通常のお産は病気ではないため健康保険が使えません。そのため妊婦健診のときから1回あたり4,000円〜5,000円、特別な検査の場合は1万円を超える負担額になります。検診の回数は体調や週数などによっても変わり、月1回から臨月になると週1回のペースとなり、一般的な受診回数は14回程度になります。しかし、各自治体で名称や回数は違いますが、妊娠届けを提出すると母子手帳ともに受診票が交付され妊婦検診にかかる費用を数回〜14回まで助成してもらえます。また、入院、分娩の費用は病院や部屋のタイプによって大きく変わりますが、およそ40万円程度から、全個室、フルコースの食事つきなどの豪華な産院であればもちろん高額になります。でも、公的な補助制度を使うことで、出産にかかる費用を軽減することができます。自治体によって助成の内容や金額はさまざまですが、以下に出産後の手続きとともに、申請方法を記しました。漏れのないよう確認しておきましょう。
出産後の手続きはたくさんありますが、中でも次の5つは誰でも申請・届け出が必要です。期限が設けられているものは、それまでに手続きしないと受理されないこともあるので、事前に漏れがないようにチェックしましょう。
※詳細はお住まいの自治体やお勤め先などにご確認ください。
子供の戸籍を作る上で大切な書類です。出産日から14日以内に手続きをしないと罰金を科せられる場合があります。赤ちゃんの名前を決めておきましょう。
<必要書類等>
届出人の印鑑
母子手帳
出生届(出生証明書と一体)病院や産院で用意されています。必要事項を記入してもらいしょう
<提出先>
届出人の所在地、子供の出生地、父・母の本籍地いずれかの市区町村役所・役場
<提出人>
両親、同居の祖父母でも可能
子供が誕生したら両親どちらかの扶養として健康保険に加入させます。両親のいずれも働いている場合は、所得の多い方の扶養に入れるのが多いようです。加入している健康保険によって規定が異なるので、事前に問い合わせをしておきましょう。
<必要書類等>
母子手帳(「出生届出済証明」欄に記入があるもの)
届出人の印鑑
健康保険証
本人確認書類(運転免許証やパスポート、マイナンバーカードなど)
マイナンバー(個人番号)が確認できるもの
生まれてから中学校を卒業するまでの子供を養育している人に対し国から支給されるものです。1ヶ月あたりの支給額は0~3歳未満までは15,000円、3歳から小学校卒業までは10,000円(第3子は15,000円)、中学生は10,000円。所得制限世帯は5,000円。申請が遅れるとさかのぼって支給されないので気をつけましょう。
<必要書類等>
<提出先>
住民票がある市区役所・町村役場
<提出人>
原則、養育者のなかで所得が高い方
加入している健康保険から出産費用の一部(1児につき42万円)が給付される制度です。支給方法は保険者から医療機関などに直接支払う直接支払制度と退院時に出産費用の全額を医療機関などに支払った後、必要書類を揃えて申請する受取代理制度があります。勤務先の健康保険や組合、国民健康保険の場合は自治体によっては給付金が上乗せされる場合もあります。
<必要書類等>
<提出先>
勤務先の担当窓口(国民健康保険の場合は住民票のある市区町村役所・役場)
<提出人>
働いている本人(専業主婦などで被扶養者の場合は夫)
健康保険に加入している0歳〜中学3年生までの子供が病気やケガで医療機関を受診したときに、年齢により一部の医療費を市区町村に助成してもらえる制度です。自治体によっては乳幼児医療証の提示で医療費が無料になる、あるいは後日補助金で還付される場合があります。手続きも自治体によって違いがあるので事前に確認をしておきましょう。
<必要書類等>
<提出先>
住民票のある市区町村役所
<提出人>
両親のどちらか
他にも働いているママや出産退職したママ、妊娠、出産で高額の医療費を支払った人など、場合によって以下の申請ができます。個人で加入している保険なども事前にチェックして、期限内に申請しましょう。
※詳細はお住まいの自治体やお勤め先などにご確認ください。
生まれた赤ちゃんが未熟児の場合や医師から入院養育が必要と認められた場合に、その入院・治療費を自治体が援助してくれる制度です。世帯所得に応じて、一部自己負担になることがあります。
申請期限:出生から14日以内
<必要書類等>
<提出先>
居住地の保健所窓口
<提出人>
両親のどちらか
健康保険が適用される治療で、1ヶ月間に自己負担限度額を超える医療費がかかった場合、その超過分を申請してあとから払い戻すというものです。自己負担限度額は年齢や所得によって異なります。妊娠中の合併症やトラブルも治療によって保険が適用される場合もあります。帝王切開など事前に多額の医療費がかかるとわかっていれば「限度額適用認定証」をもらっておきましょう。
申請期限:診察日の翌月〜2年以内
<必要書類等>
<提出先>
<提出人>
医療費がかかった本人(専業主婦などで被扶養者の場合は夫)
産休中のママは給料が発生しないため、健康保険から手当として給料の2/3が支給される制度です。なお、国民健康保険からは支給されません。
申請期限:産休開始翌日~出産日から56日(2年以内であればさかのぼって請求可)
<必要書類等>
<提出先>
勤務先の窓口(健康保険や共済組合の場合)
<提出人>
母親のみ
失業給付金は一般的に退職後も仕事をする意思がある人に対して新たな仕事が見つかるまで1年間は受給される制度です。しかし、妊娠・出産で会社を退職した場合、働く意思はあっても働くことができないため特別措置として最長3年間の期間延長(合計4年)することができます。対象者は退職前の2年間に、雇用保険に通算12ヵ月以上加入している人など。
申請期限:退職翌日から30日目経過後の1ヶ月以内(必須)
<必要書類等>
<提出先>
住居地の自治体のハローワーク
<提出人>
働いていた本人、または代理人
年々制度が変わりママの経済的負担を助けてくれる給付金や手当も増えています。各項目を参考に自治体の最新情報を確認しておきましょう。
記事監修医: 市川レディースクリニック 産婦人科 院長
永野 玲子先生
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