かくさないパッケージをつくろう 座談会レポート

もっといいパンツになる。 アテント

エリエール

第1回座談会レポート

今のパッケージって
正直どう?

#常識をはきかえよう というハッシュタグで、介護についてオープンに話す場を2020年からつくってきたアテント。その中で、「パッケージをもっとおしゃれにしてほしい」という声が多く集まりました。そこで「もっといいパンツになるプロジェクト」の第一弾として、SNSで意見を募るのと同時に、いろんな立場の方と座談会を開き、紙パンツのパッケージについて話し合いました。

参加メンバー

  • 鎌田 實先生

    ⾃由を愛する内科医。地域医療、在宅ケアのお仕事をしています。アテントの開発にも協⼒。

  • 澤⽥ 智洋さん(司会)

    福祉やスポーツ関係のお仕事をしています。⼦供が⽣まれる前に、事前準備として紙オムツを買うときはウキウキでした。

  • 岸⽥ 奈美さん

    作家。主に家族のことを題材に、明るくなれる作品を書いています。⽣理のときにお⺟さんの紙パンツを借りたことも。

  • 岸⽥ ひろ実さん

    奈美さんのお⺟さん。病気のため下半⾝⿇痺になり、紙パンツと出会う。⾃分らしく使いこなしています。

  • アボカドさん

    他県に住むお⺟さんを、お⽗さんと⼀緒に遠距離介護中です。紙パンツの購⼊はアボカドさんが担当。

  • キョンシーさん

    91歳のお⺟さんを介護中。くたくたになるけど、将来の勉強だと思って、明るく前向きに取り組んでいます。キョンシーが好き。

  • こうちゃんさん

    普段から活発に趣味や仕事のセミナーに通い、万が⼀のときのために紙パンツを使⽤。メガネがとても似合う。

目次

  • 初めての紙パンツってどうでした?

  • 今のパッケージは、ステレオタイプ?

  • 日本のパッケージ、こんなに情報いらない説

  • オシャレだけど、わかりやすくしたい(できるのか?)

  • 機能よりも大切なことがある

  • 紙パンツは、人生を自由にする

  • 「自分らしく生きていく」という意思表明

  • 80歳になってもスキーができそうだ

  • 必需品から、ファッションへ

#1/9

初めての紙パンツって
どうでした?

澤田さん(司会)一番初めに買った時の気持ちを覚えています?

岸⽥ ひろ実さん私は大動脈解離に39歳でなって、下半身麻痺が残ってしまったので、今は毎日紙パンツを使っています。最初は紙パンツを買うっていうのも、すごくイヤで。娘に頼むのもちょっと可哀想で。でも仕方なく使い始めたら、ものすごく便利で、もっと早く使っていれば良かったなと思うんですが。

岸⽥ 奈美さん私がお母さんから頼まれたことがないってそういうことなんだね。

岸⽥ ひろ実さんうん。一緒に入院していた車椅子に乗っている20代の女の子から、紙パンツを使いたいけれどプライドが許さなくて使えない、買うのが恥ずかしいという話を聞いていました。だから娘に頼んでも同じ気持ちになるんだろうなって。

岸⽥ 奈美さん正直、私は買うのは恥ずかしくない。周りからは家族の介護かな、ぐらいに想像されそうだし。便利だし。ただ、家族がはくのを辛そうにしているのを見るのは辛いです。一番いいのは、家族の心の負担が少なくて、かつ、もらして困るような状況を防げること。

キョンシーさん私の母は90歳で認知症なんですが、最初は「私も姉もはいているよ」と言って、やっとはいてもらえるようになりました。プライドもあるので、オムツのことを「パンツ」と言ったら使ってくれるんです。

アボカドさんうちは、もともと紙パンツに対して敷居が低かったんです。母親が介護で使うようになっても、「これ便利よ」「あなたたちも使いなさい」と家族に言っていて。明るい感じです。

澤田さん(司会)なんでアボカドさん親子って抵抗ないんですか?

アボカドさん便利でラッキーって思っているのかな?もともとズボラなので笑。私も便利そうだな、と思って、災害避難用のリュックにも入れてます。

こうちゃんさん私は万が一の時にもらさないように、紙パンツを出かけるときにちょこちょこ使っています。毎日使うのは、尿もれパッドで十分です。最初は家族が買ってくれて、最近はネットでよく調べてから自分でお店に行きます。袋のデザインがわかりにくいので、「これや!」というのを決めてから行くんです。

澤田さん(司会)今のパッケージって、あれもこれも書いてあってわかりやすいのかなって思ったら、そんなことないんですね。

こうちゃんさんはき心地とか細かいところは、よく読まないとわからないんですよね。でも、売り場でじっくり見るのは少し抵抗がある。先に調べて、大きなエコバックにかくして入れて、持ち帰っています。

#2/9

今のパッケージは
ステレオタイプ?

澤田さん(司会)ひろ実さんも、出張に持って行くときにブランド物のバッグにわざわざ入れかえると聞いたのですが?

岸⽥ ひろ実さんはい。自分が紙パンツを見るとき、いい気分で見たいなって気持ちがあるので、なるべく華やかな袋に詰めますね。

澤田さん(司会)外側が変わるだけでも気分って変わるものなのですか?

岸⽥ ひろ実さんやっぱり今の紙オムツのパッケージって、高齢者のイメージで。赤ちゃんのオムツって、いずれ成長して使わなくなる前向きな前提ですよね。でもわざわざ高齢者のオムツって限定しちゃうと、できなくなることが増えていく中で使うものって感じで、テンションが下がります。一方で今、生理用のナプキンってすごいオシャレになっていて、買うのも恥ずかしくない。そんな風に、紙パンツもカッコいいパッケージになれば、恥ずかしくなくなるのかなって思います。

澤田さん(司会)大人がオムツを使う時って何かと長期戦になることが多いので、自分の気持ちを前向きにしてくれるといいですよね。

アボカドさんあと、なんでみんな買うのに抵抗があるのに、パキッと目立つ色にしているんだろうなあとも、思います。パッケージのイラストも、おじいさんおばあさんになっているのも疑問です。若い世代でも、頻尿や尿もれで使っている人もいるので、別に高齢者に特化しなくてもいいんじゃないかな。

こうちゃんさん若くても買えるというか、爽やかなデザインになったらいいのかな。ぱっと見ただけでは、何かわからないものだといいんじゃないかと思います。

澤田さん(司会)障害があって必要な方もいらっしゃるでしょうし。みんなにとって気がねなく買えるものになるといいですよね。

#3/9

日本のパッケージ
こんなに情報いらない説

澤田さん(司会)このアテントのパッケージ、みなさん見たことありますか? どの面にも、文字量が多いんですけど。

アボカドさんこんなに情報たくさんいらないっていうのに賛成です。いつも買っている人にとっては、正直、商品名すらいらないと思っていて。表の部分はかわいい色で統一させて、裏面に商品名とかサイズの情報があるのはどうかな。ちょっとかわいいトイレットペーパーかなっていう感じで持ち帰れるのがいい。

こうちゃんさんそうですね、「下着爽快プラス超うす型」っていう、この名前が前面になかったら、抵抗少ないんちゃいます

岸⽥ ひろ実さん例えば機能的な下着を買うとき、パッケージにUネックとかボートネックとか、シンプルにデザインされた絵がありますよね。カッコよく形や機能を選べると、紙パンツのイメージは変わるのかなと思います。

澤田さん(司会)今のデザインだと情報が多すぎて、むしろ機能がわかりづらいから、間違えそうってご意見もありました。

岸⽥ ひろ実さんそうそう、こんなに書いてあるのに、実はサイズが見つけづらいんですよね。情報量が多すぎて逆に。前に間違って買ってしまったこともありました。

岸⽥ 奈美さん一色でできたシンプルなパッケージだったら、「緑買ってきて!」って言えばいいですもんね。web販売とか、海外のパッケージだと、よくあるじゃないですか。ミニマムで、シンプルなデザイン。

キョンシーさんそうそう、情報はすべて裏に入れてもらって。表は、家族にもこれ買ってきて!って気軽に言える雰囲気にしてほしい。わたしはマンション住まいなんですけど、シンプルなものだったらかくす必要がなくて、お昼でも堂々と歩けそう。

澤田さん(司会)ここまでの話を伺っていると、すべての情報が要らない気がしてきた......。

#4/9

オシャレだけど
わかりやすくしたい
(できるのか?)

岸⽥ 奈美さんでも、彼氏に「羽根つきで、量多めの生理用ナプキン買ってきて」って頼んでも、「ぜんぶ同じに見える」って言われるって話を聞きました。なので、いきなり紙パンツがオシャレでスタイリッシュになっても、頼まれた人は間違えるかもなって思いました。オシャレだけど、わかりやすいといいなあ。

澤田さん(司会)僕も妻から頼まれる時があっても、わからないから写真を添えてって言うんですけど。ご本人が買うのか、頼まれて買うのかで変わってきますよね。オシャレにはしたいけれど、わかりやすくしたい。そこに果たして着地点があるのでしょうか.....

こうちゃんさんうーん、でも、結局はき心地とかは、じっくり読まないとわからないから。だからネットで調べてから、それ目がけて買いに行きます。パッケージはシンプルでいいのでは?

アボカドさん全面一色だけとか、デザインが他のメーカーと明らかに違うと、お店で買いやすいと思います。店頭でも目立つし。

岸⽥ 奈美さん誰かに買い物頼む時も、緑のやつ買ってきて!とか、あのデザインのやつ買ってきて!だと、頼みやすいですよね。

澤田さん(司会)初めて買うのか、いつも買っているのか、自分が買うのか、頼まれて買うのか、インターネット販売で買うのか、店頭で買うのか、いろんな場合がありますよね。

#5/9

機能よりも
大切なことがある

鎌田先生みなさんの話を聞いてて、わかってきました。パッケージって今まで機能を伝えようと一生懸命やってきたけど、買う側からすると機能よりも大切なことがあるんだなあと。そして大事なことが2つ。
1つは、初めて紙パンツを使う時の抵抗感をなくせるパッケージが重要なんだなってこと。僕はもうすぐ73で、近々必要になりそうなんですが、今のパッケージはちょっと辛いね。
もう1つは、「紙パンツは人間らしく生きるための道具」だと思ってもらえるパッケージが必要ってこと。僕は目が悪いというハンディを18の頃から感じていたけれど、別にメガネ自体は恥ずかしくない。だから、パンツもメガネと同じように、自由になるための「ちょっとオシャレな新しい道具」ってとらえてもらえたらうれしいよね。パンツの形や「下着爽快プラス」って名前よりも、そっちを伝える方が大切なんじゃないかな。

澤田さん(司会)確かに!使うまでは紙パンツに抵抗があったけど、いざ使ってみると便利で、できることが増える。自由が広がる。だからパッケージに機能をチラシみたいに詰め込むのではなくて、自由っていう気分が直感的に入ってくるといいなって思いました。

#6/9

紙パンツは
人生を自由にする

鎌田先生「これであなたは自由になれます」とか一言入れて、裏を見ればちゃんと説明があれば、目が悪い人がメガネをかけるのと一緒だと思われるんじゃないかな。お店の棚の中で、アテントの紙パンツだけは自由を売っているみたいにしたらどうだろう?

澤田さん(司会)いや、いいですね。大胆に、草彅さんをドーン!と置いて、「僕は自由になったよ、あなたはどう?」みたいな。あとはたとえば、気持ちいい自然が描かれているだけで自由を感じるかもしれない。そんな風にパンツが自由の象徴になれたら、朝起きてきたときに目が合っても頼もしいし、背中を押される。

鎌田先生友だちにも「俺は自由を買ってきたぞ!」って見せられるようにしたい。これがあれば何かにチャンレンジができるとか、自分の人生を楽しむんだぞっていう意気込みを感じるパッケージになるといいですね。

澤田さん(司会)そう考えると、自由へのチケットみたいですね。これがあることによっていろんなことができるという。

鎌田先生トイレが近いからバス旅行を諦めていた人が、これさえあればバス旅行に行けるってことですからね。

#7/9

「私は自分らしく
生きていく」
という意思表明

澤田さん(司会)最近は生理用のショーツが、日本でも変わり始めている。奈美さんは何かご存知ですか?

岸⽥ 奈美さんまさに最近フェムテックのかっこいい生理用ショーツを、オシャレで気分が上がるなと思って買いました。生理をかくさないといけないとか、男性に痛みや不調がわかってもらえないとか、鬱屈した思いを多くの女性が抱えている中で、そういう商品を選ぶこと自体が、「わたしは自分らしく生きていく!」っていう表明になる。だからアテントも、抱えているモヤモヤを意志表示できるような、強めのデザインでもいいなと思います。

澤田さん(司会)紙パンツも、かくす必要がなくなって「時代を変えるんだ!」という意志のある存在になるといいですよね。

岸⽥ 奈美さん自分でトイレに行けないことを、恥ずかしがらずにすむ時代が来ると思います。昔は生理の話もしづらかったけれど、今は普通にSNSでしていますからね。

岸⽥ ひろ実さん今は生理用品でも、多い日用の紙パンツがあるんですよね。私も大人用の紙パンツを使うようになってから、生理に対する不安も軽減されたので、みんな使えばいいのになって思います。

#8/9

80歳になっても
スキーができそうだ

鎌田先生そうそう、この前、試しに紙パンツをはいてスキー場に行ってみたんです。「僕は80歳になってもスキーができそうだな」って希望が持てたらいいなって。機能だけを訴えるんじゃなくて、この「道具」は役に立つってことを、パッケージに表せたらいいけどなあ。

岸⽥ 奈美さん鎌田先生の「道具」っていう捉え方いいですね。年老いたから使うんじゃなくて、必要だから道具として使うっていう認識になればいい。でも、今のこの男女が歩いているイラストからは、「これを使ってハツラツに歩いてください」という圧を感じちゃうんです。

澤田さん(司会)いろんなエピソードを集めて、それが50パターンぐらいあるといいんじゃないかな。ある人はバーテンダーやっていたり、ある人は恋をしていたり。

岸⽥ ひろ実さん他にも、すごい高熱が出てトイレに行くのも大変っていう時に、紙パンツはいいんですよね。災害でトイレが使えない時にもいいですし。外科医の先生も手術中にはいていたり、本当は広く使われているものなんですよね。

#9/9

必需品から
ファッションへ

澤田さん(司会)今日は「自由」や「意志表示」という、思いがけないキーワードが出ました。そういう言葉を切り口に作っていけたらいいですね。

キョンシーさん自由になれるっていうのが、明確にわかる方向になればいいと思います。最初はショックなんですよね、オムツを買うのは。だからこそ、ちょっとでも気持ちを明るくしてもらえるものができたらいいですよね。

澤田さん(司会)パンツとかオムツの概念を超えて「新しい何かを手に入れているんだ」という気持ちになれるパッケージならすごくいいな。僕は子どもの頃、クラスで最初にメガネになった子だったので、いじめられたりしていたんですけど、今ではファッションとして大事なアイテムですもんね。2050年の日本ではパンツってメガネみたいな存在になっていると思いますか? 

岸⽥ 奈美さんそういう時代は来ると思います。必需品的なものから、服を買うみたいに心地よさとか追求するようになると思うんですよね。私の世代が高齢者になる時は、キャンプやスキーではくとか、元気な高齢者がどんどん増えていくと思います。

澤田さん(司会)服を買うみたいにっていいですね。服って、安心を買ったり、流行りを買ったり、僕らは気分を選んでいる。これからは紙パンツも、オシャレを求めるあなたにはこういうパンツ、自由を求めるあなたにはこういうパンツと選べるようになるといいな。

岸⽥ ひろ実さん紙パンツってこんなに便利なんだよって突きぬけたところまで行けばいいのかなって思います。選択肢が増えるのは感動的なことが多いので。トレンドを作りたいですよね。

鎌田先生今日はとてもおもしろい議論ができました。日本には前例がないと踏み出せない、みたいな弱点がありますが、パンツから切り開いていけたら素敵だと思います。今までなかったものを、作っていきたいですよね。次回の対談が、楽しみです。
(第二回に続く)