記事公開:2024.11.27
大人のおねしょ(夜尿症)、実は思わぬ病気が潜んでいることも多く、看過できない症状といえます。今回は、大人の夜尿症の原因と対策について詳しく解説します。
「おねしょ」と聞くと多くの方が幼い子どもをイメージするかもしれませんが、大人になってもおねしょに悩んでいる方は少なくありません。
大人のおねしょには病気が潜んでいることもあり、睡眠中の尿失禁は生活の質にも大きく関わります。この記事では、大人のおねしょが起こる仕組みや、原因と対策などを紹介します。
睡眠中に尿失禁をしてしまう「おねしょ」は大人になっても起こることがあり、「夜尿症」という疾患として扱われます。
一般的に、排尿コントロールができるようになるのは2~3歳頃です。しかし、5歳頃までは精神的な緊張や水分のとりすぎといった理由によって、おねしょをしてしまうことがあります。そのため、5歳頃までのおねしょを病的な症状として扱うことはほとんどありません。
夜尿症は「5歳以上で、1ヵ月に1回以上のおねしょが3ヵ月以上続く状態」と定義されています。7歳児の夜尿症の有病率は10%程度で、年齢とともに減少していきますが、夜尿症が解消しないまま成人する方も少なくありません。
その割合は0.5~数%といわれており、成人の200人に1人は夜尿症の症状があるとされています。
大人のおねしょ(夜尿症)がどのように起こるのかを紐解くために、まずは排尿がどのようにコントロールされているのかを見ていきましょう。
尿は腎臓で作られ、膀胱に蓄えられます。膀胱は伸縮性のある筋肉でできており、大人の場合であれば300~500mlの尿を蓄えることができます。しかし、満杯になってから尿意を感じるのではなく、200ml程の尿が溜まると尿意を感じるのが一般的です。
蓄尿と尿排出は、自律神経によってコントロールされています。自律神経には、緊張しているときに優位になる交感神経と、リラックスしているときに優位になる副交感神経があります。
膀胱に尿を溜めているときに優位に働くのは交感神経です。膀胱の出口にある尿道括約筋を収縮させて尿をせき止めつつ、膀胱をゆるめて尿を溜めます。尿が溜まって膀胱がふくらむと、「尿が溜まったよ」という信号が脳に送られて尿意を感じ、副交感神経が働きます。すると、尿道括約筋がゆるむ一方で膀胱が収縮し、尿が押し出されて排尿に至るのです。
■排尿のメカニズム
なお、睡眠中は膀胱の筋肉がゆるみ、日中よりも1.5倍程多くの尿を蓄えられるようになります。
さらに、尿を作る量も日中の60%程度に抑えられます。そのため、本来は睡眠中に尿意を感じることはありません。
大人のおねしょ(夜尿症)は、睡眠中の排尿コントロールがうまく働かない場合に起こります。では、なぜ睡眠中の排尿コントロールが働かなくなってしまうのでしょうか。ここでは、5つの原因を紹介します。
夜尿症は、加齢によって引き起こされることがあります。膀胱に尿が溜まると、脳に情報が伝わって尿意を感じ、排尿に至りますが、加齢によってこれらの神経ネットワークの働きが低下してしまいます。さらには、加齢とともに膀胱や尿道周辺の筋力も衰えがちです。すると、意図しない場面で尿モレをしてしまったり、尿を我慢できず失禁してしまったりします。睡眠中の場合は、尿意を感じて目覚める前に尿がモレてしまうことがあるのです。
ストレスは、夜尿症の一因となります。尿を溜めているときは交感神経が優位になり、尿を出すときは副交感神経が優位になるというように、排尿と自律神経には深い関わりがあります。自律神経のバランスはストレスによって乱れやすいため、排尿に影響が出てしまうのです。
ストレスにより緊張状態が続くと、自律神経のバランスが乱れて、頻尿や夜尿症を引き起こしやすくなります。
夜尿症の原因には、睡眠障害も挙げられます。良質な睡眠は、抗利尿ホルモンの分泌を促します。抗利尿ホルモンは睡眠中の尿量を適量へと調整してくれるため、尿意で目を覚ますことなく眠ることができるのです。しかし、寝つきが悪い、眠りが浅いといった睡眠トラブルを抱えている方は、抗利尿ホルモンの分泌量が少ないために尿量を調整できず、睡眠中に尿モレを起こしやすくなってしまいます。
また、不眠症や精神疾患のために睡眠薬を内服している方は、眠りが深くなりすぎて尿意を感じにくくなり、尿モレしてしまうことがあります。
日々の生活習慣も、夜尿症を引き起こす一因になります。就寝時間がバラバラといった不規則な生活リズムは、自律神経の乱れにつながります。
また、飲酒後は、アルコールの利尿作用や水分の過剰摂取によって、睡眠中に尿モレしてしまう可能性が高くなるでしょう。寝ているあいだに布団から出てしまい、体が冷えているという方も注意が必要です。夜中に尿意で目が覚める回数が増えたという方は、生活習慣を見直してみることをおすすめします。
夜尿症は、病気によって引き起こされることもあります。特に、大人になってから夜尿症を発症した場合は、神経障害や睡眠障害を引き起こす病気のほか、膀胱を圧迫する病気などが潜んでいるかもしれません。放置していると病気が悪化してしまうことがあるため、早めに病院の受診をおすすめします。
大人のおねしょ(夜尿症)には、一見、夜尿症とは関係なさそうな病気が深く関わっていることがあります。夜尿症に潜んでいる可能性がある主な病気は、下記のとおりです。
夜尿症に潜んでいる可能性がある病気に、過活動膀胱があります。過活動膀胱は、膀胱の活動が過剰になる疾患です。頻尿や、急に強い尿意を感じて我慢するのが難しくなる尿意切迫感、トイレに間に合わずモレてしまう切迫性尿失禁などの症状のほか、夜尿症を引き起こすこともあります。
過活動膀胱の原因のひとつには加齢があると考えられますが、前立腺肥大症や骨盤臓器脱、脊柱管狭窄症、脳や脊髄の疾患などによって、過活動膀胱になることもあります。
男性の夜尿症には、前立腺肥大症が潜んでいる可能性があります。前立腺は男性だけにある器官です。加齢とともに肥大化しやすく、近くにある尿管を圧迫して、尿が出しづらくなるなどの排尿障害を引き起こすことがあります。尿を出しきれず、残尿があるためにトイレの回数が増えるほか、膀胱内の尿があふれ出てモレてしまう溢流性尿失禁などの症状があると、夜尿症につながりやすくなります。
夜尿症を引き起こす病気のひとつが、神経因性膀胱です。神経因性膀胱とは、神経の異常によって脳から膀胱へ情報がうまく届かず、膀胱機能に何らかの支障をきたしている状態をいいます。
頻尿、尿意がなくなるなど症状はさまざまで、神経因性膀胱の主な原因には、脳卒中や糖尿病による神経障害、パーキンソン病などがあります。
糖尿病が夜尿症を引き起こしている可能性もあります。糖尿病は神経因性膀胱につながる神経障害の原因になることがあるほか、糖尿病そのものが夜尿症の原因にもなります。血糖値の高い状態が続くと、体内の糖分を排出しようと大量の水分を欲するため、摂取した水分が夜尿症の原因となるのです。
夜尿症には、睡眠時無呼吸症候群が潜んでいる可能性もあります。睡眠時無呼吸症候群の疾患があると、睡眠時に無呼吸状態を繰り返すことで、睡眠の質が低下します。また、ぐっすり眠れず何度も目を覚ますことで、自律神経のバランスも乱れてしまうのです。睡眠の質の低下と自律神経のバランスの乱れは、いずれも夜尿症のリスクを高めます。
うつ病などの気分障害も、夜尿症に潜んでいる可能性がある病気です。気分障害があると日中の活動量が低下し、睡眠リズムが乱れがちになります。睡眠の質の低下は、夜尿症の一因になることがあります。
便秘が、夜尿症の原因となることがあります。腸にとどまった便は膀胱や尿管を圧迫し、溜めておける尿の量が減ってしまうため、尿がモレやすくなります。この尿モレが、夜尿症の原因となるのです。
便秘に悩む方は多く、病院に行くほどではないと思うかもしれませんが、慢性的な便秘はそのほかの病気の原因にもなるため、早めに病院を受診することをおすすめします。
女性特有の症状である骨盤臓器脱が、夜尿症を引き起こすことがあります。膀胱や子宮、直腸といった骨盤内にある臓器は、周辺の筋肉や靭帯に支えられています。
骨盤臓器脱とは、加齢や出産、肥満や便秘などによって、骨盤周辺の筋肉や靭帯がゆるみ、臓器の位置が下がってくる症状のこと。膀胱の位置が下がってしまうと、尿モレなどの排尿トラブルが起こりやすくなります。
大人のおねしょ(夜尿症)に悩んでいても、「子どもと違って改善しないのではないか」「恥ずかしくて相談できない」とあきらめている方は多いかもしれません。夜尿症は生活の質に大きな影響を与えるため、早めに対策をとることをおすすめします。ここでは、4つの対策を紹介します。
夜尿症の対策として、まずは泌尿器科を受診して尿路や膀胱の検査を受けましょう。泌尿器に関する病気が夜尿症の原因になっている場合は、専門的な治療を受けることができます。
また、泌尿器に関する病気が原因ではない場合にも、適切な診療科目をアドバイスしてもらえます。
夜尿症で泌尿器科を受診しても、夜尿症の原因が見つからなかった場合は、ほかの診療科を受診して、原因となる疾患を見つけてもらいましょう。糖尿病であれば内科、便秘であれば消化器内科、気分障害であれば心療内科など、疾患に合った医療機関を受診し、適切な治療を受けてください。
なお、すでに夜尿症の原因となりうる病気の治療を始めている場合は、かかりつけの病院で夜尿症について相談するのもひとつの方法です。
夜尿症対策には、生活習慣の改善も効果的です。生活習慣の中でも、夜尿症と関わりが深いのは睡眠。睡眠時間をしっかり取る、睡眠リズムを作る、寝る前の飲酒を控える、日中に適度な活動をする、リラックスする時間を持つなど、睡眠の質を高めるための生活習慣を身に付けることが、夜尿症の防止につながります。
夜尿症対策として、大人用紙おむつなどの吸水ケア用品を使用するのもおすすめです。夜尿症の心配があると、ますます睡眠の質が低下してしまいます。適切な治療や生活習慣の改善と並行して、大人用紙おむつを使用し、安心して眠るというのもひとつの手段です。
はき心地に違和感がなく、寝姿勢での尿モレをしっかりと防ぐことで、睡眠をサポートする夜用の紙おむつもあります。
監修者のご紹介
井上 雅先生
日本泌尿器科学会専門医、日本排尿機能学会専門医、日本女性骨盤底学会専門医、漢方専門医、日本性機能学会専門医。高知医科大学医学部医学科卒業、岡山大学大学院医歯学総合研究科卒業。岡山大学附属病院泌尿器科や岡山中央病院泌尿器科、岡山労災病院婦人科勤務を経て、2013年にみやびウロギネクリニックを開院。泌尿器科と婦人科の両面からの診療を行っている。
みやびウロギネクリニック
大人のおねしょ(夜尿症)には、夜の尿モレを防ぐさまざまな機能を備えたアテント「夜1枚安心」シリーズがおすすめです。安心の吸収量で睡眠をサポートする”安心夜用タイプ”と、睡眠時に最も経験している※脚まわりからのモレに強い“快適夜用タイプ”の2タイプで、寝具をぬらしてしまうのではないかという不安から解放され、ぐっすり眠れます。
※ 大王製紙調べ。2023年11月実施(n=240)。
「アテント 夜1枚安心パンツ パッドなしでずっと快適」は、安心の吸収量で、さまざまなモレに強い“安心夜用タイプ”です。おしっこ約8回分※をしっかり吸収し、パッドを使わなくても1枚で安心の吸収力。仰向け寝の状態でも<背モレ防止ポケット>が背中からのモレを軽減します。尿量が気になる方、こまめに交換できない方におすすめです。
※ 1回の排尿量150mlとして。大王製紙測定方法による。
「アテント 夜1枚安心パンツ パッドなしでずっと快適」については、下記のページをご覧ください。
アテント 夜1枚安心パンツ パッドなしでずっと快適 男女共用 M
アテント 夜1枚安心パンツ パッドなしでずっと快適 男女共用 L
「アテント 夜1枚安心パンツ はき心地すっきり」は、睡眠時に最も経験している※1脚まわりからのモレに強い“快適夜用タイプ”です。脚を通しやすいすっきり形状で、片手での上げ下げも楽々。おしっこ約4回分※2をしっかり吸収するのに、脚まわりの違和感が軽減された、下着のようなはき心地を実現しています。しっかりフィットする<Wギャザー構造>で、脚まわりからもモレにくく、朝まで安心して眠れます。
※1 大王製紙調べ。2023年11月実施(n=240)。
※2 1回の排尿量150mlとして。大王製紙測定方法による。
「アテント 夜1枚安心パンツ はき心地すっきり」については、下記のページをご覧ください。
アテント 夜1枚安心パンツ はき心地すっきり 男女共用 M
アテント 夜1枚安心パンツ はき心地すっきり 男女共用 L
「アテント 夜1 枚安心パンツ 脚まわりロング丈」は、睡眠時に最も経験している※1脚まわりからのモレに強い“快適夜用タイプ”です。脚まわりがロング丈形状になっていて、睡眠時のさまざまな姿勢におけるモレにも安心。おしっこは約4回分※2を吸収します。おしり全体をやさしく包むふんわりとしたフィット感で、一晩中ぐっすり眠れます。
※1 大王製紙調べ。2023年11月実施(n=240)。
※2 1回の排尿量150mlとして。大王製紙測定方法による。
「アテント 夜1 枚安心パンツ 脚まわりロング丈」については、下記のページをご覧ください。
アテント 夜1 枚安心パンツ 脚まわりロング丈 男女共用 M
アテント 夜1 枚安心パンツ 脚まわりロング丈 男女共用 L
おねしょ(夜尿症)は子どもだけではなく、大人でも悩んでいる方は少なくありません。夜尿症は別の病気が潜んでいることも多い上、心配で眠れない、下着や布団が汚れて不快、泊まりがけの外出ができないなど、生活の質の低下に直結する病気でもあります。
「恥ずかしいから」とそのままにしておくと、ますます日常生活が不自由になります。医療機関で適切な診察を受けるとともに、夜用の大人用紙おむつを活用するなど、生活の質を高めるための対策も取り入れていきましょう。
おねしょは大人にも起こることがあり、夜尿症という疾患として扱われます。夜尿症の定義は「5歳以上で、1ヵ月に1回以上のおねしょが3ヵ月以上続く状態」です。夜尿症が解消しないまま成人する方もおり、成人の200人に1人は夜尿症の症状があるとされています。
大人のおねしょ(夜尿症)の原因には、加齢やストレス、睡眠障害、生活習慣、病気などが挙げられます。夜尿症を引き起こす可能性がある病気は、過活動膀胱や神経因性膀胱といった泌尿器系の疾患のほか、糖尿病、便秘などです。
また、睡眠時無呼吸症候群や気分障害など、睡眠の質を下げる疾患も、夜尿症の原因となります。そのほかに、女性特有の骨盤臓器脱や、男性特有の前立腺肥大症によって膀胱が圧迫され、夜尿症を引き起こすことがあります。
夜尿症を専門的に診療してくれるのは泌尿器科です。しかし、膀胱などの尿路の器質的な病気でなく、糖尿病など別の病気が原因となっている場合には、それぞれの診療科で原因となる病気の治療を行う必要があります。
原因となる病気の治療をすでに行っている場合は、かかりつけの病院で夜尿症について相談するのもひとつの方法です。
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