記事公開:2025.1.27
ネコちゃんは、1日の大半を眠って過ごす生き物として知られています。その様子を見て「愛猫はどうしてこんなに眠るの?」と疑問に思うオーナーさんもいるのではないでしょうか。
この記事では、ネコちゃんの平均的な睡眠時間や年齢による違いのほか、長い睡眠が必要な理由と、ネコちゃんにとって快適な睡眠環境を整えるポイントなどについて解説します。
ネコちゃんの平均的な睡眠時間は、1日12~16時間とされていますが、年齢によっても異なります。
子猫の場合、1日18時間程度眠るのが一般的です。特に、授乳期の子猫は成長ホルモンが分泌されるため、長時間の睡眠が欠かせません。一方、成猫の睡眠時間は1日14時間程度で、遊びや食事の時間を確保しながらも、活動の合間にこまめに眠る傾向があります。
シニアのネコちゃんは成猫に比べて睡眠時間が長くなり、1日20時間近く眠ることもあります。これは、加齢による体力の低下などで、体を休める必要性が増すためです。
ネコちゃんが1日の大半を眠って過ごすのはごく自然なことであり、睡眠時間が普段と変わらないようであれば特に心配する必要はありません。この特徴には、ネコちゃんが持つ習性や体の特性が深く関係しています。
ネコちゃんは本来、獲物を狩る肉食動物で、狩りや縄張りを守る行動に多くのエネルギーを必要とします。そのため、活動の合間に体力を回復するための長い睡眠が欠かせません。
また、獲物を効率的に捕らえられるよう、休息中に体力を温存する習性があります。人間と暮らすネコちゃんにも、この習性が受け継がれているのです。
ネコちゃんの睡眠時間の多くは、浅い眠りであるレム睡眠といわれています。例えば、ネコちゃんが眠っているときにオーナーさんの足音や物音にすぐ反応するのは、この浅い眠りのサインです。浅い眠りのあいだは、人間と同じように夢を見ることがあるとも考えられています。
一方で、深い眠りであるノンレム睡眠の時間もあり、このときに体の修復や成長が進むとされています。ネコちゃんは長いレム睡眠と短いノンレム睡眠を交互に繰り返しているため、一見長く眠っているように見えても、熟睡している時間はそれほど多くないのです。
ネコちゃんは長い睡眠を必要としますが、睡眠時間が普段よりも極端に長くなった場合は、体調不良のサインかもしれません。特に、急に横たわる時間が増えたり、起きて活動する時間が減ったりする場合には、注意が必要です。普段と睡眠の様子が違うと感じたら、動物病院を受診しましょう。
なお、受診の際には、睡眠時間の変化のほか、次のようなことをチェックして獣医師に伝えると診断に役立ちます。
<ネコちゃんの睡眠時間の変化以外にチェックしたいポイント>
・食欲や元気はあるか
・下痢や嘔吐はしていないか
・呼吸の乱れはないか
ネコちゃんの寝姿は、安心感やリラックスの度合いを示すサインともいわれています。普段どのような体勢で寝ているかを観察することで、ネコちゃんの気持ちや体調を理解する手掛かりになるでしょう。
ここでは、ネコちゃんの代表的な寝姿ごとに、その考えられる意味をご紹介します。
丸くなって眠るのは、ネコちゃんの基本的な寝姿です。これは、リラックスしている状態のサインで、特に寒い時期によく見られます。体を丸めることで熱を逃がさず、快適に眠るための工夫でもあります。
この寝姿が多い場合は、ネコちゃんが安心して過ごせる環境にいると考えられます。ただし、寒さを感じている可能性もあるため、部屋の温度や寝床の温かさを確認してあげるといいでしょう。
ネコちゃんが横になり、体を伸ばして眠る姿は、暑い時期や部屋の温度が高いときによく見られます。リラックスはしているものの、暑さを感じているかもしれません。
この寝姿が多く見られるときは、室温の調整が必要です。冷房や扇風機で部屋を涼しくするか、涼しい場所で眠れるよう、環境を整えましょう。ネコちゃんは比較的高温な環境を好むとされていますが、特に暑い日や湿度が高い日は熱中症対策も必要です。ただし、ネコちゃんは自分が快適だと感じる場所へ自然と移動します。そのため、冷房などをつけた結果、ネコちゃんがその部屋から離れてしまう場合には、無理に連れ戻さなくても問題ありません。
ネコちゃんが仰向けになりおなかを見せて眠っている場合、完全に安心しきっている状態と考えられます。本来、ネコちゃんにとっておなかは急所であり、外敵に見せたくない部位です。それをあえて見せているのは、オーナーさんを信頼しており、おうちの環境が安心できる証しといえます。
ただし、寝ているときにおなかをさわろうとすると、ネコちゃんを驚かせてしまう可能性があるため、そっと見守るようにしましょう。
香箱(こうばこ)座りとは、ネコちゃんが前足を体の下に折りたたみ、箱のような形で座っている体勢です。この体勢で眠っている場合はすぐに動き出せないため、ネコちゃんがリラックスした状態と考えられます。
ただし、丸くなったり体を横に伸ばしたりして眠っている場合と比べると、頭が高い位置にあるため、警戒心はやや高いともいえます。また、香箱座りの状態で眠っていても、足裏を地面につけている場合はすぐに動ける準備が整っている体勢です。そのため、周囲を警戒しつつ体を休めていると考えられるでしょう。
ネコちゃんが快適に眠るためには、適切な睡眠環境を整えることが大切です。寝床や部屋の環境を工夫することで、ネコちゃんがよりリラックスできる空間となり、健康的な睡眠をサポートできます。ここでは、快適な睡眠環境づくりのポイントを紹介します。
ネコちゃんにとって快適な室温と湿度を保つことは、質の良い睡眠を確保するために欠かせません。ネコちゃんの祖先は砂漠地帯で暮らしていたため、比較的高温な環境を好むといわれています。
具体的には、梅雨時から夏場までは27~30℃、冬場は18~23℃を目安に室温を調整しましょう。また、湿度は40~60%を維持するのが理想的です。エアコンや加湿器、除湿器などを活用することで、季節に応じて快適な環境を整えることができます。
寝床の設置場所は、ネコちゃんが安心して眠るための重要な要素です。ネコちゃんが普段くつろいでいるお気に入りの場所に寝床を置くと、スムーズに受け入れてくれる可能性が高まります。
一般的にネコちゃんは、適度に狭くて暗く、静かで落ち着ける場所を好むといわれています。周囲の音や人の動きが少ない場所を選び、安心できる空間を作ってあげてください。
また、季節に応じて、ネコちゃんの寝床の場所を変えるのもひとつの選択肢です。例えば、夏場は風通しの良い涼しい場所、冬場は日当たりのいい暖かい場所など、環境に合わせて調整します。
ただし、ネコちゃんによっては寝床の場所が変わるのを嫌がる場合もあるため、様子を見ながら対応しましょう。
ネコちゃんにとって快適な寝床を選ぶことも、睡眠環境を整える上では重要なポイントになります。ネコちゃんの体がすっぽり収まるサイズの寝床を選ぶと理想的です。大きすぎず小さすぎず、成長に合わせて適した寝床を選んであげましょう。
また、自宅で洗いやすい素材の寝床を選ぶと、清潔な環境を保てます。寝床が快適であればあるほど、ネコちゃんの睡眠の質も向上することが期待できます。
監修者のご紹介
松田 唯さん
埼玉県生まれ。北里大学獣医畜産学部卒業後、千葉県内と東京都内の動物病院で勤務。
2019年7月、ガイア動物病院(東京都杉並区)を開設、院長となる。大学時代は医療の専門用語が苦手だったこともあり、治療法や薬についてわかりやすく説明し、治療法のメリット・デメリットを理解してオーナーさんが選択できる診療を心掛けるようにしている。
ガイア動物病院
ネコちゃんが安心して眠れる関係性を築くには、ネコちゃんの気持ちに寄り添って暮らしていくことが大切です。
「キミおもい」は、「キミにやさしい、いっしょにうれしい」というブランドの想いから、「傾聴飼育」を推奨しています。傾聴飼育とは、ネコちゃんが発するサインをよく観察し、その意味を理解しながらいっしょに暮らすという考え方です。「ネコちゃんの幸せを想うからこそ、気持ちを理解してあげたい」というオーナーさんは多いことでしょう。「キミおもい」は、そんなオーナーさんの「おもい」とネコちゃんの「おもい」が通じ合えるよう、お手伝いをしています。
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ネコちゃんが質の良い睡眠をとるためには、トイレなどの環境を整えることも大切です。
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ネコちゃんの睡眠時間が長いのはごく自然なことであり、たくさん眠っているからといって心配する必要はありません。
ただし、普段よりも睡眠時間が長くなったなど、変化が見られる場合は、病気のサインである可能性もあります。ネコちゃんの睡眠時間や寝姿などを普段からチェックしておき、気になる変化が見られる場合には、動物病院を受診しましょう。
ネコちゃんの平均的な睡眠時間は、1日12~16時間とされています。ただし、年齢によっても異なり、子猫は18時間程度、成猫は14時間程度が平均的な睡眠時間です。シニアのネコちゃんの場合、20時間近く眠ることもあります。
ネコちゃんが1日の大半を眠って過ごすのは、その習性が関わっているためです。ネコちゃんは本来、獲物を狩る習性があるため、効率的に獲物を捕らえられるよう、睡眠によって体力を温存しています。
また、ネコちゃんは浅い眠りと深い眠りを交互に繰り返す特徴があり、熟睡している時間は実は少ないといわれています。
ネコちゃんが安心して眠っているかどうかは、寝姿に注目してみるといいでしょう。仰向けになっておなかを見せている場合は、リラックスできており、安心して眠っているサインです。
丸くなっていたり、体を横に伸ばして眠っていたりする場合もリラックスした状態と考えられますが、寒さや暑さを感じている可能性もあります。ネコちゃんにとって快適な室温・湿度を保つことが大切です。
画像提供/PIXTA