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ホーム アテント お役立ち情報 認知症の初期症状で起こる思い込みとは?主な思い込みの種類と対処法
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認知症の初期症状で起こる思い込みとは?主な思い込みの種類と対処法

公開日時:2024.8.21

誰もがかかる可能性のある認知症。記憶が曖昧になる病気というイメージですが、初期症状として思い込みが激しくなることも挙げられます。強い思い込みは、本人だけでなく家族や周りの人にも、混乱や困惑をもたらすこともあるでしょう。

今回は、認知症の初期症状で思い込みが激しくなる原因や、主な思い込みの種類のほか、家族や周囲の人はどのように対応すれば良いかといった対処法をご紹介します。

認知症の初期に思い込みが激しくなる原因

認知症は、病気や障害などの理由により、脳の神経細胞の働きが徐々に悪くなり、記憶や思考、判断力といった認知機能が低下してしまう病気です。
また、認知症の初期段階の方は、実際にはありえないような話を事実と強く思い込み、周りの人に訴えることがあります。まずは、認知症の初期症状で見られる、こうした激しい思い込みの原因について解説します。

脳の情報処理能力の低下

認知症による思い込みの原因のひとつが、脳の情報処理能力の低下です。脳の情報処理能力が低下すると、記憶が曖昧になり、現実と自分の認識の間にズレが生じてしまいます。このズレに困惑した心が修正を試み、辻褄を合わせるために、事実ではないことを現実だと思い込んでしまうのです。

自分の変化への苦しみや不安感

認知症の強い思い込みには、自分が変わっていくことへの苦しみや不安感も関係しています。認知機能が低下するにつれ、わからないことやできないことが増えていくと、「自分はどうなってしまうのだろう」という不安や恐怖を感じます。

また、以前は簡単にできていたことができなくなると、自分自身に怒りを覚える場面も増えるでしょう。さらに、認知症になると感情のコントロールが困難になるため、苦しみや不安感から混乱しやすくなり、事実ではないことを現実だと思い込んでしまうのです。

認知症の初期症状で見られる、主な思い込みの種類

認知症の初期症状で見られる思い込みには、いくつかのパターンがあります。ここでは、代表的な思い込みの種類について紹介しましょう。

物盗られ妄想

物盗られ妄想とは、「身の回りの物を盗まれた」と思い込んでしまう症状です。認知機能の低下により、物をどこに置いたのか思い出せず、そもそも物を置いた記憶さえないため、身近な人を疑ってしまいます。

認知症の方が物盗られ妄想を訴えた場合は、「誰も盗んでいません」などと否定をしてはいけません。まずは話をしっかりと聞いて、抱えている不安や怒りの気持ちに寄り添うことが重要です。さらに、いっしょに物を探してあげることで、安心感を与えることができます。
なお、本人以外の人が物を見つけると「盗んだ物を元に戻した」と疑われてしまうことがあります。先に物を見つけたときは、本人が見つけられるように誘導してあげましょう。

幻覚・幻聴

幻覚・幻聴とは、現実にはそこにない物が見えたり、声や音が聞こえたりする症状です。脳の神経伝達に障害が生じることで起こり、認知症の中でも特に、アルツハイマー型認知症の次に多いとされるレビー小体型認知症の方に表れやすいとされます。

認知症の方が幻覚・幻聴を訴える場合、「そんなものはいません」などと否定をしてはいけません。本人にとっては実際に見え、聞こえていることなのです。訴えの内容が現実である前提で、話を真剣に聞いてください。話しているうちに落ち着いてきて、幻覚・幻聴が治まることもあります。
また、部屋を明るくしていっしょに確認をしたり、別の部屋へ移動したりするのも有効です。なお、物の影を人などと見間違えることもあるため、部屋にはなるべく物を置かず、シンプルな環境にするといいでしょう。

見捨てられ妄想

見捨てられ妄想とは、認知症による孤独感や不安感などから「自分は見捨てられてしまった」と思い込んでしまう症状です。普段どれだけ十分に愛情を持って接していても、その記憶がないため見捨てられたと感じてしまいます。

見捨てられ妄想を訴える方には、家庭内で何らかの役割を持ってもらうことが効果的です。簡単な家事や得意な作業をいっしょに行い、終了後に感謝の気持ちを伝えましょう。「自分は役に立っている」「必要とされている」と感じることで、自信を取り戻してもらうことが重要です。

嫉妬妄想

嫉妬妄想とは、配偶者が浮気をしていると思い込む症状です。認知症により他人の行動や意図を正しく理解できず、不公平や疎外感を感じることから生じます。「自分は必要がない人間だ」という思いが、「自分にとって大切な人を失ってしまうかも」という不安や恐怖と結び付いてしまうのです。
また、認知症により感情のコントロールが困難になるため、嫉妬という強い感情が爆発して、暴言や暴力へとつながることもあります。

嫉妬妄想を訴える方には、不安や恐怖、焦りといった負の感情を少しずつ取り除いていくことが必要です。しっかり目を見て、穏やかな表情で話を聞き、大切な存在であることを十分に伝えてください。焦らず時間をかけて、信頼関係を築き直すことが重要です。

被害妄想・迫害妄想

被害妄想は、周囲の人から悪口を言われたり、のけ者にされたりしていると思い込む症状。迫害妄想は、「誰かに攻撃されている」「危害を加えられている」と思い込む症状です。
「見ず知らずの人に狙われている」と言うこともあれば、「家族やヘルパーなどの身近な人に暴力を振るわれた」と訴えることもあります。これらは認知機能の低下により、自分の置かれた状況をうまく認識できないために起こります。

特に迫害妄想は、話を聞いた近所の人などが、本当に虐待されたり事件に巻き込まれたりしていると誤解してしまう可能性があります。迫害妄想の兆候が見られたら、早めにケアマネジャーや地域包括支援センターの職員に情報を共有し、最適な対処法について相談してください。

認知症で思い込みが強くなった方への対処法 

認知症の初期に思い込みが激しくなるのは、認知症の方が抱えている不安や苦しさが原因です。家族や周囲の人は、認知症の方の気持ちを理解して、心に寄り添ってあげることが求められます。
続いては、認知症で思い込みが強くなっている方への、具体的な対処法をご紹介しましょう。

否定しない

認知症の初期の思い込みに対しては、否定しないことが重要です。どんなにありえない話でも、本人は現実として認識しています。
「ありえない」「そんなわけがない」と頭ごなしに言われると、自分自身を否定されたように感じて心が傷つき、さらに混乱や不安が増す可能性があります。どんな内容でも現実にあったことと受け止め、真剣に話を聞きましょう。

共感する

認知症の方に共感することは、信頼関係を築く上で有効です。自分が受け入れられていると感じることで、認知症の方の不安やストレスが軽減され、心の安定につながります。
「それは困りますよね」「それは怖かったですね」と共感を示してから、「じゃあ、いっしょに●●してみましょうか」などと、ポジティブな方向に話を持っていくといいでしょう。

がんばりすぎない

認知症の方への対応では、何事もがんばりすぎないことが大切です。現実ではないことを理解してもらおうと、理詰めで話したり、説得したりすることは、相手に強いストレスや混乱を与えます。その結果、症状が悪化してしまったり、認知症の方と対立してしまい、介護を受けること自体を拒否されたりすることにもなりかねません。

また、病気のせいだとわかっていても、暴言を言われたり疑われたりすることは、つらいものです。常に最善の対応をしようとがんばりすぎると、介護者自身が精神的な負担で、介護うつなどに陥ってしまうこともあります。何事も無理をせず、柔軟に対応しましょう。

一人で抱え込まない

認知症の方の介護では、すべてを一人で抱え込まないことが大切です。家族や親戚はもちろん、医師やケアマネジャーなどの専門家に相談をして、支援を求めましょう。
多くの人が関わることで、介護の負担を軽減できるだけでなく、多角的な介護になるため、介護を受ける方にとってもよりよい環境を作ることができます。

認知症の初期の方に対する介護のポイント 

認知症の初期で思い込みの激しい方の介護は、介護をする側にとっても精神的な負担が大きいものです。毎日の対応で疲れ切ってしまわないように、上手に介護を続けるためのポイントをご紹介します。

いったんその場を離れる

認知症の方の妄想が激しく、暴言や暴力などを受けたり、話を聞くことに極度のストレスを感じたりしたときは、いったんその場を離れてください。
「ちょっと用事があるので、戻ってきてから話を聞きますね」と告げ、部屋を出てから心を落ち着けましょう。少し時間を置くことで、お互い冷静になれることもよくあります。なお、認知症の方を一人にしても安全なように、部屋に危険な物などを置かないようにご注意ください。

専門家に相談する

介護に関して困ったことがあれば、専門家に相談しましょう。各市区町村には、高齢者の生活を支える窓口ともいえる、地域包括支援センターが設置されています。地域包括支援センターには、保健師や社会福祉士、主任介護支援専門員(主任ケアマネジャー)などの専門家がおり、介護に関する相談に適切なアドバイスやサポートをしてくれます。

専門サービスを利用する

介護を受ける方と介護をする方が常にいっしょにいると、お互いにストレスが溜まってしまうことがあります。時には、介護施設やショートステイなどを利用して、物理的・精神的に適度な距離を取ることも大切です。
介護から離れる時間や休む時間を作り、リフレッシュすることで、介護者自身の心身の健康を保つことができるでしょう。専用サービスを上手に活用しながら、無理のない介護を行ってください。


監修者のご紹介

伊藤たえ先生
日本脳神経外科学会専門医、日本脳卒中学会専門医。浜松医科大学医学部卒。浜松医科大学脳神経外科のほか、都内の総合病院で脳神経外科医として手術や外来治療を担当。2019年10月から医療法人社団 赤坂パークビル脳神経外科 菅原クリニック 東京脳ドック院長就任。頭痛、物忘れ、めまい、頭部外傷、生活習慣病などの治療や、脳ドックによる適切な早期治療・予防を行っている。

菅原クリニック


【商品紹介】認知症の方におすすめの「アテント」シリーズ

認知症が進行すると、トイレの場所がわからなくなったり、トイレに行く途中で間に合わなくなってしまったりといった、排泄の失敗が起こることがあります。認知症への対応に加え、排泄トラブルも重なると、介護する方の精神的・肉体的負担は大変なもの。
そこでおすすめしたいのが、大人用紙おむつです。認知症の方に大人用紙おむつを着けてもらうことで、急な失禁や夜中の排泄トラブルにも対応でき、介護する方の負担軽減につながります。

大人用紙おむつには、テープタイプとパンツタイプがありますが、認知症の方はおむつをいじって外してしまうこともあるので、下着のようにはくパンツタイプがおすすめ。介護を受ける方、介護をする方の双方に寄り添う、「アテント」のパンツタイプ紙おむつをご紹介します。

アテント 夜1枚安心パンツ パッドなしでずっと快適

「アテント 夜1枚安心パンツ パッドなしでずっと快適」は、アテント紙パンツ史上最高※1の吸水力を誇るパンツタイプの紙おむつです。1枚でおしっこ約8回分※2の吸収量で、朝まで安心して眠れるのが特長。また、背中からのモレを軽減する<背モレ防止ポケット>の採用により、仰向けで寝られるのもうれしいポイントです。

※1 国内大人用紙パンツ2023年9月時点。大王製紙調べ。
※2 1回の吸収量150mlとして。数値は大王製紙測定法によるもの。


「アテント 夜1枚安心パンツ パッドなしでずっと快適」については、下記のページをご覧ください。
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認知症の初期症状の思い込みには、傾聴と共感が大切

認知症の初期段階で思い込みが激しくなるのは、病気により認知機能が低下してしまうことが原因。どんなにありえないような話でも、本人にとっては実際に経験している現実です。頭ごなしに否定するのではなく、真剣に話を聞いて共感し、安心感を与えてあげてください。
また、介護に関する問題を一人で抱え込むのは禁物です。家族や親戚、専門家などに相談しながら、無理なく介護を行いましょう。

よくあるご質問

認知症の初期症状で思い込みが起こる原因は?

認知症の初期症状で思い込みが起こる原因のひとつは、脳の情報処理能力の低下です。記憶が曖昧で、現実と自分の認識のズレを修正するため、事実ではないことを現実だと思い込んでしまいます。
また、思い込みが起こるもうひとつの原因は、苦しみや不安感です。「自分はどうなるのだろう」という不安や、自分自身に対する怒りなどの感情がコントロールできなくなり、混乱するうちに事実ではないことを現実だと思い込んでしまいます。

認知症の初期の思い込みの種類は?

認知症の初期症状で見られる思い込みには、いくつかパターンがあります。主な思い込みの種類は下記のとおりです。

・物盗られ妄想:「身の回りの物を盗まれた」と思い込んでしまう症状。認知機能の低下により、物をどこに置いたのか思い出せず、身近な人を疑ってしまう。

・幻覚・幻聴:現実にはそこにないものが見えたり、声や音が聞こえたりする症状。脳の神経伝達障害により起こる。特にレビー小体型認知症の人に多い。

・見捨てられ妄想:認知症による孤独感や不安感などから「自分は見捨てられた」と思い込む症状。十分に愛情を持って接していても、その記憶がないため見捨てられたと感じてしまう。

・嫉妬妄想:配偶者が浮気をしていると思い込む症状。認知症により感情のコントロールが困難になり、暴言や暴力へとつながることもある。

・被害妄想・迫害妄想:周囲の人から悪口を言われる、誰かに危害を加えられているなどと思い込む症状。認知機能の低下により、自分の置かれた状況をうまく認識できないために起こる。

認知症の初期の思い込みの対処法は?

認知症の初期の思い込みは、認知症の方が心に抱えた不安や苦しさが原因です。どんなにありえない話でも頭ごなしに否定せず、真剣に話を聞きましょう。また、共感を示すことで、不安やストレスが軽減されて心の安定につながります。
なお、認知症の方に現実を理解してもらおうとがんばるのは禁物。相手にストレスや混乱を与えてしまい、症状の悪化へとつながることもあります。介護の問題は一人で抱え込まず、医師やケアマネジャーなど、専門家に支援を求めることが大切です。

画像提供/PIXTA

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