すぐに役立つ介護の情報介護と上手に付き合うために

脳卒中に備える

脳には多くの血液が流れており、脳のはたらきに必要な酸素や栄養を供給しています。この血液が流れている血管がつまったり、破れたりして起こる病気が”脳卒中“で、脳血管障害ともいわれます。一昔前までは日本人の死因のトップでした。現在は死亡率第3位の病気ですが、命は助かっても、この病気の後遺症に悩んでいる患者さんはむしろ増えています。なかでも脳梗塞が増加しています。脳卒中は一旦発症すると、片マヒや言語障害など後遺症を残しやすいので、発症前の予防が大切です。

脳卒中の患者数

脳卒中で死亡する患者数は、1970年頃をピークに減少傾向にありますが、患者数が減っているわけではなく、約173万人が治療を受けています。
(厚生省「患者調査」平成8年)

また、脳卒中でも脳出血が減少して、脳梗塞が大幅に増加し、脳卒中の主流が脳梗塞に変化しています。
(厚生省「人口動態統計」)

ページTOPへ

脳卒中のタイプ

脳卒中には、血管が破れる場合(出血性)と血管が詰まる場合(閉塞性)があります。

脳梗塞

脳梗塞には、脳の血管の動脈硬化が原因で起こるものと、心臓や他の血管の病気が原因でおこるものがあります。

  原因 初期症状
アテローム血栓性脳梗塞
アテローム血栓性脳梗塞
脳の比較的古い血管が動脈硬化のため狭くなり、血管がつまる。 詰まった血管により症状は異なるが、半身マヒ、感覚障害、めまい言葉が出ないなどの症状が起きる。比較的ゆっくり進行。
心原性脳血栓症
心原性脳血栓症
心臓にできた血栓が脳動脈に流れ込み、脳の血管を塞ぐ。
不整脈(心房細動)やリウマチ性心臓病、心筋梗塞、心筋症などが原因。
上の症状が突然に起こる。意識障害をきたすことも多い。
ラクナ梗塞
ラクナ梗塞
脳の深いところの細い動脈の血流が悪くなり、梗塞が起こる。 半身のマヒや感覚障害が起こるが、失語症など重大な障害は比較的少ない。

脳出血

脳の内部に出血するのが脳出血

  原因 初期症状
脳出血
脳出血
高血圧のためにもろくなった細い血管が破れて脳内に出血。
日中の活動中に起こりやすい。
出血した場所により異なるが、半身のマヒ、感覚障害が主な症状。頭痛、嘔吐を伴うこともある。重いと強い意識障害。

くも膜下出血

脳の表面に出血するのがくも膜下出血

  原因 初期症状
くも膜下出血
くも膜下出血
脳の大きな動脈にできたコブ(動脈瘤)が破れ、くも膜と軟膜の間に出血。 突然の激しい頭痛、吐き気・嘔吐、意識障害。比較的若い人にも起こる。

ページTOPへ

脳卒中を引きおこす危険因子

加齢とともに発症しやすくなります

血管は歳とともにもろくなったり、内膜が厚くなるので、お年寄りのほうが脳卒中に罹りやすくなります。

高血圧は脳血管に大きな負担となり、動脈をもろくしたり、動脈の壁を厚くします

血圧が高い人のほうが脳卒中を起こしやすいのですが、治療により血圧を正常範囲内にコントロールできれば、発症率が下がることも知られています。

糖尿病の人は、血管が詰まりやすい

糖尿病の人では動脈硬化が起こりやすいうえ、血液がドロッとして流れが悪くなるので、血管が詰まりやすくなります。

若い人では、高脂血症との関連が

高脂血症は動脈硬化を促進させる重要な因子で、とくに若い人では、血液中の総コレステロールや中性脂肪が多かったリ、HDL-コレステロールが少なかったりすると、脳卒中を起こしやすくなる可能性があります。

「高血圧」イラスト 「糖尿病」イラスト 「高脂血症」イラスト

肥満も重要な危険因子

肥満は生活習慣病(高血圧や糖尿病など)の重要な危険因子です。とくにウエストやおなかが太い、いわゆる「リンゴ型」肥満の人は要注意です。

「リンゴ型肥満」イラスト 「洋なし型肥満」イラスト

その他

  • 心房細動などの不整脈のある人は、心臓で血液の塊ができやすくなり、この塊が脳の血管に詰まると、脳梗塞(心原性脳塞栓症)を起こします。
  • タバコ、大量の飲酒、ストレスなども血圧を上げたり、動脈硬化を進展させたりします。

脳梗塞の治療

ページTOPへ

脳卒中の治療

早めに発見・治療すれば、後遺症もそれだけ軽くなります。

脳の組織は、壊滅的なダメージを受けると修復はほとんど不可能ですが、その程度が軽いうちに再び十分な血液を送り込むことで回復する可能性があります。治療開始が遅れると、どんなに良い治療をしても手足のマヒなどが後遺症として残ってしまいますが、発症してごく早い時期に治療を開始すれば後遺症をなくす、あるいは軽くすることができます。

重症の場合

重症の場合は、まず呼吸や血圧の管理などの緊急治療が行われます。

軽症の場合

脳梗塞の場合、軽症であっても原則として入院し、血栓(血液の塊)を溶かす薬剤や、血液が固まるのを阻止して血流を改善する薬剤を使って症状の改善を図ります。

「治療」イラスト

脳出血の治療

出血がひろがらないようにするとともに、再び出血しないように、血圧を管理したり、脳のむくみ(脳浮腫)を抑えたりすることが治療の中心となります。

クモ膜下出血の治療

「クモ膜下出血」治療イラスト一般的には原因となった動脈瘤からの出血を止め、血腫を取り除くための緊急手術が行われます。
また、再び出血しないよう、血圧の管理を行うとともに、手術の後には脳血管の攣縮(動脈が部分的に収縮する)を抑えるための薬剤が使われることもあります。

ページTOPへ

脳卒中の前ぶれ症状

症状は脳卒中の初期症状とほぼ同じです。からだの片側の手足がしびれたり、一眼の視力障害、言葉がもつれたりしますが、一般に意識障害はありません。

発作が短く、症状も軽いのでとかく見過ごされがちですが、大きな脳梗塞の前ぶれのことが多いので、注意が必要です。すぐ、症状がなくなっても必ず専門医の治療を受けましょう。

  • 急にはしが上手に使えなくなる、落とす。
  • 片側の手足がしびれる。
  • 言葉が上手にしゃべれない、もつれる。
  • 物が二重に見えたり、ゆがんで見える。
  • めまいがしたりバランスがとれない。
  • 一方の目が見えなくなる。一側の視野が欠ける。
「脳卒中前ぶれ症状」イラスト 「脳卒中前ぶれ症状」イラスト 「脳卒中前ぶれ症状」イラスト

ページTOPへ

脳卒中の再発予防

一度脳卒中を起こした人は、再発しやすいので注意してください。再発を繰り返すと生活の質(QOL)は悪くなり、血管性痴呆になる可能性も高くなります。再発予防のために脳卒中の原因となる高血圧、糖尿病、高脂血症などをまずしっかり治療し、コントロールすることが大切です。

定期的に受診しましょう

「定期検診」イラスト退院後も生活習慣に十分注意し、定期的に医師の診療を受けましょう。めまい、言葉がもつれる、足もとがふらつく…などの脳卒中の前ぶれの症状があったら、かならず医師に伝えましょう。

できることは自分でしましょう

「できることは自分で」イラスト日常生活のなかで、着替えや食事など自分でできることは、自分でするように心がけましょう。

適正体重を目指しましょう。

「適正体重」イラスト体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)を22に近付けるよう、減量しましょう。

規則正しい排泄ができるよう心がけましょう

規則正しい排便を心がけ、なるべく洋式のトイレにしましょう。また、用便時のいきみは血圧を上げるので、なるべくいきまないで排便できるよう食事などに気をつけましょう。

入浴するときはぬるめのお湯にしましょう

「入浴」イラスト脱衣所は暖かくし、熱いお湯に急に入らないようにしましょう(適温は40℃)。あまり長湯はしないように。

歩くことは気分の切り替えにもなります

無理をせず、自分の歩ける速度で毎日歩きましょう。気分転換にもなります。

急激な気温の変化に気をつけましょう

「外出」イラスト急に寒い所に出るときは首にマフラーをまき、手袋をするなど注意しましょう。夏は真昼の外出は控え、外出から帰って急にクーラーにあたったりしないようにしましょう。

水分を十分とるように心がけましょう

水分が不足すると血液が流れにくくなり、脳梗塞の再発を起こしかねません。高齢者ではのどの渇きを訴えないこともありますが、とくに夏場は脱水状態になりやすいので水分を十分とるようにしましょう。

タバコはやめて、アルコールは適量にしましょう(日本酒なら1日1合、ビールなら大ビン1本以下に)

タバコは動脈硬化の進行を促進し、血液も固まりやすくするので止めましょう。お酒は気分をリラックスさせる効用がありますが、飲みすぎはよくありません。

睡眠は十分にとりましょう。

規則正しい生活リズムを。そして人とのふれあいも大切に

「規則正しい生活」イラスト脳卒中にかかると、とかく気分が落ち込み、また家に閉じこもりがちになりますから、できるだけ人との接触を多くして、何ごとも前向きに考えるように心がけましょう。

処方されている薬はキッチリのみましょう

高血圧、糖尿病、高脂血症、心臓病などがある人は、医師の指示に従って治療に専念し、薬ののみ忘れがないよう注意することが大切です。

ページTOPへ

脳卒中の後遺症

脳は全身のさまざまな機能を司っている中枢です。ある部分では運動機能を司り、ある部分では言語機能を司るというように、部位によってまったく違った働きをしています。

脳卒中で、ある部分の脳細胞が壊死すると、その部分が司っていた機能が障害されます。こうして起こる機能の障害が、脳卒中の後遺症です。ですから、障害された脳の部位に応じて、現れる後遺症は異なり、これらが、すべて現れるわけではありません。

後遺症の種類

運動マヒ
脳卒中の起きた部位によって、体の左右どちらかの側がマヒして、動かなくなります。
感覚障害
触覚、痛覚、温度の感覚などが失われます。やはり体の左右どちらかの側に起こります。
言語障害
「話したいのに言葉が出ない、話しても言葉が意味をなさない、人の話を聞いても理解できない」などが現れます。
歩行障害
運動マヒによって、歩行が困難になったり、歩けなくなったりします。
嚥下障害
食べ物や飲み物をうまく飲み込めなくなり、誤って気管に入ったりすることもあります。

ページTOPへ

薬との上手な付き合い方

医師から処方された薬をのみ忘れたり、勝手にやめたりすると、薬の効果に悪影響が出てしまいます。薬は指示されたとおりにのみましょう。
もし、不安や心配があれば自分で判断せず、医師や薬剤師に相談しましょう。
また、次の点にも注意しましょう。

  • 決められた時間(食後、食間、食前など)や薬の数や量などの指示を守る。
  • 薬をのんで何か症状が出たり、具合が悪くなったりしたらすぐに医師に報告・相談する。
  • 新しい診療科や病院にかかった場合は、他の科や病院で処方されている薬を見せるなどして、薬の内容を医師に告げる。
  • のみ忘れたときは、どうすれば良いのかを事前に聞いておき、勝手にまとめて2回分をのんだりしない。
  • 薬が変更になったときは、のみ方や注意を良く聞く。
  • 他の人の薬をもらってのまない。