すぐに役立つ介護の情報介護と上手に付き合うために

介護と上手に付き合っていくために、
「がんばらない介護生活」始めてみませんか?

がんばらない介護生活 「介護はするのもされるのも大変」- 多くの方はそう思っています。でも、介護保険制度が始まって、がんばる介護ではなく、する側にもされる側にも過度の負担を強いない気持ちのいい介護方法が模索され始めました。いつ終わるかわからない介護生活と上手に付き合っていくための「がんばらない介護生活」について、お母さまを七年間介護され、熟年向け体操教室でたくさんの介護相談を聞いてきた岡和子さんに語っていただきました。

岡和子
(おか かずこ)さん

●1931年生まれ。
「がんばらない介護生活を考える会」賛同者。京都市介護保険等運営協議会委員を務めた後、介護支援事業者・施設の第三者評価委員会に参画。新聞・雑誌記者を経て、80年代から独自に体得したヨーガと気功の体操教室を主宰。現在の生徒さんは、介護をしている人など熟年層がほとんどで、介護相談にものるなど、より良い介護を求めて活動中。著書に『ラクラク老親介護』がある。

point: 1一人で介護を背負い込まない

日常の介護に疲労困憊した人の多くが「なぜ、私だけが!」という思いを抱くようです。一人で抱え込まないで、みんなを味方にすれば介護はずっとラクになります。気持ち良く協力者になってもらうためには、「協力して欲しい」と率直に伝えたり、ほんの小さなことでも何かしてくれた時は「ありがとう、助かるわ」と心から感謝する。こちらのプラスの感情は相手にプラスとして伝わるもので、相手も「もっと協力してあげよう」という気持ちにきっとなります。

一人で悩みを抱えず、介護支援センターや自治体の福祉窓口、社会福祉協議会、ボランティアなど、たくさんの人に相談したり話すことも大切ですし、「家族の会」に参加することで情報や介護のアイデアを交換するのもいいですね。

point: 2サービスを利用する

介護サービスは一概に嫌わないで試しに使ってみる、そして気に入らない場合は我慢しないこと。事業者もケアマネジャーもホームヘルパーも替えてもらえるのですから。自分に合ったサービスを探すことが大事です。

サービスを上手に利用すれば自分の時間が作れます。五分あったら、大の字に寝る、深呼吸する、シャワーを浴びる、体操をするなど、リラックスできるような何かをする。体が変わると心も変わって、ストレスが軽くなります。

在宅介護に入ったらなかなか外出の時間が持てません。深刻にならないうちに行政窓口に行って受けられるサービスにはどのようなものがあるか情報収集しておいたほうがいいですね。

point: 3現状を認識し、受容する

介護を引き受けたのは自分の決断といっても、毎日の生活には迷いも悩みもついて回ります。そんなときは、「運命論者」になってみるんです。日本人に生まれたのも運命なら介護を引き受けたのも運命、与えられた運命を受容しようと考えたとき、気持ちはきっと楽になります。介護は「負」ではなく、自分の人生にとって貴重な時期だと思えば、「天に宝を積んでいるんだ」という気持ちにもなりますよ。

老いは身体の機能の衰えや呆けを運んできます。それは自然なことですから、悲観せずに状態をきちんとわかってあげることが大切です。残っている機能に合った生活しやすい方法や介護用品をいろいろ探して、お互いに試してみるといいですね。

point: 4介護を受ける人の気持ちを理解し、尊重する

人は誰も自尊心を傷つけられることはとてもつらいことです。まして介護を受ける高齢者は遠慮やエネルギーの衰えから「ノー」が言えない場合が多いのです。そうした気持ちを汲み取って、介護を受ける人の尊厳を守るために日常の言動が重要になります。たとえば、赤ちゃん言葉は使わない、名前ではなく名字で呼ぶ。そして食事やトイレなど強制せずに、「今食べる?それともあとにする?」「おしっこ行きたい?まだ大丈夫?」など、必ず二者択一できるように声をかけるといいですね。

「自分にしてほしくないことは他人にするな」をいつも心がけていたいですね。

体力に合った自立の道は日常生活のちょっとしたところでいくらでも発見できます。どちらも気持ち良く、笑っていられる時間があると元気になります。

point: 5できるだけ楽な介護のやり方を考える

気持ちよく介護しているのに疲労感が残ってしまう。それを解消するためにも仕事の優先順位を決め、省ける無駄は省くといいですね。

介護の仕事は後回しにすればするほどしんどくてイヤなものになってしまいます。たとえばポータブル・トイレの始末ならば、小水の時も使用後一回ごとに処理すれば消臭剤もほとんど不用、水洗い程度で済みます。清拭の時に大量に使うお絞りは電子レンジで簡単に温めて、まとめ洗いするといいですね。

私の場合は、母に、寝たままでもできる腰浮かし体操を毎日やってもらっていました。こうするとオムツ交換のときに助かるんです。頭を使ったじょうずな手抜きは効率的ということ。自分流のラクな方法、「がんばらない」介護方法を見つけることが大事ですね。

ラクラク老親介護

(かもがわ出版/1,700円〈税別〉)

イヤイヤやる介護や、クタクタになる介護はしたくない。どうせ介護を引き受けたからには楽しくやろうと決めた岡和子さんが実践した「ラクラク」介護。対人関係、トイレ問題、食事、入浴など毎日の生活をじょうずに過ごした「がんばらない介護生活」の見本です。