
記事公開:2025.07.16
ワンちゃんがおなかを見せる仕草はとてもかわいいものですが、その裏にはさまざまな意味が込められています。愛情や信頼、リラックス、服従の気持ちなど、ワンちゃんは言葉の代わりにおなかを見せることで思いを伝えてくれているのです。ただし、おなかを見せてくれたとしても、必ずしもなでれば良いということではありません。そのときの状況やワンちゃんの気持ちを読み取りながら対応しましょう。
この記事では、犬がおなかを見せる理由やその行動の背景、そして対応方法までを詳しく解説します。オーナーさんがワンちゃんの行動と気持ちを理解するための参考にしてください。
ワンちゃんがおなかを見せる行動には、さまざまな感情や意図が込められています。ワンちゃんがおなかを見せる5つの理由は以下のとおりです。
<ワンちゃんがおなかを見せる理由>
・甘えたくてなでてほしいと思っている
・信頼し、遊びに誘っている
・リラックスしている
・ワンちゃん同士で服従や降参の気持ちを伝えている
ワンちゃんがオーナーさんにおなかを見せる理由のひとつとして、「なでてほしい」「かまってほしい」という甘えの気持ちが考えられます。信頼している相手にしか見せない姿であり、愛情や安心感の証です。
ワンちゃんにとっておなかを見せることは友好的な挨拶を意味することが多く、「敵意はないよ」「仲良くしようね」と伝えています。叱られた直後におなかを見せる場合は、オーナーさんの怒りをやわらげようとしている表れともいえます。
おなかを見せながら尻尾を振っていたり、前足を軽く動かしていたりする場合は、オーナーさんやその場にいる相手に対して「遊ぼうよ!」「こっちにおいでよ!」と伝えています。これはワンちゃんが相手を信頼していて、いっしょに楽しい時間を過ごしたいという積極的な気持ちの表れです。
ワンちゃんが落ち着いた場所で仰向けになっておなかを見せている場合は、リラックスしている証拠といえるでしょう。これは「ここは安心できる場所」「何も心配することがない」と感じています。
ワンちゃんにとっておなかは急所でもあるため、おなかを無防備に見せているのは、深い安心感とリラックスの状態にあるといえます。
ドッグランや公園などで、ほかのワンちゃんにおなかを見せている場合、服従のサインであることが多いでしょう。「あなたには逆らいません」「敵意はないですよ」というメッセージを、相手に伝えようとしています。
この行動は、ワンちゃん同士のトラブルを避けるために本能的にとるものです。ケンカになりそうな場面でも、こうした姿勢を見せることでみずから主導権を相手に渡し、争いを避けようとします。
ワンちゃんがおなかを見せてきたとき、どのように対応するかは、そのときの状況やワンちゃんの気持ちによって変わります。ここでは、状況ごとのおすすめの対応方法をご紹介します。
<ワンちゃんがおなかを見せてきたときの対応方法>
・静かに近づいておなかを見せてきたら、なでてあげる
・ひとりでおなかを見せている場合は見守る
・ほかのワンちゃんにおなかを見せているときは様子を見る
・関心を引くためのしつこい要求の場合は静観する
・悪いことをした後はトレーニング方法を検討する
ワンちゃんがオーナーさんにそっと寄り添いながらおなかを見せてきたときは、「なでてほしい」「甘えたい」という気持ちの表れです。その気持ちに応えるように、やさしく声をかけながら軽くなでてあげましょう。
このとき、急に強くなでると驚かせてしまうこともあるため、はじめに指先を嗅がせて安心させてから、ワンちゃんが心地よいと感じるペースでふれることが大切です。ポジティブな印象が残るように接すれば、より深い信頼関係につながります。
ワンちゃんがひとりでくつろぎながらおなかを見せているときは、リラックスして安心している証拠です。このようなときは、無理に触ったり声をかけたりせず、そっと見守ってあげるのがベストです。
無防備な姿で休んでいるワンちゃんにとって、安心できる空間を邪魔されないことが大きな信頼につながります。
ドッグランや公園などで、ワンちゃんに対しておなかを見せるたら、多くの場合、服従や攻撃の意思がないことを伝えるサインです。この場合、無理に介入せず、様子を見守ることが基本です。
ただし、相手のワンちゃんが過度に攻撃的だったり、愛犬が明らかに不安そうだったりする場合は、すぐに間に入って安全を確保してあげましょう。
何度もおなかを見せてきたり、いたずらをしながらアピールしたりする場合は、「かまってほしい」というしつこい要求かもしれません。毎回反応してしまうと、ワンちゃんは「おなかを見せれば何でもしてもらえる」と学習してしまいます。
この場合は静かに無視して別の部屋に移動するなどし、「落ち着いているほうがかまってもらえる」というルールを教えることが重要です。
いたずらや失敗をしたあとにワンちゃんがおなかを見せている場合、それは「もう怒らないで」という反省のサインです。このようなときにオーナーさんが叱り続けると、信頼関係に影響を与えるかも知れません。
いたずらや失敗があったときには叱るのではなく、なぜその行動をしたのかを見極め、トレーニングや環境づくりを見直すことが必要です。誤った行動の原因を取り除くことが、ワンちゃんの安心にもつながります。
以前はよくおなかを見せていたワンちゃんが、急にその行動をしなくなったとしたら、何かしらのサインである可能性があります。ここでは、主に考えられる2つの要因を解説します。
オーナーさんの前でおなかを見せなくなった背景には、環境の変化や、オーナーさんとの関係性にストレスを感じているかもしれません。例えば、住環境や生活リズムの変化などによって、ワンちゃんが警戒心を強めてしまうことがあります。
また、オーナーさんとの関係に不安を感じているときにも、おなかを見せなくなることがあります。
愛犬にいつもと違う様子が見られる場合は、日常の変化やストレス要因を見直し、必要に応じて獣医師やトレーナーに相談することをおすすめします。
おなかを見せなくなっただけでなく、動きが鈍くなったり、体を丸めるような姿勢が増えたりしている場合は、体調不良のサインかもしれません。特に、おなかにふれると嫌がる、うなる、逃げるなどの行動が見られる場合は、痛みを抱えている可能性もあります。
胃腸トラブルや内臓疾患、ケガなどが原因となっているケースもあるため、少しでも異変を感じたら、すぐに動物病院で診てもらいましょう。
監修者のご紹介
松田 唯さん
埼玉県生まれ。北里大学獣医畜産学部卒業後、千葉県内と東京都内の動物病院で勤務。 2019年7月、ガイア動物病院(東京都杉並区)を開設、院長となる。大学時代は医療の専門用語が苦手だったこともあり、治療法や薬についてわかりやすく説明し、治療法のメリット・デメリットを理解してオーナーさんが選択できる診療を心掛けるようにしている。
ガイア動物病院
ワンちゃんとより良い関係を築くために、「キミおもい」が推奨しているのが「傾聴飼育」という考え方です。これは、ワンちゃんの行動や鳴き声などのサインをよく観察し、その本当の意味を理解しながら一緒に暮らしていく飼育スタイルをいいます。
例えば、おなかを見せるという行動にも、ワンちゃんのさまざまな気持ちが込められています。「甘えたい」「遊びたい」「安心している」など、状況によってその意味は異なります。傾聴飼育では、そうしたワンちゃんのサインを丁寧に読み取ろうとする姿勢が基本です。それが、ワンちゃんにとっての安心や信頼につながっていくでしょう。
「傾聴飼育」の詳しい内容については、下記のページをご覧ください。
キミともっと幸せに 傾聴飼育で、「おもい」が通じ合う暮らしへ
愛犬がおなかを見せるときは、スキンシップを通じて信頼関係を深めるとともに、ワンちゃんの環境を整えてあげることも大切です。「キミおもい」のワンちゃんシリーズには、吸収・消臭力のあるペットシーツのほか、シーン別に選べるおむつ、ワンちゃんの肌にやさしいウエットシートなど、愛犬との暮らしがより快適になるアイテムがそろっています。
「キミおもい」のワンちゃんシリーズについては、下記のページをご覧ください。
キミおもい Dog– ワンちゃん-
ワンちゃんがおなかを見せるときは、信頼や甘え、安心、服従、不調など、さまざまな感情が込められています。そのため、ただ「かわいい仕草」と捉えるのではなく、「どんな気持ちからおなかを見せているのか」を読み取ることが大切です。
ワンちゃんの気持ちに寄り添った対応をすれば、オーナーさんとワンちゃんとの関係性はぐっと深まります。おなかを見せるというサインをきっかけに、愛犬との絆をより深めていきましょう。
おなかを見せる行動には、甘えたい、信頼している、リラックスしている、服従しているなどの理由があります。状況や表情、しぐさと合わせて見極めることが大切です。
多くの場合、ワンちゃんは信頼関係が築かれている相手にのみおなかを見せます。ワンちゃんの性格によっては、ほかのワンちゃんや初対面の人に対しても、服従や非攻撃のサインとしておなかを見せることがあるでしょう。
ワンちゃんが急におなかを見せなくなった場合、環境の変化やストレス、体調不良などが原因かもしれません。異変が続く場合は、生活環境を見直したり、獣医師に相談したりすることをおすすめします。
画像提供/PIXTA














