現在、日本は国内人口の26.7%が65歳以上の高齢者にあたる超高齢化社会を迎えており※、自分や配偶者の両親の介護を自宅で行う人が増加することも予想されます。中には予想していたよりも早いタイミングで「在宅介護」が始まったという人もいることでしょう。今回は「在宅介護」の開始にあたって予想外だったことや想像よりつらかったことについて、在宅介護中の男女300名に意識・実態調査を行いました。
※内閣府「平成28年版高齢社会白書」より
[調査概要]
- 調査名
- 「介護と年齢」に関する意識・実態調査
- 調査期間
- 2017年5月2日(火)〜5月9日(火)
- 調査対象
- 現在在宅介護を行っている男女300名
- 調査方法
- インターネット調査
- より詳しい調査結果はこちら
- http://www.elleair.jp/news/pdf/n290529.pdf
「在宅介護」を始めた年齢を聞くと平均は「50.9歳」、合わせて将来「在宅介護」をするかもしれないと意識し始めた年齢を聞くと平均「48.2歳」となりました。ここからは、「在宅介護」を意識し始めてから3年ほどで実際の介護が始まったという人が多いことがうかがえます。「在宅介護」が始まったときの自身の年齢を、どう捉えているか聞いたところ、「思ったよりも自分が若い年齢で『在宅介護』が始まった」と答えた人が6割超 (61%)という結果になりました。[グラフ1]
若い世代においても「在宅介護」は他人事ではありません。人生の節目である「20歳の時」・「30歳の時」に将来「在宅介護」を行うと思っていたか聞くと、「20歳の時」では79%、「30歳の時」では76%が「思っていなかった」と回答。若い時は「在宅介護」を行うと予想もしていなかった人が大多数を占めることがわかります。
思ったよりも早いタイミングで始まる「在宅介護」。「予想よりも『諦めなければならないこと』が多い」と回答した人は7割超(71%)も見られます。[グラフ2] 「諦めなければならないことが多かった」と回答した人に、具体的に何を諦めたのか聞くと、1位は「自由な時間を持つこと」(79%)。続いて2位に「旅行すること」(70%)、3位に「趣味を続けること」(48%)となりました。[グラフ3]
「スポーツジムに通っていたが、時間も制限され諦めなくてはならなかった」(52歳・女性)、「妻との旅行が一緒に行けない」(61歳・男性)など、リフレッシュになるはずの旅行・趣味を「在宅介護」によって諦めてしまった人も見受けられます。
自身のリフレッシュを諦めがちになる「在宅介護」に対し、予想外のつらさを感じる人も多いようです。具体的には「精神的につらい」と回答した人が7割近く(69%)にものぼりました。「肉体的につらい」人も6割超(61%)となり、精神面でも肉体面でも予想外のつらさが待ち受けていると感じる人が多いようです。[グラフ4]
「精神的につらい」と感じたことを聞くと、1位に「排せつ介助(おむつ交換・トイレ介助など)」(68%)、2位に「移動介助(立つ・座る・歩行など)(63%)、3位に「食事介助(食事を食べさせる・料理を作ること)」(53%)が続きました。[グラフ5]
「排せつ介助」が精神的につらかったと回答した人にその理由を聞くと「夜中に何度も起きて介護するのは睡眠不足になり、精神的にも肉体的にも参る。経験しなければこのつらさは分わからないでしょう」(68歳・男性)、「漏らすことが度重なると、体力だけではなく精神的にも参ります」(60歳・男性)など、「漏れ」「夜間に何度も介助すること」に悩まされているという意見も。
さらに「夜間の排せつ介助」について深く調査しました。まず、夜間に「自宅のトイレやポータブルトイレへの誘導・見守りをした経験がある」は6割(60%)と多数見られます。また、「夜間におむつを取り替えた経験がある」人も41%と少なくありません。 夜間も「排せつ介助」のために介護者も体が休まらないようで、「夜間の排せつ介助」を行うことで「寝不足になった経験がある」人は約4割(39%)。[グラフ6]
これから「在宅介護」を行う人に対して、「夜間排せつの介助は、おむつ交換・漏らした後の処理等に時間がかかる」(64歳・男性)、「身体にフィットするおむつを早く見つける事を意識すべき」(57歳・男性)など、「夜間に漏らさない」ためのおむつ選びに対するアドバイスの声も聞かれました。
今回の調査では、予想外に早いタイミングで「在宅介護」が始まる介護者の意識と、つらい「排せつ介助」に夜間も悩まされている実態が明らかになりました。
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