記事公開:2024.11.27
便漏れ(漏出性便失禁・切迫性便失禁・混合性便失禁)の原因となる病気や、それぞれの便漏れの治療の際の相談先についてご紹介します。
排便異常のひとつである「便モレ(便失禁)」。自分の意思に反して便がモレてしまうと、日常生活に支障が出るのはもちろん、精神的に大きなダメージを受けてしまうこともあります。
また、周囲になかなか相談しづらい症状のため、一人で悩んでいる方も多いでしょう。しかし、便モレには改善方法や治療法があります。
今回は、便モレの原因や改善方法、治療法について詳しく解説します。
便モレ(便失禁)とは、自分の意思とは無関係に便が肛門から排出されてしまう症状のことです。特に、自分で便を出さずにとどめておこうとしても、便が肛門からモレ出る状態をいいます。
日本国内には約500万人の患者がいるといわれており、決して珍しい症状ではありません。年齢が上がるにつれて有症率は上昇する傾向にあり、2024年に一般社団法人日本大腸肛門病学会が発表した「便失禁診療ガイドライン2024年版(改訂第2版)」によると、月1回未満の発症を含めた便モレの有症率は、65歳以上の男性で8.7%、女性で6.6%となっています。
便モレと一口にいっても、便意を感じずに気がついたらモレている場合や、便意は感じるもののトイレまで排便を我慢できない場合、下痢のような液状の便がモレる場合など、症状はさまざまです。さらに、モレる量も、下着を汚す程度から多量のものまで人によって違います。
便は強いニオイを伴うことが多いため、思いもよらないタイミングでの便モレは、日常生活にさまざまな支障をきたす可能性があります。また、便モレによって肛門周辺が不衛生になりやすく、おしりのただれや痛みを引き起こすこともあるでしょう。
便モレ(便失禁)は、症状によっていくつかのタイプに分類されます。それぞれ特徴や原因、治療法などが異なるため、きちんと症状を理解することが大切です。
ここでは、便モレのタイプ別に、原因と治療法を見ていきましょう。
漏出性便失禁とは、便意を感じないにもかかわらず、自分の意思とは関係なく便がモレてしまうタイプの便モレです。便モレの約半数は漏出性便失禁と考えられ、便モレの原因の中で最も多いといわれています。
原因としては、加齢などに伴う肛門括約筋のゆるみをはじめ、神経の障害によって直腸に便が入った刺激が脳にうまく伝達できなくなる病気や、直腸がんなどによる直腸の感覚低下などが挙げられます。
治療法は、漏出性便失禁の原因のひとつである軟便を解消するために、食物繊維を多くとるといった食事の改善や、原因となる病気の治療が主体となります。
また、下剤によって直腸内の便の溜まりすぎを予防する薬物療法や、便意を司る仙骨神経を電気で刺激する仙骨神経刺激療法などが行われることもあります。
切迫性便失禁とは、突然強い便意を感じるものの、トイレまで我慢することができずに便をモラしてしまうタイプの便モレです。便モレ患者の2割弱が、切迫性便失禁というデータもあります。
原因には、肛門括約筋の衰え、肛門括約筋の運動を司る末梢神経の障害、直腸の便を溜める機能の低下などが挙げられます。特に高齢の方の場合、加齢に伴う肛門括約筋の衰えによって生じることが多く、内臓の疾患が原因ではないため、肛門括約筋を鍛える理学療法以外の治療が難しいこともあります。
なお、高頻度な便失禁によって日常生活に大きな支障をきたしてしまっているようなケースでは、肛門括約筋形成術や人工肛門造設術などの手術が行われることもあります。
混合性便失禁とは、漏出性便失禁と切迫性便失禁の両方の症状を併発するタイプの便モレです。
便モレ患者の3割以上がこのタイプというデータもあり、双方の原因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。
上記の3つのタイプ以外にも、便モレを起こすケースはあります。例えば、出産の際に会陰切開を受けた場合や直腸がんで直腸を取り除く手術を受けた場合、また痔核・痔瘻の手術を行った場合などに、括約筋や括約筋を動かす神経が傷ついてしまい、便モレを起こすことがあります。
また、過敏性腸症候群(IBS)などの慢性的な排便異常をきたす病気、直腸脱・直腸がんといった直腸の器質的疾患、糖尿病や脊椎の病気などが原因で、排便コントロールを行う神経がダメージを受け、便モレを起こしてしまうことも。
便モレは決して高齢者に限った症状ではなく、幅広い年代で起きる可能性があるといえるでしょう。
人知れず、便モレ(便失禁)で悩んでいる方は多いもの。便モレは、症状が軽いうちから自分で簡単にできる改善方法に取り組むのがおすすめです。ここでは、便モレの改善策を3つご紹介します。
排便状況には、食生活が大きく関わってくるため、食生活を改善することをおすすめします。便がやわらかいと便モレが起きやすくなるため、便を硬めにする効果のある不溶性食物繊維を多く含む食品を積極的にとるようにしましょう。具体的には、玄米や全粒粉製品、サツマイモ、ニンジンなどの野菜類、キノコ類、豆類などが挙げられます。
なお、同じ食物繊維でも、水溶性食物繊維は便をやわらかくする効果があるので注意してください。具体的には、大麦やキャベツ、リンゴ、昆布などが水溶性食物繊維を多く含んでいます。
また、カフェインやアルコール、柑橘系の果物、香辛料を多く含む食品などは、腸の動きを活発にして、下痢を引き起こすことがあるので、摂取を控えるのがおすすめです。
便意を感じたら我慢しないことも大切です。便意を感じたら、すみやかにトイレに行って排便する習慣をつけましょう。便意を感じているのに排便を我慢していると、次第に便意を感じづらくなってしまうことがあります。
直腸に便が溜まっていなければ、便モレは起こりません。そのため、決まった時間に排便する習慣をつけることをおすすめします。また、外出時にはトイレの場所をあらかじめ把握しておくと安心です。
便モレの大きな原因として、肛門括約筋のゆるみが挙げられます。そのため、肛門括約筋を鍛えることも便モレの改善方法としては有効です。肛門括約筋の鍛え方は、以下のとおりです。
<肛門括約筋の鍛え方>
1. おしりの穴をすぼめるイメージで、尿道、肛門、腟(女性の場合)を締める。その際、おしりの筋肉に力を入れないよう注意する。
2. おしりの穴を頭のほうへ引き上げるイメージで、5~8秒間キープする。
3. おしりの穴を緩めたり、強く締めたりを繰り返す(約3回)。
※1セット10~20回を目安に、1日3~5セット行う
肛門括約筋を鍛える際は、腹筋に力を入れないよう注意してください。腹筋に力を入れて行うと、腹圧が上がって便モレが起きる可能性があります。
おなかに手をあてて、腹筋が脱力していることを確かめながら行うといいでしょう。
便モレ(便失禁)は、原因となるさまざまな病気の治療を行うことで劇的に改善できることもあります。ただし、発症から時間が経つと治療が難しくなる場合や、思わぬ病気が便モレの背景にあるケースもあるため、便モレに気づいたら、なるべく早く病院で診察を受けることが大切です。
診察を受ける場合は、肛門科や消化器外科を受診しましょう。肛門科や消化器外科が近くにない場合は、まずかかりつけ医に相談してみてください。
監修者のご紹介
宝田美紗子先生
千葉大学医学部卒。あたまとおなか宝田クリニック副院長。総合内科専門医、消化器病専門医、消化器内視鏡専門医、ヘリコバクター学会認定医、腸内細菌学会所属。
一度、便モレを経験すると、またモレてしまうのではという不安から外出できなくなったり、生活の質が低下したりすることがあります。そんなときは、専門医の受診で根本的な治療を進めながら、大人用紙おむつを活用することで、日常生活の不安やストレスを軽減することができます。
便モレの量や状態に応じた、さまざまな大人用紙おむつをラインナップしている「アテント」シリーズを紹介しましょう。
「アテント 軟便も安心パッド」は、独自の<ダブル吸収機能>で、尿や軟便・下痢便もしっかり吸収し、お肌をさらさらにキープする、テープタイプ紙おむつ用のパッドです。長さ56cm、幅30cmの大判サイズなので、背中からモレやすい軟便もしっかり受け止めます。また、高さ4cmの<立体ギャザー>が気になる横モレも強力ブロックします。
「アテント 軟便も安心パッド」については、下記のページをご覧ください。
アテント 軟便も安心パッド
「アテント 消臭効果付きテープ式 背モレ・横モレも防ぐ」は、介助があれば座れる方や寝て過ごす時間が長い方向けのテープタイプの大人用紙おむつ。肌にやさしいやわらかい素材のテープを採用し、簡単にしっかりと止められます。また、センターラインが入っているので、おむつの中心と体の中心を簡単に合わせられ、紙おむつのズレを防ぎます。
「アテント 消臭効果付きテープ式 背モレ・横モレも防ぐ」については、下記のページをご覧ください。
アテント 消臭効果付きテープ式 背モレ・横モレも防ぐ S
アテント 消臭効果付きテープ式 背モレ・横モレも防ぐ M
アテント 消臭効果付きテープ式 背モレ・横モレも防ぐ L
アテント 消臭効果付きテープ式 背モレ・横モレも防ぐ LL
便モレが起きると、日常生活に支障が出ることに加えて、精神的にも大きなダメージを受けてしまうことがあります。一人で抱え込まずに、早めに専門医の診察を受けることをおすすめします。
また、便モレが心配で外出がままならないなど、生活の質が下がってしまうと感じすようなら、大人用紙おむつの使用を検討してみてください。アウターにモレてしまうことがなく、気になる便臭を抑える効果もあるため、不安やストレスなく外出を楽しむことができるでしょう。
便モレ(便失禁)が起こる原因は、肛門括約筋のゆるみ、直腸の感覚低下、肛門括約筋の運動を司る末梢神経の障害、直腸で便を溜める機能の低下などが考えられます。そのほかにも、過敏性腸症候群(IBS)などの慢性的な排便異常をきたす病気や、糖尿病などが原因で排便コントロールを行う神経がダメージを受けて便モレを引き起こすこともあります。
便モレの原因はさまざまですが、便モレ自体は、便意を感じずに便がモレてしまう「漏出性便失禁」、便意は感じるけれど我慢できずモレてしまう「切迫性便失禁」、漏出性便失禁と切迫性便失禁の両方の性質を持つ「混合性便失禁」の大きく3タイプに分けられます。
便モレを改善するには、意識して玄米やサツマイモ、ニンジンなどの不溶性食物繊維を多く含む食品を、積極的にとりましょう。また、便意を感じたらすみやかにトイレに行って排便するなど、便意を我慢しないことも必要です。そのほか、肛門括約筋を鍛える体操を行うのも有効です。
便モレの悩みで病院へ行く場合は、肛門科や消化器外科を受診しましょう。肛門科や消化器外科が近くにない場合は、まずかかりつけ医に相談してみてください。
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