Column
コラム

【プロジェクトにかける想い】後編
やさしい未来のために、今こそふれあいを取り戻そう
担当者が語る「えがおにタッチ」に込める想い

エリエール担当者

核家族化やデジタルツールの進化、そして新型コロナウイルスの世界的流行。近年、「人と人とのふれあい」は私たちの生活からどんどん失われています。その流れに歯止めをかけるべく、エリエールが立ち上げたのが「えがおにタッチPROJECT」。専門家とタッグを組み、「ふれること=タッチング」の効果や重要性を伝えています。
今回は、そんな「えがおにタッチ」始動の背景や込められた想い、そして目指す未来などを、エリエール担当者が熱く語ります。

  • 中村 亘

    大王製紙株式会社 ホーム&パーソナルケア部門 グローバルマーケティング本部 マーケティングコミュニケーション部所属

    マスメディアへの情報発信や店頭販促など、多様な角度からお客様とコミュニケーションを図り、「エリエール」のブランディングに取り組んでいる。えがおにタッチPROJECTを立ち上げから担当しています。

時代の変化とともに減少した「ふれあい」を、今こそ取り戻したい

「えがおにタッチPROJECT」はどのような経緯で立ち上がったのでしょうか?

えがおにタッチは、大王製紙の企業理念である「世界中の人々へやさしい未来をつむぐ」を実現するためのアクションのひとつです。
これまでエリエールでは、ニーズを汲んだ製品の開発、品質の向上をとおして、生活者の皆さまの毎日を支えてきました。しかし、2021年頃から「別の角度からもっとできることがあるのではないか」と考えるように。この気づきが「えがおにタッチPROJECT」のきっかけになっています。


2021年というと、人と人との交流が一気に減ったコロナ禍真っ只中ですね。

行動制限がかけられ、自由に人と会えなくなりましたからね。
ただ私たちは、人々の交流の減少は新型コロナウイルスの流行以前から起こっていたと考えています。核家族化が進行し、夫婦共働きの家庭が増え、さらにはデジタルツールが著しく進化したことで、人と人とが対面で接する機会はどんどん少なくなっていました。コロナ禍で、その傾向が決定的になったというべきでしょう。
そうやって人間関係がいよいよ希薄になる中で、ウイルスへの不安や生活様式への制限に対するストレスがさらに心をむしばんだことにより、社会のいたるところで問題が表面化していました。
そんな状況を目の当たりにして、エリエールがやるべきことは「ふれあい」の重要性を発信することだと思い至ったんです。


「ふれあい」に着目することになった理由はなんですか?

社会が抱える課題をどうしたら解決できるかを考えるなかで、ふと目に留まったのが「やさしく触れていいですか。」というエリエールのスローガンでした。人々の肌にふれる製品をつくり続けてきた私たちは、「ふれあいの力」をよく知っています。今こそ「やさしい未来」の実現に向けて、ふれあいの重要性を発信すべきだと決意しました。

大王製紙株式会社 中村 亘

みなさんに行動を起こしてもらうために、納得感のある確かな情報を発信

「えがおにタッチPROJECT」の立ち上げにあたり、課題に感じていたことはありましたか?

「人と人とのふれあいが必要だ」というメッセージは、伝え方を間違えれば薄っぺらく聞こえてしまいかねないと感じていました。そのため、ふれることの影響や効果を、生活者の方々が納得感をもって理解できるようにすることが重要だと考えたんです。
そこで着目したのが、医療現場などで実践されている「タッチング(安心感などを与えるためのふれあい)」。大人用紙おむつ『アテント』の営業メンバーの多くが介護初任者研修(旧ホームヘルパー)を受けており、その研修の中で訪問した介護現場で、プロの方々がタッチングを実践しているのを学んでいたことがヒントになりました。
医療、介護の現場で行われている「タッチング」に焦点を当て、その効果を熟知している専門家の方々に協力してもらい、「ふれあい」が人々にもたらす影響や実践方法などをエビデンスを提示しながら発信していく。このやり方なら、ふれあいの力をきちんと伝えられると考えました。


「ふれあい=タッチング」がもたらす効果についての実験も行ったそうですね。

「からだのふれあい」「こころのふれあい」により、被験者の体にどのような変化が起きるかを検証する独自の実験を実施しました。幸せホルモンと呼ばれる「オキシトシン」が増え、ストレスホルモンの「コルチゾール」は減ることを確認できています。
このように「えがおにタッチPROJECT」では、調査、研究に基づいた確かな情報を発信することを大切にしています。

大王製紙 中村

想像以上の賛同、共感の声に驚き。ふれあいの力、ニーズを再確認できた

「えがおにタッチPROJECT」が始動したのは、コロナ禍の2022年ですよね。反対の声はなかったのでしょうか?

コロナ禍において「ふれあい」を推進することに対する懸念の声は、社内にも少なからずありました。ただ、一緒に住んでいる家族同士であればできることはありますし、物理的距離を近づけずとも「こころのタッチング(声掛けや会話などの精神的コミュニケーションにつながるアクション)」なら実践できます。
発信の内容には十分に配慮する必要はあるものの、「今こそふれあいが減ることへの警鐘を鳴らす意味がある、逃げてはいけない」という結論で最終的にはまとまりました。


えがおにタッチのスタート後、反応はいかがでしたか?

共感、賛同してくれる方が想像以上に数多くいて、驚きました。
たとえば、先ほど少しお話しした「タッチングの実証実験」。ホルモン値の変化が見られただけでなく、参加者の方々に明らかに笑顔が増え、なかには嬉し泣きしてしまう方もいたんですよ。
また営業チームでは、販売店さんにえがおにタッチについて説明し、寄付活動(製品の売上の一部を自治体やNPO法人に寄付を行う)のために売り場を提供してほしいとお願いしました。すると、多くの販売店さんが賛同してくださり、快くご協力いただけたんです。
ふれあいを求めている方々がたくさんいらっしゃることが分かり、確かな手応えを感じています。

「えがおにタッチ」の輪を広げ、みんなで「やさしい未来」を叶えたい

「えがおにタッチPROJECT」の直近の活動について教えてください。

動画や記事コンテンツによる啓発活動や、各種団体への寄付活動に加えて、コミュニティを開設しました。えがおにタッチからコミュニティの参加者にふれあいに関する質問を投げかけたり、参加者同士でもコミュニケーションをとっていただいたりしています。
これまではえがおにタッチからの一方通行の発信がメインでしたが、生活者の方々のリアルな反応が見えるようになりました。また、コミュニティ自体がひとつの「ふれあいの場」になっているのもうれしいですね。
これからも多くの生活者の方々と交わることで、気づきやアイディアをもらえたり、コミュニティ自体が想像していなかった広がりをみせたりすることを期待しています。


読者の方に伝えたいメッセージはありますか?

ふれること、気持ちを言葉にすることは、誰でもすぐにできることです。そして、その簡単なアクションが周りの方々に与えられる影響は、想像以上に大きいもの。あなたの手が、言葉が、大切な人たちの気持ちを変えられます。ぜひ今日から、「小さいようで大きな一歩」を踏み出してみてください。


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