おねしょの基礎知識

おねしょの原因と対策

日中のおむつは卒業したものの、夜間のおねしょが続いてしまうという子どもは少なくありません。パジャマやシーツが尿で汚れてしまい、洗濯が大変! と頭を抱えるパパ・ママも多いでしょう。

まだ体が発達途中のお子様にとって、おねしょは避けることができない成長過程のひとつとも考えられます。しかし、おねしょはしっかり対策を行うことで頻度を減らすことも可能です。

そこで今回は、お子様の自尊心を保つためにも、パパ・ママの負担を軽減するためにも、おねしょの原因と対策法について詳しく解説します。

おねしょとは?

おねしょとは、睡眠中、無意識に排尿してしまう状態を指します。膀胱機能や自律神経の働きが発達途中であることが原因で引き起こされるもので、一般的には5~6歳頃までに自然と治まっていきます。

おねしょが起こる原因

では、おねしょはどのような原因によって引き起こされるのでしょうか。詳しく見てみましょう。

尿意が生じても目覚めない

尿は腎臓で生成されると尿管を通って膀胱へ流れつき、一定の量まで蓄えられます。そして、尿が溜まって膀胱の容積が大きくなると神経が刺激されて尿意を感じるようになります。

大人は睡眠中であっても尿意が生じると目を覚ますものですが、子どもは眠りが非常に深いため尿意が生じても目を覚ますことができず、膀胱内に溜まった尿が溢れ出てしまうことがあります。

寝ている間に膀胱が大きくならない

膀胱は腎臓で作られた尿を一時的に貯蔵する袋のような役割を担う、非常に伸縮性がある臓器の1つです。そして、膀胱の伸縮性は自律神経のバランスによって左右されます。寝ている時やリラックスしている時は副交感神経が優位に働き、膀胱の収縮が起こって尿が溜まりにくくなるとされています。

子どもは成長過程でまだ膀胱が小さく、睡眠中の眠りが非常に深くなると副交感神経が優位に働きすぎてしまい膀胱に尿を十分に溜めるスペースがなくなり、おねしょをしやすくなるのです。

抗利尿ホルモンの分泌が少ない

抗利尿ホルモンは、尿の生成量を減らす働きがあるホルモンです。睡眠中は抗利尿ホルモンの分泌量が増えるため、朝まで膀胱内に蓄えられる量の尿しか生成されなくなります。
しかし、子どもは抗利尿ホルモンの分泌量が未熟であるため睡眠中にも多くの尿が生成されておねしょをしてしまうことがあります。

おねしょの対策

これまで述べた通り、睡眠の質、膀胱の機能、ホルモン分泌などが成長とともに安定してくるまでは、子どもがおねしょをするのは仕方がないと言えます。
当たり前とはいえ、おねしょの後の負担を考えると少しでも減らしていけたらいいな、と考えているパパやママもいるかもしれません。おねしょは日常生活の工夫で改善できる場合があります。そこでいくつかおねしょの対策をご紹介します。

カフェインが含まれている飲み物を控える

カフェインには利尿作用があるため、常飲していると尿の生成量が増加します。緑茶などのお茶類やコーラにもカフェインが含まれていることがありますので、お子様に与える飲み物にカフェインが含まれていないかチェックしましょう。

夜寝る前にトイレに行く習慣をつける

就寝前は尿意の有無に関わらず、必ずトイレに行って少量でも排尿を済ませる習慣を身に付けましょう。また、夏場など熱中症の危険がある時期以外は、夕食後の水分はできるだけ控えることも対策の一つです。そのために、夕方までに水分をしっかりとるようにしましょう。

便秘を予防する

膀胱は大腸に隣接しているため、慢性的な便秘になると膀胱が圧迫されて十分に膨らむことができず、尿を溜める容積が小さくなってしまうことがあります。
日頃から食物繊維の多い食事や、乳製品・発酵食品など腸内環境を整える食事を心がけて便秘対策をするようにしましょう。

おねしょパンツや夜用パッドを使う

子どものおねしょは成長過程の一つです。どんなに対策を講じていてもおねしょを100%予防することはできません。しかし、旅行先やお泊り保育などできる限りおねしょを避けたい場面もあることでしょう。

そんなときは、おねしょをしても寝具や衣類が汚れないおねしょパンツや夜用パッドがおすすめです。「グ~ン ナイトキッズパッド」などはお気に入りのパンツの中に装着することができるので、トイレトレーニングを完了したばかりの子にも違和感なく使用することができます。
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こんなときは夜尿症かも?

おねしょは子どもの成長過程とはいえ、いつまで続くのか、うちの子だけではないかと心配しているパパ・ママも少なくはないかもしれません。
目安として5~6歳(小学校入学前後)頃になっても頻繁におねしょをしている場合や、1年以上おねしょをしていなかったのにまたするようになった場合、「夜尿症」かもしれません。夜尿症は適切な生活改善や治療を受ければ早期改善に繋がります。思い当たる場合は、一度小児科や泌尿器科で相談してみましょう。

記事監修 先生のご紹介

山中 岳先生

東京医科大学小児科 准教授

子供の心身の成長に向き合う現場を20年以上経験するドクター。経験に加え、日本小児科学会専門医・指導医、日本小児神経学会専門医・指導医、日本てんかん学会専門医・指導医と数多くの認定資格を所持。
東京医科大学講師として、次世代の医師の育成にも力を入れている。