど、多くのワンちゃんが集まる場所は避けてください。また、散歩中はリードの適切な管理も求められます。

外出時にはワンちゃん用紙おむつやマナーパンツの着用もマナーとして有効です。オーナーさんが周囲への配慮を心掛けると、安心して生理期間を乗り越えられるでしょう。


監修者のご紹介

松田 唯さん
埼玉県生まれ。北里大学獣医畜産学部卒業後、千葉県内と東京都内の動物病院で勤務。
2019年7月、ガイア動物病院(東京都杉並区)を開設、院長となる。大学時代は医療の専門用語が苦手だったこともあり、治療法や薬についてわかりやすく説明し、治療法のメリット・デメリットを理解してオーナーさんが選択できる診療を心掛けるようにしている。

ガイア動物病院


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ワンちゃんの生理を正しく理解し、快適な毎日をサポートしよう

ワンちゃんの生理は、人間とは異なる独自の仕組みと周期を持っており、まずはオーナーさんがワンちゃんの生理について正しく理解することが大切です。

愛犬の体調や行動の変化に気づき、適切なケアや配慮を行えば、愛犬が快適に過ごせる環境を整えられます。出血対策や陰部の清潔保持、散歩時のマナーなど、日常生活での対応も重要なポイントです。

ケア用品を上手に活用しながら、愛犬との日々をより安心ですこやかなものにしていきましょう。

よくあるご質問

ワンちゃんの初めての生理はいつ来ますか?

ワンちゃんの初めての生理は生後6~10ヵ月頃に始まるのが目安です。犬種や体格によって個体差がありますが、小型犬は遅く、大型犬は早くに始まる傾向にあります。中には1歳半~2歳近くで始まるケースもあります。ただし、2歳を過ぎても生理の兆候がない場合は、ホルモン異常や発育の問題が隠れていることもあるため、獣医師に相談すると安心です。

ワンちゃんの生理中に必要なケアには何がありますか?

ワンちゃんの生理中は、出血対策としてワンちゃん用紙おむつやマナーパンツの着用が効果的です。ただし、長時間の装着はかぶれの原因になるため、こまめに取り替えましょう。陰部はワンちゃん用ウエットティシューなどで優しく拭き、常に清潔を保ってあげてください。散歩や室内環境の工夫も含め、ワンちゃんのストレスを軽減する配慮が求められます。

ワンちゃんの生理中に散歩へ行っても大丈夫ですか?

生理中の散歩は可能ですが、注意点があります。男の子のワンちゃんを強く引き寄せる時期のため、ほかのワンちゃんの少ない時間帯や場所を選びましょう。また、ワンちゃん用紙おむつやマナーパンツの着用のほか、リード管理の徹底も重要です。ドッグランや人の多い場所は避け、トラブルを防ぐためのマナーを守ってください。

画像提供/PIXTA

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