Column
コラム

【プロジェクトにかける想い】前編
堀内 園子氏×城甲 泰亮氏×大王製紙 鼎談企画
「えがおにタッチ」の必要性と今後への期待

堀内 園子氏×城甲 泰亮氏×大王製紙 鼎談企画

ふれあいには、人をしあわせにするかけがえのない力がある……そんなメッセージを社会に広く伝えるために立ち上がった、「えがおにタッチPROJECT」。人と人とのふれあいが失われつつある今、専門家と協力して「ふれること=タッチング」の効果を検証し、その重要性や方法を発信しています。
今回は、そんな本プロジェクトを監修する堀内氏と城甲氏、そしてエリエール担当者の鼎談の様子をご紹介。専門家のおふたりがプロジェクトに参画した経緯や、気づきや期待などを語ってもらいました。

  • 城甲 泰亮氏[写真左]

    精神科医/医学博士/小諸高原病院診療部長

    診療では声かけや雑談、丁寧な傾聴をはじめとした「こころのふれあい」を実践し、患者との精神的コミュニケーションを図る。「医師と患者」だけでなく「人と人」として信頼関係を築くことを重視している。

  • 堀内 園子氏[写真中]

    看護学博⼠・看護師/保健師・ケアマネージャー/アロマ&触れるケアプラクティショナー/グループホームせせらぎホーム⻑

    病院や介護施設での臨床経験でタッチングの効果や重要性を学び、積極的に実践してきた。後進の指導においても患者さんへのタッチングを促し、若い世代に「ふれあいがもつ力」を伝えている。

  • 中村 亘[写真右]

    大王製紙株式会社 ホーム&パーソナルケア部門 グローバルマーケティング本部 マーケティングコミュニケーション部所属

    マスメディアへの情報発信や店頭販促など、多様な角度からお客様とコミュニケーションを図り、「エリエール」のブランディングに取り組んでいる。

社会にふれあいの重要性を伝えるには「説得力」が必要だった - 中村

「えがおにタッチ」プロジェクトを立ち上げるにあたり、なぜ専門家による監修が必要だと考えたのですか?

私たちは、「えがおにタッチPROJECT」で発信している情報やメッセージが、今を生きるすべての方に必要だと信じています。しかし、伝え方を間違えれば、単なる「企業イメージ向上のための取り組み」と捉えられてしまう可能性もあるでしょう。また、せっかくプロジェクトを知っていただいても、企業が単独で発信していても、説得力に欠けるかもしれないとも考えました。
そこで、確かな知見や経験をふまえて語れる専門家の方にご協力いただくことにしたんです。


堀内先生、城甲先生のことはどのようにして知ったのでしょうか?

「人と人とのふれあい」「タッチング」というテーマについて知見がある専門家を探すのはなかなか難しく、インターネットや書籍を片っぱしから調べました。そうしてたどり着いたのが、看護学博士であり、現在も医療、介護の現場で活躍していらっしゃる堀内先生です。
実際にお会いしてみると、すばらしいキャリアをお持ちでありながら気さくなお人柄で、かつ言葉で発信することもお上手。まさにこのプロジェクトにぴったりの先生だと感じました。

そんなに褒めていただいて、恥ずかしいです(笑)。

城甲先生は、そんな堀内先生が「頼もしい先生を知っているから」と推薦してくれたんです。

城甲先生は、私がホーム長を務めるグループホームの協力医療機関の精神科医です。診察の様子を何度も拝見していますが、パソコンでも、また付き添いのご家族でもなく、いつも患者さん当人と真摯に向き合ってくださるんです。医師としても人としても、絶大な信頼をおいています。

今度は私が照れてしまいますね……。

この機会に伝えさせてもらいます(笑)。本プロジェクトで「こころのタッチング」と呼んでいる、声かけなどによる精神的なふれあい、つながりを大事にされていることもよく知っていたので、自信をもって推薦しました。

堀内先生はもちろん、思わず話しかけたくなるような優しく柔らかいオーラの城甲先生にもプロジェクトの前面に立っていただくと決まったときは、とてもありがたいと思いました。

城甲先生 堀内先生

コロナ禍でのプロジェクト立ち上げの決断に、感謝と尊敬しかない - 城甲氏

堀内先生、城甲先生は、「えがおにタッチPROJECT」のことを初めて聞いたとき、率直にどう感じましたか?

人と人とのふれあいは、私がこれまでずっと大事にしてきたことです。それを大きな企業がプロジェクトとして立ち上げるなんて、うれしかったですし、「たくさんの人にふれあいの重要性を伝えられるのでは」とワクワクしました! ですから、えがおにタッチへの参画はすぐに決めましたよ。

私も同じく即断即決でした。えがおにタッチの主旨に共感しましたし、キャリアを重ねてきて、自分のもてる知見を共有し、もっと膨らませていきたいという想いもあったので。
でも、お話をいただいたときは、正直なところ驚きました。


「驚いた」とは、どうしてでしょうか?

プロジェクトが立ち上がったのは、コロナ禍の真っ只中だったからです。不安やストレスから世の中の神経が過敏になり、ソーシャルディスタンスが叫ばれる中、ふれあいの効果や重要性を伝えるのには勇気が必要だったでしょう。
そんな状況でエリエールさんは、「えがおにタッチ」というすばらしいフレーズを掲げて、行動を起こしてくれました。心から感謝していますし、尊敬に値します。

今の時代、「やり方さえ間違えなければ、ふれることは怖くない」という本来当たり前であるはずのメッセージを伝えるのは、とても難しいことだと私も感じています。でも、多くの人々にとってなじみのある会社と一緒に取り組むことで、たくさんの人にメッセージを届けられるのではと期待しました。

城甲先生 堀内先生 大王製紙中村

周囲からの応援で、みんな「ふれあい」を求めているのだと気づいた - 堀内氏

えがおにタッチに参画したことで、気づきや変化はありましたか?

長年の自分の考えを改めてまとめる機会をいただき、感謝しています。おかげで、これまで臨床で大切にしてきたことをしっくりくる言葉にすることができました。

プロジェクトへの参画を周囲に伝えると、想像以上に応援してもらい、「やっぱり多くの方がふれあいを求めているのだな」と気づきました。
実は、当初は非難の声も寄せられるのではと覚悟していたんです。医療・ケアの現場にいる人間が、コロナ禍に「ふれあい」を推奨するわけですから。でもふたを開けてみれば、そんなことは一切なかった。改めてこのプロジェクトの必要性、意義を強く実感しました。

応援といえば、立ち上げ時に行われたえがおにタッチの記者発表会でも手応えがありましたよね。集まってくださった報道陣の方々は、一様に深く頷きながら話を聞いてくれて。会場全体がとても温かい雰囲気で、「共感してくれている」と感じました。

えがおにタッチの記者発表会

ふれあいを促す発信は「種まき」。世代を超えて引き継がれ、花が咲く日が楽しみ - 堀内氏

えがおにタッチの今後について、どのように期待されていますか?

人と人とのふれあい、つながりの創出は、人が昔からずっと考えてきたテーマだと思っています。そのテーマを、今の時代に合ったやり方で提案しているのが「えがおにタッチPROJECT」。時間をかけて継続的に取り組んでいくべきだと思っているので、今後も精一杯協力させてもらえたらうれしいですね。

私はこのプロジェクトに「種まき」のイメージをもっています。えがおにタッチで蒔いた「ふれあいを促す」という種は、今を生きる人たちによって育てられ、次の世代へも引き継がれていくはず。大きな花が開く日を楽しみに、ふれることの大切さをしっかり伝えていきたいです。


最後に、えがおにタッチが目指す未来についてお聞かせください。

新型コロナウイルスの流行やSNSの発達をはじめとした時代の変化に伴い、他人同士の距離がより大きくなっていると感じています。
私たちはその課題を、ふれあうこと、声を掛け合うことで、少しずつ解消していきたいと考えています。その小さなアクションの積み重ねが、家庭や学校、職場、地域のコミュニティーの活性化につながり、よりよい社会をつくっていくはず。たくさんの方々に一歩を踏み出していただけるように、もっとえがおにタッチを盛り上げていきます!


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